信頼 の 疑問
「私は家がちょっと金持だった。それだけが原因で小学校でイジめられた経験だってある。だから私は自分の力でどこまでできるか試してみた。そしたらこんなにも上手く事が進んだよ」
修也は這うような恰好で言った。
「ここで死んだ奴らは皆存在が消えるのか?」
恵は今までにない笑いを起こした。
「――フフ、そうよ、教室が開放され時、家族から何から皆生き残った人以外の記憶は消える。だから修也を殺して理恵と2人で生き延びる」
するとしゃがんで不安そうにやりとりを見つめる理恵に向かって恵が言った。
「理恵大丈夫よ怖がらなくても。私が今からあなたを助けるから」
そして恵は修也に銃口を向けた。修也は感情を湧かずに、死を待った。理恵を一瞥すると、理恵は怖くなったのか、下を向いて両手で顔を隠してしまった。
―じゃあな理恵。恵と頑張って生きろよ。
そして恵をみつめた。恵の目は真剣だ。引き金に手を当てた。修也は静かに言った。
「殺してくれ」
修也は尚も恵の目を見つめていた。そして信二のノートを素早く手に取り、恵に向かって強く投げた。
恵の顔にノートが被さり、衝動でか、1発とんでもない方向に銃を発砲した。
そして銃を構えなおした恵を修也は張り倒していた。軽く殴るように床に倒し、首に両手を掛けた。恵は苦しくなったのか、手から銃が落ちた。しかしそれ以上は抵抗しなかった。
「恵・・・悪いが俺は生き残る。理恵を守って生き残る。恵を殺して何も起きなかったら俺は自殺 して理恵を救う。恵・・・お前を信じていたのに」
恵は抵抗せずに目を瞑った。修也は手に力を込めていった。まだ恵の体温を感じるが、後に冷えていくはずだ。信二の苦しみを――
恵の閉じた瞳から1滴の涙が流れた。
―どういう意味だ。
そして修也は目を見開いた。修也は俯き、力をさらに込めた――
頭の混乱が止まらない。一体どうなっているんだ・・・。
恵から離れ、念のため銃を自分の腰に差し込み、理恵の元に近寄った。理恵を優しく抱くと理恵の体温を感じた。このまま何も起きなかったら・・・・
修也は理恵と今抱いた瞬間、全ての謎が解けた気がした。しかしその瞬間体に衝撃がはしった。
理恵を突き放し、痛みがする腹を見た。ナイフだ。しかも興子が使っていたポイズネスナイフだ。
傷口からものすごく熱いものが全身に伝わったような気がした。そう思うと、修也の体に異変が起きた。
激しくせき込み、吐血した。手の色がみるみる青くなっていく。体が麻痺して動かなくなってきた。毒が・・・回ってきたのだ。
理恵が修也に近寄り、腹に刺さったナイフを抜き、再び翳した。今度こそ死を覚悟した。
しかし突然の大声と共に理恵の体は吹っ飛んだ。扉に強く打ちつけられ、理恵は痛そうに蹲った。恵は理恵が修也に刺したポイズネスナイフを拾い、修也に駆け寄った。
修也の体を起こし、傷口を見る。修也の意識は段々と遠のいていく。恵が涙を流しながら言った。
「修也。分かってくれたんだ。本当に嬉しかった。修也お願いだから死なないで」
修也の頬に恵が流した涙が垂れた。修也は辛うじて意識を保っているが、時間の問題だった。
恵は涙を拭い、立ち上がって理恵を見据えた。修也も起き上った理恵を見た。目は血走っていた。




