魔法使いの歩き方(1)
どこまでも続きそうな荒野。それがクルトの抱いたイーチ国の印象だった。
フォース大陸において、クルトが最後に足を踏み入れた他国。フォース大陸は全体が温暖な気候で、どの国も海に面した部分があり、イーチ国だってすべてが荒野と言うわけでは無いだろう。しかし、マジクト国から内陸を進むクルトにとっては、やはり何も無い野原だけが視界に映る。
クルトはそんな土地を歩き進む。目指す場所はイーチ国の中央からやや南東にある、バジという町だ。そこはクルトの友人、ナイツの故郷でもある。
クルトは今、友人の故郷へ彼の死を伝えに行く旅の最中だった。
「自分で来ておいてなんですけど、どう話せば良いか、ぜんぜんわかりませんよね」
バジまではまだ遠く、着くのには数日掛かるだろうが、今の内から考えて置かなければならない問題だった。
「よりにもよって私に聞くか? そういうことをな」
同行者がクルトの問いかけに答える。と言っても答えで無く愚痴の類だが。
ただ友人の死をその家族に伝えるだけの旅に、同行者、イリス・ウォーカーがどうして付いて来ているのかと言えば、色々と事情があった。
「いいじゃないですか。それくらい考えてくれたって。どうせ、あんまり意味も無く付いて来ることになったんでしょう?」
「意味ならあるのではないか? 私は知らんがな」
そうだろうとも。イリスは彼女自身の意思では無く、とある人物の命令でクルトに付き添っているのだから。
「わざわざ騎士団員を付けるなんて、どうしてあの人もそういうことをするかなあ」
「だから私は知らんと言っているだろう。スガル様が何を考えているのかなどな。お前の方こそ、どういう意味があってのことか、分かっているんじゃあないのか?」
まあ、イリスの言う通りだ。どうして彼女がクルトの旅に同行することになったのか。その過程をクルトは知っているし、イリスに同行を命じた張本人であるスガル・マジクトが、いったい何を考えているのかも、薄々勘付いている。
(まいったなあ。これから、どうするべきなんだろうか)
バジの町に着いてからもそうであるし、報告を終えてからのことも不安だった。考えるべきことが多いのだ。そのついでかは知らないが、クルトはどうしてこの様な状況になったのかを、今になって思い返していた。
クルトが再びマジクト国へ帰国した日。船が停泊したアシュルの港で、スガル・マジクトの使いと話す兵士が、クルトとイリスに、すぐ王城に来る様にとの伝言を持ってきた。
しかし、港では他国で戦ったという噂が広まっているからか、大勢の人間が集まり、お祭り騒ぎになっている様子である。船から降りてすぐに抜け出すのは難しいと思えたのだが、そこはやはり王家の命令に従う兵士達。彼らの先導で、王城までの道のりを連れ攫わられる様に歩くこととなった。
「向こうも、早くリブクインであったことを知りたいってことなんでしょうか?」
「だろうな。既に先の船で帰還した支援団から、一通りの情報は得ているだろうが、ある意味で直属と言える私達の口から、色々と聞き出したいんだろうさ」
国家として支援団を結成する命令とは別に、スガルは個人的な命令をクルト達に行っている。それもまた政治家としての命令なのだろうが、距離的には近い立場にいて、情報の信用度もそれなりに高いと思われているのかもしれない。
「まあ、隠すことも無いでしょうから、さっさと話すことを話して帰りたいです。せっかく祖国に戻ったんですから………」
「………あとは友人の故郷への報告を。とでも考えているんじゃないか?」
「良くわかりましたね。今のところ、することと言えばそれだけですから。あ、大学の教室にも、無事帰ったことを伝えて置かないと」
帰ったら帰ったで、忙しいことが続きそうだとクルトは考えていた。ちょっとした目標がつい最近になってできたこともあり、周囲の目まぐるしさはリブクインの時と変わってはいない。
「お二人とも。スガル様の執務室に到着しました。ここからは二人だけで入る様にとの命令ですので、私どもはここでお待ちします」
クルト達を王城まで案内していた兵士達が、王城内にある一室の前で立ち止まる。今までクルトとイリスの会話に一言も口を挟まなかった兵士達であるから、話し方は酷く固い。
「はい。お世話かけてしまってすいませんでした。ではさっそく」
固い兵士達と話したところで仕方ないだろうと、形だけの礼をしてから、クルトはスガルの執務室へと入る。
豪奢な扉を開けたその奥には、予想した通り、スガル・マジクトが机にひじを突いて座っており、その傍らには大貴族のヒレイ・マヨサが立っていた。
リブクインで行った任務の報告であるから、その任務を頼んだ時と同じ顔触れと言うおとだ。
(あ、そういえば以前僕を攫った私兵がいないから、ちょっと違うか)
リブクインで支援団の被害を最小に収めよと言う命令は、クルトを王城まで攫ってから直接行うという、半ば脅しの入った物であったことを思い出すクルト。命令者側に対する嫌な感情が、また一つ増えてしまった。
「ふむ。確かに生きているな。良く帰って来てくれた。まず礼を言おう。頼みごとを良く達成してくれてありがとう」
満面の笑みで話すスガルの顔を見て、むかっ腹が立ってくるのはクルトだけではあるまい。
「それなりの被害がありました。無事達成したとは言えませんけど」
「ああ。死人が出たそうだな。調べたところによると、他国出身者だったそうだが、それがマジクト国のために命を賭けてくれるとは、感謝してもしきれんよ」
スガルの横に立つヒレイが、淡々とその事実を話す。もし、これが何らかの感情が込められていたとすれば、お前に何がわかるとクルトは怒っていたところであるものの、そうでは無い様子に、少し勢いを削がれるクルト。
その代わりなのかは知らないが、イリスが話を続ける。
「ナイツという名前の魔法大学の生徒です。典型的な正義感の強い青年でした。もし、あそこで死ななければ、もっとマジクト国のために役立ってくれていたはずです」
イリスなりに、ナイツの死についてスガル達を糾弾しているのだろうか。ほんのささやかなものではあるが。
「こちらで調べた限りでも、同じ印象を持ったよ。君の友人でもあったのだろう?」
ヒレイはクルトを見る。
「どうしてそれを………」
クルトとナイツが友人であったという情報自体は、大学の誰かから聞き出せばわかることではあるが、そもそもナイツの死がそれほど早くスガル達に伝わったとは思えない。
「君達より先に帰った船は幾つかあるだろう? そこからの情報で、支援団唯一の死者は特定済みだった。それが魔法大学の生徒であるのならば、調べるのは容易い」
魔法大学は貴族議会の下に位置する組織だとヒレイは話す。だからこそ、貴族として絶大な権力を持つヒレイが調べようと思えば、一生徒の情報なぞ、数日も掛からず調べ尽くせるとも。
「じゃあナイツの死についてどう対応するのかも、既に決定済みってことですか」
「まあ、多くの人間が不快に感じん方法で葬儀をする。そう言う顔をするな。別に英雄として祭り上げるなんてことはせんから」
他国での戦争で出た死者となれば、それなりに利用価値を見出すのが権力者だとクルトは考えている。
ナイツの死がそういった形で利用されるのは気に食わないと思うクルトの感情を読み取ったのだろう。ヒレイはクルトを手のひらで制する。
「まったく。できるだけ和やかに話をしたかったから笑顔を無理に作ったと言うのに、どうしてお前らはそう剣呑な雰囲気を作りだすんだ」
傍から見れば睨み合っている様に見えたのだろうクルトとヒレイの会話に、スガルが茶々を入れてくる。
「こういう場での笑顔は、状況を和やかにすることには不向きだと思いますが………」
若干固くなって話すイリス。王立騎士団員の一員である彼女にとって、スガルとは組織のもっとも上に立つ人物なのだから、それくらい緊張はするのだろう。
「そうか? そうかもなあ。笑顔で出迎えたのは失敗だったか。こりゃすまん」
軽い口調で話すスガルを見て、彼がこの場の緩衝役に徹しているのだろうとクルトは気が付いた。今、クルト達は彼に気を使わせているのだ。
(そういう態度を取ってくれるのなら、こっちも少しは溜飲が下がるかな?)
もしそれが狙いだとすれば、やはり彼は一流の政治家と言うことだ。話し方だけで、相手の感情を操れるのだから。
「ではさっそく、リブクイン国での出来事を報告して貰おうか」
スガルが緩衝役ならばヒレイは進行役だ。個人の感情は置いておいて、仕事は仕事と続けて行く。
一応、クルトもそれに答えなければならない義務があった。実情がどうであれ、彼らの命令にクルトは従った立場なのだから。
「そうですね。とりあえず、リブクインに着いてからのことを一から話します。何か詳しく聞きたいことや、思ったことがあるのなら、その場その場で質問してください」
クルトはリブクイン国へ出向いてから、再びマジクト国へ帰国するまでのことを話し始めた。
「とまあ、なんとかハマツからの無理な命令を達成して、帰国まで生き残ることができたわけです」
クルトが話し終えた頃になると、スガルとヒレイは渋い顔をする様になった。クルト側の感情はともかく、支援団に出た被害は少なかったのだから、彼らにとって喜ばしいことだと思うのだが。
「なにか変なことでも言いましたか? 僕」
彼らの表情の裏がわからず、クルトは困惑してしまう。なにか不味いことでもしただろうか。
「いや、随分と上手くやったとは思う。実際、私の予想では、もう少し酷い被害が出ると思っていたからな」
歪んだ表情のまま、ヒレイがクルトの仕事を評価する。だが、まだ何か言いたい事がある様子だ。
「私達は命令に従い行動しました。そこに何か問題があるのでしたら、正直に話していただけませんか」
出来る限りの仕事をしたのに、それを否定されては堪らないとイリスは口調を強めている。
「そういう反応になるだろうなあ。ただ、そっちに瑕疵があったわけではないんだ。お前達は上手くやってくれた。いや、上手くやり過ぎてくれたと言う方が良いか」
ずっと腹の立つ笑顔を浮かべるスガルだったが、それを少し崩す。
「つまりあなた方の問題なわけですね」
相手が言葉を濁す以上、そういうことだろうとクルトは考える。
「そうなんだが、君らにとっても無関係で無いことがなあ………」
「どういうことか教えていただけませんか」
自分達にとって無関係で無いという言葉に冷や汗を流しているイリス。権力者の問題に知らぬうちに関係していると言われれば、そうもなるだろう。クルトだって嫌だ。
「私達はリブクインの地で支援団が無為に過ごしているから、早急に帰還させろと言う名目で、貴族議会から議決を引き出したのだ。だが、もし支援団が向こうでそれなりの活躍をしたとなると………」
「またリブクインへ向かえと命令されるかもしれない!?」
ヒレイの説明にクルトは驚きの声を上げた。冗談では無い。必死になってマジクト国帰還まで戦ったというのに、またリブクインへなどと言われてなるものか。
「一度決めた議決を、早々翻すことはできんが、まあ、支援団の派遣を決定した貴族連中からしてみれば、君らの存在は好都合なわけだ。支援団を役に立たない集団であると言う前提で話を進める俺達にとっては、厄介な存在になるわけだがな」
こっちとしてはやるべきことをやったと言うのに、スガルに厄介と言われるとは思っても見なかった。
「で、厄介な僕らは、今後どう行動すれば良いんですか」
「とりあえず、知人友人に無事帰還を伝えたらどうだ? 心配している知り合いだっているだろうに。その後は、そのナイツという魔法使いの葬式だな。当然出るだろう?」
ごく当たり前のことをスガルは話す。これまでの話がこれまでだっただけに、意外だった。
「そういう式をしてくれるのであれば出ますけど………」
一応は、国側もナイツの死に対して誠意を見せているというわけで、そこは納得をしておくクルト。
「問題はそれが終わった後だ。暫く、故郷へ戻るつもりは無いか?」
「故郷へですか? つまり、アシュルから離れろと?」
スガルのその言葉には、余計なことをしない様に、政治の中心であるアシュルから離れて欲しいとの意思を感じ取ったクルト。
「察しが良くて助かる。本当に申しわけない話だが、支援団を活躍させた一因であるお前は、支援団肯定側の貴族に利用される可能性があるのだ。そういうのはお前だって嫌だろう?」
まあ、仕方ないかとは思う。アシュルから暫く離れなければならないというのも、このタイミングでは丁度良いとも思えた。
「実は、死んだナイツの故郷があるイーチ国へ、一段落がついたら行ってみるつもりでしたから、アシュルを離れる良い言い分にはなりますね」
「おお。そうなのか? なら、その旅にそっちのイリスを連れて行くと良い」
「は? 私がですか?」
突然、自分の今後を決められて戸惑うイリス。彼女だって自由意思があると思うのだが、王族の提案であれば断れないだろう。
「お前も支援団の活躍にそれなりに関わったのだろう? 同じ様に暫くアシュルを離れて、クルトの旅に同行すれば良い。ちなみに命令な」
「う………」
スガルの提案は命令になったため、もう不満の言葉すらイリスは出せぬだろう。軽い口調だが、騎士団員にとって王族の命令は絶対だった。
「さて、情報は一通り聞けたし、言うべきことも言った。今回の報告については、ここまでにしておこうか」
話を終えたと言った風に、スガルは椅子から立ち上がろうとする。そろそろクルト達も帰りを命じられる頃合いだろう。
しかし、そこにヒレイが口を挟んできた。
「お待ちくださいスガル様。まだ、例の話が残っています」
「例? ああっと……いや、ここで話す内容か?」
「彼は探していた人材に適任だと思うのですが」
「いや、年齢が年齢だぞ。そもそもまだ大学の生徒なわけで」
「もし実行するのであれば、達成は何年か先の話になります。それを考えれば、年齢は若い方が良い」
「む……確かにその通りだ」
なにやらスガルとヒレイが話を続けている。しかし主語が抜けているのでさっぱりな内容だ。
どうやらクルトの処遇について揉めていると言うのだけはわかる。
「本人を目の前にして、わけのわからないことで話すのは止めてもらえませんか? 内緒の話なら、見えないところでしてください」
話すなとは言わない。言っても絶対に話を続けるだろうから。
「すまんすまん。ただ、俺はまだ話す段階で無いと思っていてなあ。そうだな、一応聞いておくが、お前は野心と言うものはあるか?」
「野心?」
突然、そんなことをスガルから聞かれるクルト。普段のクルトなら、そんなものは無いと答えるかもしれなかったが、リブクインから帰還して後は、少しその言葉の印象が違っていた。
「あるには……あります。まだそれがどういった方向のものかは、僕自身良くわかっていませんが」
偉くなって世の中の流れを変える人間になりたいなどと、子どもが英雄になりたいと言っている様な物だとクルトは考える。夢を現実にするには、もっと様々なことを知る必要があり、それにはまだ時間が掛かるのである。
「………そうかあ。どうする? ヒレイ老」
「そうですな。彼がイーチ国への旅を終えた後、話してみるのも良いかもしれません」
とりあえずは帰還した支援団についての問題が終わった後に話を進めようという形でこの場は落ち着く。
クルトとしては、いったい何の話であるかが分からぬじまいであったため、消化不良な気分だった。
そうしてクルト達は王城を出た。その後は大学で師のオーゼや、同じ教室の生徒であるルーナと会い、様々な話をする。
ナイツの死を伝えた時は、ルーナが涙を流したことには驚いた。どうやらナイツは周囲からそれなりに好かれていたらしく、彼女だけでなく、大学の多くの生徒が悲しんでいた。それだけ悲しむ人間がいてくれたのは、死んだ彼にとっては何よりの朗報だったのかもしれない。
「すごく不謹慎な話かもしれませんけどー。わたし、クルトくんが生きていてくれて良かったです。これでクルトくんまで死んでいたのならー、わたし、ショックで魔法使いをやめちゃうかもしれませんからー」
大学内の生徒組合にて、クルトはルーナと随分久しぶりの会話をしていた。この生徒組合宿舎に来て、何故か家に帰ったかの様な安心感を覚えたというのは、かなり新鮮だった。
「あはは。確かに不謹慎だね。けどさ、やっぱり僕としてはあいつの死に納得できないんだ。誰が悪いってわけじゃないのはわかってる。けど、本当に何もできなかったのかって、ずっと悩んでいて………」
何時の間にか、クルトは自分の内心をルーナに打ち明けていた。これも何故かはわからない。ただ、彼女に対して心中を明かすことに抵抗感を覚えなかったのだ。
「多分……ずっと悩むことなんだと思いますよー。友達が死んでー、そのことにしっかしとした答えをなんて、変な話だと思いません?」
ルーナの言う通りだ。国の命令と自分自身の意思で他国へ向かい。そこで命を落とした友人。その死に対して、クルトが納得できる答えを用意できるとは思えない。
「けど、それでも何かを得たいんだと思う。あいつの死が無駄でなかったことにするには、僕自身が何かをしないと………」
「つまり、ナイツさん自身の話でなく、クルトくんが決着を付けていないからもやもやしてるんでしょうねー」
「そう……かもしれない。結局、僕は僕自身に対して、しっかりと何かを言えないんだ」
友人が死んで悲しい。友人の死を無駄にしたくない。友人を死なせないためには何ができたか。
それらはすべて、クルト個人がどうにかして友人の死を乗り越えようとして出て来た悩みでしかない。ふと、そう思えたクルト。だが、やはりそれに気付いたところで、心の引っ掛かりが消えることは無かった。
「僕自身の問題たったとしても、僕自身に決着を付けられていない以上、どうにかしたいと思うんだ………」
あやふやであるが、やるべきことは決まっている。後は、その道をどう進むかであるが。
「………なんだかー、リブクインに行って、少しクルトくんは変わったのかもしれませんねー」
「そうなのかな? でも、変わらないなんてことは無いと思う」
人は色々な体験をすれば、それだけ変化する。リブクインの出来事は、クルトを大きく変えたのだろうと本人ですらわかる。
「変わるのも良いですけどー。魔法使いとしての自分を忘れちゃだめですよー」
「魔法使いとしての?」
「ええ。クルトくんは、魔法大学出身の魔法使いなんですよー。それを忘れて、変な方向に突っ走ればー、絶対失敗しちゃいまーす」
ルーナからそんな忠告をされるとは思っても見なかった。要するに、自分の足元だけはしっかりと確認しておけと言うことなのだろうが。
「うん。なんだかわからないけどわかった。とりあえずは、自分を忘れず、目の前のことに集中するよ。明日になれば、ナイツの葬儀をマジクト国が行うらしいし」
支援団の凱旋祝いも兼ねた物になるそうだ。派手な葬式というのはどうだろうとクルトは思うものの、クルトなりの別れはリブクインで済ましてきた。マジクト国が行う葬儀に、あれこれと口を挟むつもりは無い。
(それにしても、魔法使いとしての自分を忘れるな……か。耳の痛い話だなあ)
実を言えば、ついさっきまで、クルトは自分が大学の魔法使いであることを忘れていた。リブクインでの戦争から生き残るため、必死に自分を生かそうとする人間でしかなかったのである。
(マジクト国に帰って、自分の立場を思い出した以上、そこもしっかり考える必要があるのかもしれない)
クルトは魔法使いだ。それも、まだ大学生徒という見習いでしかない。そんな自分がどの様な道を進めば良いのか。
魔法使いとしての歩き方を見つけなければならない。ルーナと話す中で、クルトそんなことを強く思う様になっていった。




