仲間 の 意味
修也は立っていた姿勢から膝を下した。今更刃向かっても意味がない。
信二は慌てて修也を手で押さえて止める。
しかし健が重ねて言った。
「いいのか信二?修也はお前達のために土下座してくれるんだぞ?でなきゃ死ぬのはおまえ――」
信二はまるで健を無視するように修也を体で止めている。しかし修也は信二を右腕で吹き飛ばした。そして遂に修也は土下座した。
怒りもあるが、それよりも皆を助けたいという善の心が働いていた。
途端健は高々と笑った。修也は顔を上げ、信二に言った。
「信二頼むから動くな。俺はお前を助けたいんだ。だから盾つかないでくれ。土下座なんか安いもんだ」
「はっはーいいねぇ修也!いつものイケ面が台無しだよ~」
信二は怒り震えながら立ち上がった。修也はやめろと訴えるが信二の耳に届いていない。
しかし健は修也では足りなくなったのか、今度は理恵に矛を向けた。
「理恵さ~なんか今日修也といい感じだったよね。だからー理恵さ、服脱いで」
その言葉で修也は茫然と健を見据えた。信二はいつ健に飛びかかってもおかしくない。
しかし下手に手を出せば銃で返り討ちだ。
理恵は嫌がる表情を見せずにブレザーを脱ぎ始めた。
修也はフラフラと理恵に近寄った。
「おい、理恵聞いてるか?いますぐやめろ!お前は今健に遊ばれてるだけだ。頼むから自分を犠牲にしないでくれ」
しかし理恵はやめるどころか修也に向かって言った。
「修也君も自分を捨ててさっき・・・土下座したんだよね。だから私も同じ」
修也は理恵の目を見るが、理恵は目を合わせてくれなかった。
カッターシャツを脱ぎ、スカートも落とすと健は理恵に近寄った。
「理恵さすがだな。お前だから脱いでくれると思ったよ」
修也が健の前に立ちふさがり、行く手を阻んだ。しかし、健は銃を使わずに素手で修也の腹を殴った。それでも修也は耐え続けた。そして顔面を殴られた瞬間、意識が朦朧とし、蹴飛ばされた。
その時には信二が行動していた。健の左頬緒に1発殴りつけると、修也の倒れた辺りまで吹っ飛んだ。信二はその間に理恵の脱いだ制服を取り、理恵に渡した。しかし理恵は着替えようとはそなかった。
健が立ち上がり、銃を信二に構えて言った。
「テメェ、調子乗んなよ」
銃が火を吹いた。そして信二の右肩に命中し、回転しながら倒れた。流れ出る血を左手で押さえている。
修也は残った力で立ち上がり、健を睨んだ。しかし健は修也の視線に気づいても向くことはなく、
理恵に近寄って両腕を掴んだ。理恵は目を瞑っている。
そして健の手は徐々に腰の辺りまで行き、下着に触れた。その瞬間は修也が我を失った瞬間でもあった。
健は腰に銃を差しこんであり、修也は完全無防備である。そうでなくても修也は動いた。
理恵を触っている健の手を掴み、渾身の1撃を拳で決めた。顔面を殴られた健は仰け反ったが、すぐに態勢を立て直した。腰に手を伸ばした。そこで健は目を見開いた。
殴った隙に銃を抜いていた。修也は健に躊躇なく銃を発砲した。凄まじい発砲音と共に額に穴が開き、赤黒い物体が飛び散った。一拍あけて健はうつ伏せに倒れた。
修也は痛みに耐えながら理恵に近寄り、落ちている制服を渡した。しかり理恵は制服を取るのではなく、修也に抱きついた。修也は疲れのせいか、緊張もしなかった。両腕で理恵を包んだ。
「ごめんな、理恵。もっと早く健を止めてれば・・・」
理恵は首を横に振り、修也を強く抱きしめた。このまま感情に浸っていたいが、信二の事も心配だったので、理恵から離れた。
信二は上半身は起こしていたが、右肩が真っ赤になっていた。修也はしゃがみ込んだで傷口を窺った。
「腕大丈夫か?出血がひどいからこれで押さえろ」
修也は銃を置いて自分が来ていた制服の上着を脱ぎ、信二に渡した。相当痛いのか、信二はありがたそうに頷くだけだった。
「ねぇ皆、私言葉分かっちゃったかもしれない」
振り向くと、ノートを持った美香が立っていた。
修也は
「じゃあ、俺たちを信じてそのノートに書いてくれないか?」
と言うが、美香は俯いた。自身がないのか、まだ信用してないのか分からないが、書けない様子だった。すると美香が口にした。
「・・・オマエガイキノコリ・・・」
修也はまさかと思ってみかの言った言葉の文字数を数えた。9文字だ・・・。
美香は不気味に笑いだした。




