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三題噺集

降水確率100%が外れました

作者: シュウ

とある天気が良い日の出来事。

仲の良い二人の男女が部屋の中で話していました。


「あーもー! なんでこんな天気いいのさ!」

「そんなこと言ったって仕方ないだろ。当たらないことで有名な天気予報なんだから」

「だって『降水確率は100%です』って言っておきながら、全然雨が降る気配がないんだよ? まさに晴天だよ?」

「じゃあもう一泊してく?」

「イヤだ。見たい番組録画してないもん」

「じゃあ泊まらなければ良かったのに…」


そう言って布団にくるまっている少女を、やれやれといった風に見ている少年。

元々一泊だけの予定で、今頃は傘をさして笑顔で帰っているはずだった少女は、何を隠そう日光が苦手な類の妖怪なのだ。一部では吸血鬼とも言われているが、少年はそのことを知らず、少女も『紫外線に弱いの』と少年に説明をしている。

ちなみに二人はそーゆー中ではなく、時々家出をしてくる少女を泊めてあげるのが少年なのです。

少年にはその気はなくとも、少女にはその気があるのかもしれませんが、そのへんは少女のみぞ知る。

雨の日は太陽が出ていないので、その日を狙って家出をしてきていることも、少女のみぞ知る。


「どうするの? ウチは全然泊まって行っても大丈夫だけど、またお父さんから連絡来て、僕のせいにするのだけはやめてよ?」

「そ、そんなことしないもん! って、そろそろカーテン閉めて! 眩しい!」

「せっかくの太陽なんだから、もっと浴びたらいいのに。君はもっと光合成したほうがいいよ」

「苦手なんだから仕方ないでしょ!」

「はいはい。閉めますよ」


カーテンを閉めると、布団の中から少女が這うように出てきた。

そして薄暗くなっている部屋の中で、机の上にあった少女の携帯がチカチカと光っていた。

その光に今気がついたのか、少女が携帯の元へと向かい内容を確認すると、ムスーっとした顔で少年に携帯を差し出して布団の中に潜り込んだ。

受け取った少年は中身を確認。


『いつも娘がお世話になってます。迷惑じゃなければまた泊めてやってもらえませんか? 日差しが強いとろくに外も出れないので、私も妻も困っておりました。でも君と出会ってからの娘はとても生き生きとしているようで、元気に家出をしているようで、私たちも大変嬉しく送り出しています。うんぬんかんぬん…』


途中まで読んだ少年は、少女に向かって問うた。


「ねぇ」

「んー?」


思わずニヤニヤと笑みを浮かべてしまっている少女。


「家出を送り出すってどういう状態なのかなぁ?」

「さ、さぁ? お父さんとお母さんは、わ、私が本気で家出をしてると思ってないんじゃないかなー」


少女の発言を聞いた少年は、小さくため息をついて、メールの一番最後に書かれていた追伸を少女に告げた。


「ちゃんと見たい番組を録画しておいてくれるってさ」


そう小さく笑いながら少年は少女に言った。

いやー楽しかったですw

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