中心 の 復讐
佳奈が突然興子のいる席にズンズン歩いていった。興子の目の前に立つと、言った。
「興子あんたさぁ、よく私の事いじめてたよねー。ちょっと可愛いからって言い気になるなよ。私は小学校から興子の事信用してたのに中1の時突然私をいじめてきたよね」
それは中学1年の寒い風が吹く11月の時だった。
佳奈が10月に行われた文化祭のクラス発表で、マイクを落とし、助けに行った興子のスカートを誤って踏んでしまい、2人してステージでこけてしまった。興子は笑って許してくれたが、その時一緒だった新鍋香織と丸山玲菜から翌日興子が1日中泣いていたと聞き、佳奈は必死に謝ったが、興子は目を合わせてくれなかった。
そして11月始まった。寒い中、水をかけられ、泣いて家に帰ったのは数えきれない。転校も考えた。しかし両親の温かさに心をうたれ、学校に通い続けた。
佳奈に対するいじめはほぼ毎日3月まで続いた。クラス替えで3年の時は落ち着き、佳奈の性格は暗く、おとなしくなった。
「やっとチャンスが私にやって来たよ。あんたを殺せるチャンスをね。私はついてる」
興子は鼻でそれを笑った。
「佳奈、あなた自分を自賛しすぎじゃない?佳奈らしくないわよ」
佳奈は興子の机を足で蹴った。
「うっさい!あんたほど自画自賛してる女はいないと思うけどね」
最悪の状況になるのに気づきいた野球部次期エース的存在千曲星雲がその場で立ち上がった。
「これで何回目だ!今すべきことはそんなことじゃないだろ!」
佳奈が星雲を睨んだ瞬間だった。ドッと大木を斧で叩いたような低い音がした。
星雲の隣にいた戸倉マキルエが大型のバタフライナイフで星雲の胸を刺したのだ。
その光景を見た修也は目を見開いた
―っ!星雲はただ仲立しようとしただけなのに!このクラスはどうなってんだ!
「うっせえんだよ。黙って観てろ屑」
星雲は汗と血の混ざった液体を垂らしながら訴えるような目をして無残にも倒れた。そして口をパクパクさせて動かなくなった。星雲に刺さったバタフライナイフを抜き、何事もなかったかのように座った。
誰かがイヤと声を上げる。
「信二、一体・・・このクラスはどうなってんだ・・・」
信二こそまだ茫然としている。
「しっかりしろ!信二!」
修也の問いかけにやっと我に帰った信二だが、戸惑いが隠せない。
修也は理恵に駆け寄り、小声で話した。
「理恵、こんな状況だが騒ぐと余計に混乱してしまう。だから落ち着いて、そして刺激しないように今は行動をしないでくれ。俺もここにいるからさ」
理恵は顔を上げて大きく頷いた。修也は教室中央にいる佳奈と興子に体を向けるが、星雲の事も考えて大きい動作はできない。零たちが何をするか分からない。今は見守るしか―
前を向く修也の右手はが後ろいる理恵の左手によって握られた。修也は理恵と握られた手を見るが、
手が凄く震えているのが感じらので、そっと握り返した。再び体を前に向ける。
興子のサイドに新鍋香織と丸山玲菜が付いた。
「あんたがいけないんじゃない、興子を裏切った本人はあんた自身よ」
と香織。
「あんたから裏切っといてなに調子乗ってんだよブス!」
と玲菜。3人が1つになってしまった。これだと佳奈は危ない。しかしマキルエが楽しそうにこの光景を見ている。あいつはなんなんだ!とにかく身動きが出来ない!
佳奈はナイフを3人に向けた香織と玲菜はわずかに引いたが興子は動じない。
「しょうがない。だったら3人とも殺してやる。私の苦しみを今知りなさい!」
佳奈は興子めがけて突進した。
興子は冷静に行動をとった。修也はその瞬間目をそらした。というか反射的に目を遠ざけた。
理恵がひっと声を上げた。そして女子の金切り声が響く。今にも叫びそうな理恵の口を左手で塞いで目で訴えた。
―大丈夫、俺がいる。
隣にいる恵はあ、あ、と声を失っている。
修也はゆっくり視線を戻し、状況を把握した。
佳奈の持つナイフはあと30センチというところで興子に届かず、代わりに興子が瞬時に持った椅子の脚の部分が佳奈の腹部を突きぬけ、真っ赤になって貫通していた。
カシャンとナイフが佳奈の手からこぼれ、興子は椅子を離し、ナイフを持った。
佳奈はすでに絶命しており、前向きに倒れた。自重によってさらに深く椅子の脚刺さった。
串刺しになっている佳奈の腹部から吹き出る血は、黒板にまで飛び、佳奈の内臓と思われる赤黒い物体が佳奈を刺している椅子の脚に付着していた。この世のものとは思えない光景だった。
「私に殺意を抱いたあなたがいけないのよ、佳奈ちゃん」
<男子14番千曲星雲
女子10番半田佳奈 死亡 残り29名>




