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真と嘘クラス -41人のデスゲーム-  作者: 七原 秋也
第3章 ゲーム中盤戦
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帝国 の 感情

修也は零と対峙するように向き合った。距離は十分にあるが、飛び込んできたら一瞬だろう。


「零!聞け!お前は今まで一緒だった仲間を頭に浮かべてみろ!1人1人の顔を!その仲間が死んだんだ。お前は悲しくないのか?」


修也は殺されることを覚悟していた。賭けだ。汗が滴る。

零は1拍間をあけて言った。


「仲間?俺に仲間なんていねぇ。こいつらは俺についてきた奴らだ」


「そこが違うんだよ!ただついてるパシリ野郎が一緒に喧嘩するか?飯食うか?遊ぶか?ただついて いたんじゃねぇよ!紛れもない仲間だ!お前自身が1番分かってんだろ!」


あまりの修也の迫力に信二はポカンを口を開けていた。理恵はやめた方がいいよと眼差しを送る。

零はナイフを手に取った。修也は歯を噛みしめた。だめだったのか。


「俺はお前らとは違ってダセェ友情劇は作らねぇ。名が汚れる。俺の代々先祖様の名前は皆数字だっ た。そして皆強かった。誇りにっている。だから邪魔すんな偽善者が!」


零は攻撃態勢に入った。ナイフを逆手の持ち、姿勢を低くした。

修也は咄嗟に何か止める言葉を考えた。名が汚れる・・・先祖・・・親父!


「お前の親父さんは無理やり空手をやれせてるんだろ?辛くねぇのか?」


即答。


「辛いとかじゃない。俺は意を継がなくちゃいけない。強くなくてはいけないんだ」


修也は感情を込めて言い放った。


「違う!親子の関係は子弟じゃない!お前がしたい事は空手じゃない!仲間といる事だ!

 マキルエの事を仲間と思っていないんなら、パシリ野郎と思っているならとっくに切ってるはずだ ろ!違うか!」


零は姿勢を変えずに佇むが、目だけかすかに動いた。


「空手をやりたいんならそれでもいい。でもお前を想ってる仲間を捨てるのはおかしいだろ!

 仲間といると何かよく分かんないけど楽しくて、ついついどこか遊び行っちゃう。

 それこそがお前自身じゃないのかよ!いい加減目覚ませよー!」


零は途端ナイフを手から落とした。焦点が定まっていない。


「俺はお前のために言っている。もう過去は戻らないからこれから新たに仲間を作っていけばいい。

 親父さんは強いけどお前の肉体じゃなくて心で本気にぶつかれ!必ず勝てる!」


「俺は・・・俺は一体・・・誰なんだ?」


フラフラと零はマキルエの死体に近寄った。マキルエの前でしゃがみ込み、髪を触った。

マキルエはハーフといえども黒髪で、ややロン毛でサラサラしていた。零の目からは涙が垂れた。


恐らく彼の人生初の涙であろう。泣き方がぎこちなかったが、偽りには見えない。

信二に肩を叩かれ、振り向くとしっかり頷いた。信二は微笑んでいる。これでクラスの和は取り戻せた。これから慎重に考えていけばいい。


「なぁ、修也。お前には人を変える力があるのか?」


零に聞かれ、修也は答えた。


「俺はここにいる全員と同じ人間だ。俺よりも変われたお前の方がよっぽど凄いと俺は思う。」


「そうか・・・」


零はしばらく俯いたまま静かに泣いていた。

途端立ち上がると、落としたナイフを拾った。そして首元に当てた。まさか。


「零!やめるんだ!今のお前ならこれから強くなれる!だから――」


「俺はやってはならない大罪を犯した。死で償うしかない。修也。本当にありがとう。最後に気づけ たよ。今から仲間に謝りに行って来る。ありがとうな」


修也が1歩飛び出した瞬間に零は首を斬った。動脈から血がドクンドクンと溢れ、零は倒れた。

優しい顔で死んでいた。


―人間は大きく変われるんだ。


こうして市内でも大きな噂となっていた零帝国は思わぬ形で全滅した。


<男子12番聖川零

 男子15番戸倉マキルエ

 男子20番山本太一  死亡 残り18名> 


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