悪夢 の 教室
PM1:00
【ゲーム】が始まってから1時間が経過した。あれからほぼなんの動きもなくただ時間が過ぎていった。修也は信二と行動することを決め、信用できる人を探していた。まずは恵だ。
幸いにも修也の携帯に恵の番号はあった。友達とはいざという時に助かる。
修也は携帯を腰のあたりで操作した。
《こんな状況だ。単独よりも仲間がいた方が安全だ。お前だけで考えてくれ。返事で聞く》
送ってから10秒で帰ってきた。早すぎではないか。
《ありがとう。私を誘ってくれるんだ。ほかに信二だけ?》
修也は恵と目を合わせ、頷いた。恵も分かったと頷く。
さらにメールだ。
《あのさ、修也次第でいいんだけど、理恵も誘ってよ。私の1番の友達だし信用できる。それに、理恵は修也を見てるよ。だからお願い》
修也は少し悩んだが仲間を作ることに反対はないため、了解した。
しかし理恵のメールアドレスが分からないため、コンタクトがとれない。
《分かった。この事自然と知られるまでしゃべるな。今はどんなこと考えてるかわからないから。それと俺に賛同してくれてありがとう》
恵は真剣に携帯の画面を見つめている。再び目が合った。恵は微笑むと携帯を閉じた。
信二を肩で叩いて呼んだ。
「ん?どうした?仲間増えたか?」
「ああ、今、恵と理恵が入った。この2人は信用できる」
信二は分かったと頷く。
「なぁ、この状況を誰か理解できる奴はいないか?説明してくれよ」
小田亮平が座りながら言った。
すると咄嗟に和田興子が立ち上がった。長いロングヘアーが揺れる。
「私は死にたくないから説明するわ。私の推測だとあの声はこのゲームを真実の教室と言っていた。しかも生き残り条件が真実の者だけ。逆を言えば嘘をついたら死ぬってことよ。
だから知ってるのに黙ってたり、適当な事を言うと死ぬってことね。だから黙ってたら私が死ぬかもしれないから今言ってみた」
「だったら、今死んだ奴らは皆嘘を言ってたってことかよ。愛子以外は皆。健は俺達の仲間だったのに死んだ。この恨みは必ず返す!」
興子は静かに言った。
「へぇ、その復讐心は真実みたいね。でも健の死因はゲームの障害として殺されたけどね」
亮平の頭のネジが完全に吹っ飛んだ。
「おいてめぇ!調子乗りやがって。健はクラスのために反抗してくれたんだよオラ!テメェは何もしてねぇのに調子のんなオラ!殺すぞ!」
亮平は顔を真っ赤にして興子の胸倉を掴んだ。しかし興子は冷ややかな瞳で亮平を見ている。
このままではまずい。そう感じた修也が再び割って入る。
「なぁやめないか。これ以上争ってどうする。もっと話し合おうぜ。健の死だって皆辛いさ。だから・・・・・頼む」
亮平は興子から手を離し、修也の胸倉を掴んだ。
「は、お前いつも偽善者ぶるよな。まじキモいし――」
誰かの手によって修也から亮平の手が離れた。手を見ると零だと気づいた。
―零が。まさか。
零は静かに亮平に呟く。
「1度頭冷やせ。健の事は今は忘れろ」
亮平は零に威厳強く言われ、黙って頷いた。零に刃向かって何にもならないのは誰だって分かっている。亮平は寂しそうに呟いた。
「健は俺の1番友達だった。だからついカッとなって・・・!」
バタンとまるで大きな棚が倒れたかのような音が響いた。
亮平が顔面から床に倒れた音だと知ったとき、亮平の頭はドス黒い色になっていた。再び血の臭いがする。
再び起こる悲鳴。止まらない。そして気が付いた。
―声がいってた【連鎖】って恐怖が恐怖を。死が死を呼ぶ。このことだったのか!
零は倒れた亮平に目を向けたが、表情を変えずに席に戻った。かすかに口元が動いたような。気のせいかもしれない。
<男子5番小田亮平 死亡 残り35名>
携帯の着信ブザーが鳴り、携帯画面を開いた。中川理恵からのメールだった。恵から聞いたのだろう
《修也君。今返事だけど誘ってくれてありがとう。すごく嬉しい。でも私怖い。いまだって亮平君が死んじゃった。修也君だから信用できる。お願い、助けて》
修也は教室後まで下がった理恵を見た。携帯を胸に当て、深呼吸している。
修也はすぐに返事を返した。
《ごめん、いまそっちに行くから心配しないで》
理恵が携帯で確認し、1度頷き、修也は理恵のそばに駆け寄ろうとした。しかし再び悲鳴がした。
廊下側倒れた和代を囲んでいた小野真紀子らの所だ。
「あなたが・・・やったの?佳奈!?」
佳奈は両手に小型ナイフを持っている。佳奈のすぐ下には宇野絵莉美が腹部を赤く染めて倒れていた。佳奈の目は真赤に純血していた。真紀子が再び尋ねる。
「正直にいってよ。なんで刺したの?」
佳奈は狂乱した。目はこれ以上にないほどに見開かれていたのが見えた。
「私は!ただ帰りたい!帰りたいのよ!壁に、ナイフがテープで張ってあった。人数を減らせって事だよね!これって。だから殺した!何が悪い!」
普段おとなしい佳奈が狂乱して誰も近寄れなかった。防ぐものがなく、真紀子の胸にナイフがグリップまで入った。真紀子は佳奈を見上げて口を開きかけたが力尽きてしまった。
佳奈は真紀子に刺さったナイフを抜くと、伊戸田由衣香に刃を向けた。
「あなたも皆と一緒に死になさい!」
由衣香は目を瞑った。刃が肩にザックリ切り込まれた。由衣香はクラスの思い出を振り返りながら
天井を眺めていた。あれ?痛くない!?
視線を前に向けるとそこには岡田裕也がいた。両腕を限界まで広げ、
由衣香に背を向けて立っていた。
―この体勢。まさか私を守ってくれた?王子様!?
しかし裕也の体勢は崩れ、仰向けに倒れた。
「裕也!いえ裕也君!なんで?私を守ってくれたの?」
裕也はかすめる声で呟いた。
「俺は、1年の夏の時、スポーツ大会の時、お前を見ていた。それからずっと。今だから言うよ。好きだ。だから生きてくれ。俺の頼みだ。ありがとうな」
由衣香は言葉を探しているのかうろたえていた。
「え、あ、裕也君!意味分かんないよ!私を?」
裕也は修也には聞こえないほどの小さな声で何か由衣香に呟くと、ゆっくりと目を閉じた。
由衣香はその瞬間涙をボロボロと流し、裕也の胸に縋りついた。
「裕也君、本当にごめんね。私なんかのために守ってくれるなんて。これ、裕也への返事」
由衣香はそっと裕也の唇に唇を重ねた。
その瞬間由衣香の背中に佳奈のナイフが刺さった。由衣香は満足したように微笑み、倒れた。
「すごくきれいなドラマね。私感動したよ。由衣香、天国でお幸せに」
佳奈の顔は表にはない極悪の笑みが浮かべられていた。
<男子7番岡田裕也
女子2番伊戸田由衣香
女子3番宇野絵莉美
女子4番小野真紀子 死亡 残り31名>




