魔法使いの盛り上げ方(2)
夕暮れの日差しで赤くなるヘリスラー教室。本来なら人気もなくなり始める時間帯なのだが、どうしてだか今日は人で溢れている。
その原因は昼間、ヘリスラー教室が行った広場での集会である。怪しい企画だったのだが、それでも興味を持った他教室の生徒達が詳しく話を聞くために集まったのだ。
ちなみにクルトもその一人である。現在クルトは、ヘリスラー教室内でアシュル街道活性化計画の概要を聞いていた。
「つ、つまりですね。計画はその最初期から利益を得ようとは考えていないんです。確かな経験と実績を得て、さらに技術の向上を行うことで、最終的に街道の活性化を達成することが目標なので………」
丁寧なことにヘリスラー教室の生徒一人一人が、訪ねてきた他教室の生徒個人に対応してくれている。クルトに計画の説明をしている女生徒も、クルト一人に対してわざわざ椅子と机を用意してくれた。これが生徒数の多い教室の強みだろうか。
「けどさあ、やっぱりおかしくない? 利益を重視しないってことは、つまり魔法研究の一環としての意味合いが強いわけじゃないか。そういう状況で他教室に応援を頼むのは教室の姿勢としてどうなのかなあ」
クルトは計画の情報を相手から聞き出そうとしているのだが、その内容は底意地の悪い物が多く、まるで小姑が入り嫁をいびる様な状況になっていた。
「で、ですから、例え不利益を被ろうとも、街のために貢献したいというヘリスラー教師の強い意思の現れで………」
「いや、この際教師の意思とかは関係ないでしょ。多人数を巻き込むんだから、ちゃんと今後の展望とか、教室全体がどうしてのこの計画に乗ったのかを説明して貰わないと。まさか、ヘリスラー先生が提案したから、全員が賛成したってわけでもないんでしょう?」
「いえ、当教室の魔法研究は基本的にヘリスラー教師からの指示で行われるもので、教師が考えた計画があるのなら、生徒はそれに従うということが常ですから………」
「うーん。それじゃあ駄目だよ。もっとさあ、自分の意思を持って研究しないと、新しい発見を見逃すことになるよ? 先生に言われたからこうしようって言うんじゃ、先生の手足が増えるだけなんだし」
「そ、そう言われても………」
遂には言葉を止めてしまう女生徒。
(ちょっと言い過ぎたかな?)
クルトは別にこの女生徒をいじめたくて嫌がらせをしているわけではない。相手を追い詰めれば、ヘリスラー教室側が隠したいと考えている情報が出てくるかもと考えて、ぐちぐちと耳の痛い話を繰り返しているのだ。
だが相手が話さなくなればその考えも無駄になるだろう。さてどうしたものか。
「おいおい、確かきみはクルトくんだったか。あんまり後輩をいじめないでくれるかな」
女生徒とクルトの会話に、他のヘリスラー教室生徒が入ってきた。現在、教室全体を取りまとめているらしいカップスだった。
クルトの対応に後輩が困っているのを見てやって来たようだ。
「カップスさん。いえ、聞いて下さいよ。こんなんじゃあ計画の概要がまったくわからないんです」
「うん? そうなのか? 一応、説明すべき事項について彼女には暗記して貰っているんだが」
「違いますよ先輩! この人が聞きづらいことばっかり聞いて来るんです!」
椅子から女生徒が立ち上がり、泣きつく様にカップスを見る。実際、少し涙目であった。
「あー、うん。そうだね。確かにクルトくんが相手だとそうなるかもしれない」
どうなると言うのか。まるで自分が悪者になった様な気さえしてくる。まあ、クルトがやったことは意地の悪いことだったかもしれないが。
「別に聞いちゃいけないことを聞いた覚えもないですけど。カップスさんなら上手く答えてくれたりするんですか?」
「いや、どうせきみは、うちの教室の内情まで探ろうという腹だろう? それは通らないなあ」
カップスは一度クルトと仕事をする機会があり、その時、クルトの口が達者であることを知っている。やり難い相手なのだ。
「まさかですよ。僕はカップスさんが発表したアシュル街道活性化計画に興味があったから来ただけで、ヘリスラー教室の中がどうなってるかなんて興味ありません」
これも本当だ。クルトの興味はヘリスラー教室がどうしてこの様な計画を企んだのかが気になるだけで、ヘリスラー教室そのものに興味はない。詭弁みたいな言い方だが。
「計画について1から10まですべて話すことと、教室の内情を知るというのは同義だと思うんだけど………」
カップスは語るに落ちている。計画にはやはりヘリスラー教室が隠したい何かの事情が存在しているのだ。
「じゃあもし計画に参加するとなればどうするんです? 全部話してくれなきゃ、そんな街道を活性化するなんてことできませんよ?」
「ま、まあ確かにそうだね。その通りだ。よし、きみみたいな人物は味方にするに限る。もしきみが計画に参加してくれるのならば、僕らがいったい何を狙っているのかを教えようじゃないか。その代わり………」
「他言はしないって話でしょう? そこは大丈夫ですよ。誰にもバラしませんから」
なんとか相手から譲歩を引きずり出したクルト。しかしこれで満足するつもりはない。クルト自身がヘリスラー教室の計画に参加する以上、カップスが知り得る情報以上のことを探り出すつもりだからだ。
「みなさん! 今日、この晴れやかな日に、アシュル街道活性化計画を実行できることは実に幸運なことでしょう!」
確かに青空が広がるアシュルの街。その中心地の整備された広場にて、クルトは集まった魔法大学生徒達に向けて演説をするカップスを見つめていた。
大学外ということで、大学生徒以外の人目もひいている。ヘリスラー教室に在籍する生徒達は、そのことに軽い興奮を覚えている様だが、他の生徒にとってみれば計画自体が他人事に近いため、若干恥ずかしげな者が多い。
大学内で計画が発表された日から数日後。ほんの少しの準備の後に、アシュル街道活性化計画は実行されることになったのである。
(明らかに準備不足だと思うんだけどなあ。ヘリスラー教室の生徒以外はみんなそう思ってるんだけど………)
アシュル街道活性化計画がどういうものかであるかは事前に聞かされていた。
あの馬に見えない人造馬を新たな流通手段として活用することで、物資の運搬量を増やそうという計画らしい。
別にそれ自体は良いとクルトは考える。船が動かせないのなら別の物を用意しようというのは当たり前の感覚であるし、魔法使いが考えた計画なのだから、魔法が関わるゴーレムを使うというのもまだわかる。しかしやはりこの計画は穴だらけだろう。
(肝心の人造馬が、馬と同程度の力しか無いんだよなあ。正しく一馬力なんだ)
ぶっちゃけた話、役立たずである。
現在、魔法使い達が集まっているアシュル中心地には、人造馬とそれによって動かす馬車が何台か用意されており、物珍しさからか、物資搬入希望者だったり乗客希望者が一応存在はしている。
しかしあくまでそれは、魔法大学の生徒が何かイベントを始めるつもりだから、それに参加しよう程度の希望でしかない。
人造馬が普通の馬の同程度の存在でしかないとわかれば、数日の内に飽きられてしまうはずだ。
(馬と同じ程度の力しか無いんじゃ、一旦飽きればすでに存在する馬の方を利用するに決まってるじゃないか。この人造馬なんて無用の長物でしかなくなる)
それを分からないはずは無いと思うのだが、どうしてだかヘリスラー教室は計画を早く実行した様だった。
その理由もクルトは分かっている。カップス自身から聞いたのだ。
「現在、この場所に集まっている中で、人造馬の御者担当の方は予定通りの時刻に馬車を出発させてください! 問題対応担当に当たっている方は、一旦このまま大学に帰り研究準備の続きをお願いします。人造馬の馬車が再びアシュルに帰り次第、実働した人造馬の解析や修理を行って貰います」
カップスが次の予定について話し始めたので広場がざわつき始めた。そろそろ人造馬が出発するのだ。
クルトは御者担当である。御者担当はその名の通り人造馬を動かす係だ。人造馬はゴーレムである以上、ある程度の魔力を送らなければ動かない。少ない魔力でも動かせるという売りがあるらしいが、魔力が使えなければ動かせないという問題は残っている。
「よし、俺は問題対応担当だからここでお別れだな」
隣に立っていたナイツが話す。彼もまたヘリスラー教室の計画に参加していたらしい。
「そっちは上手くやったよね。自分もゴーレム研究をしてるからって、実働後の人造馬解析調査なんてことを頼まれてるんだっけ。今後の魔法研究とかにも活かせそうなの?」
ナイツはゴーレムについての魔法研究を行っているため、人造馬というゴーレムに興味を持ったらしい。もし計画に参加すれば、それについての情報や知識が得られるのではと考え、実際、それを得られる立場にはなっている。
「まあな。修理もしなきゃならないから、人造馬の内部構造なんかの資料については既に貰っている。面白いよ。ヘリスラー教室ってのはゴーレム研究も盛んみたいで、かなり最新的な研究が実用されている」
ゴーレムについてクルトは良く知らないが、ナイツが話す以上、ヘリスラー教室がこの計画に本腰を入れているのは事実である様だ。
「わざわざそれだけ重要な研究を他教室の生徒に明かす理由ってのはなんだろうね」
「だよなあ。そりゃあ人造馬自体は良くできてるが、あれでアシュル街道活性化なんて無理な話だ。それよりも、人造馬を動かし、データを取ることで新たな研究につなげようとしているのかもな」
「そんなところ……だろうね」
ナイツの考えはある意味で当たっている。カップスから聞いた、ヘリスラー教室の企みというのがまさしくそれなのだ。
現在、ヘリスラー教室のゴーレム研究は手詰まりに陥っているらしい。理論だけならもっととんでもないゴーレムを作り出せる状況だというのに、実際に作れる物と言えば、予算と労力の関係で、既存の技術で開発したゴーレムとあまり差が無い性能になってしまう。
これを解決するため、まず労力を余所の教室から借りようというのが今回の計画の実際だそうだ。
ヘリスラー教室単独で製作できる限界に近い人造馬を、多くの魔法使い達が動かすことで、その問題点と発展系を浮き彫りにさせる。
その過程で、人造馬自体の情報は他教室に渡るかもしれないが、得られたデータ。そのまとめについてはヘリスラー教室が独占する予定とのこと。
(カップスさんが話したヘリスラー教室の目的についてはこれで良しとするけど、まだ何かありそうなんだよね)
計画はヘリスラー教室だけで動いていない。どうにもそんな予感がするクルト。計画を実行する内に、それが何であるかを探ることができれば良いのだが。
「まいったなあ。実にまいった」
クルトは頭を掻きながらぼやく。人造馬でアシュルの街を出たクルト。クルトが担当する馬車は乗客でなく輸送用の荷物が載せられており、それを目的地に届けた後、アシュルの街へ再び帰る途中に問題が起こった。
「なーんで動かなくなるんだよ……。魔力はちゃんと送ってるんだけど」
人造馬が動かなくなったのだ。これには頭を抱えるクルト。まだ実験期間と言うことで、アシュルの街からは、それほど遠くない距離での運搬だったので、クルト自身は歩いて帰るという選択肢がある。しかしこの人造馬をアシュルまで帰らせるのも仕事の内のため、放って帰るわけにも行かない。
「故障かな? でも、どこが壊れたとかわからないし………」
クルトは問題対応担当とやらではないため、人造馬の直し方なんてわからない。どうしたものやらと考えた末、結局、一旦馬車をここに留めて置いて、ヘリスラー教室にそのことを報告に向かうことにした。
「これだけのデカい置物だもの。多分、盗まれるということは無いと思うけど………。まあ、叱られはするだろうね」
どのような事情であれ、仕事を完遂できなかったのはクルトの責任だ。事情を話して許されることはあっても、褒められることは絶対にないと考えていた。
しかし魔法大学に帰ったクルトを待ち受けていたのは、叱りの言葉と言うより興味や関心と言った態度であった。
「人造馬が止まったというが、それはどういった道での? いや、場所を聞いてるんじゃなくて起伏についてだ。止まった人造馬については教室の者を向かわせるから安心してくれ」
「魔力の送り方に偏りは無かったかしら? こう、ああ、駄目ね。魔力の発生方法は感覚的過ぎて言葉にするのは難しいもの」
「足はどの部分が地についていた? 全部の足が止まったのか? それとも一部?」
それらの質問に一つ一つ答えるのは面倒ではあったのだが、仕事の内なので答えないというわけにもいかなかった。
だいたい1時間程質問が続き、クルトが疲労を感じ始めた頃、漸く質問責めの時間は終わった。
教室では無く、大学の違う一室で行われたそれに疑問を覚えたクルトは、帰ってきた人造馬の調整が行われているらしい大学内の広場へと向かうことにした。
「おーいクルト。お前、人造馬を壊したらしいな。ったく仕事を増やしやがって」
着くや否やナイツが寄ってきて文句を言いに来た。
「そうだよね。普通は真っ先にこういう言葉が来るはずだ」
「何のことだ?」
クルトの言葉に疑問符を浮かべるナイツ。
「いや、ヘリスラー教室の面々がさ。僕が人造馬を壊したっていうのに、怒りもせずに状況説明ばかり聞きたがるから、調子が狂っちゃうんだよね」
人造馬はヘリスラー教室にとって大事な物では無かったのだろうか。
「それは…仕様が無いんじゃないか? 帰ってきた人造馬は、どいつもこいつも壊れたり調子が悪くなってる物ばかりだからな」
「どいつもこいつもって……全部?」
「ああ、だからこっちも大変なんだよ。全員で修理や部品交換の仕事を続けている。お前の人造馬が最後じゃあ無いだろうし、まだ故障したって話は来るだろうな」
「無茶苦茶じゃないか」
もし乗客が存在する状況で故障すれば、クレームが必ず魔法大学まで来るだろう。これだけの損耗率を見れば、人造馬自体が欠陥品だと言われる可能性だってある。そうなれば街道を活性化する計画どころ話では無くなるだろう。
「なあ、なんだかこの計画はおかしくないか? これだけ計画に支障が出てるのに、ヘリスラー教室の奴らはそれが当然みたいな顔をしているんだ。普通は慌てたり落ち込んだりするだろう?」
「だろうね。街道活性化なんて名目の話で、もっと他に何か企みがあれば別なんだろうけど」
「何か知ってるのか?」
「知ってるけど、やっぱりおかしい。これは裏の事情っていう話だそうだけど、あくまで今回の計画は人造馬の実働データを手に入れるための物って話」
口止めされていた話をナイツに伝える。周囲に話す気が無かったそれをナイツに話したのは、新たな視点が欲しかったからだ。
「確かにそれはそれでおかしいな。これだけ故障や不調が続けば、データ収集より前に教室の名声がガタ落ちだ。あそこは欠陥品しか作れない教室だなんて噂されれば、データ収集のメリットなんて目じゃないくらいの風評被害が待っている」
やはりナイツも疑問に思うところがあるらしい。探りを入れる必要があるかも。クルトとナイツは同様に考えていた。
「俺たち問題対応担当は、ヘリスラー教室の生徒達からこういう問題が起こったから、こういう方法で解決してくれと頼まれて、その後に人造馬の解析や修理を行っている。そっちはどうだ?」
「僕らはまずヘリスラー教室に人造馬でこういう問題が起こったって話を伝えてるね。御者担当と問題対応担当の間にヘリスラー教室が必ず入るわけか………」
もしヘリスラー教室が何かしらの企みを持っているのだとすれば、その間に何がしかを行っていることになる。
「ナイツ。ヘリスラー教室からの命令を聞くのは良いけど、御者担当からもできるだけ直接どういう問題が起こっているのかを聞いておいてくれない? もしかしたら何かわかるかも」
「ああ、わかった。そっちはどうする?」
「人造馬の修理が終われば、また御者をしてくれって頼まれるだろうから、その前にちょっと情報収集をするつもり。気になることが多すぎる」
クルトはいくらか疲労を覚えているものの、それ以上に計画の全容を知りたいという欲求が勝っていたので、休まず行動を開始することにした。
どうにもきな臭さを感じるというのも、クルトを動かす原動力の一つだった。
「人造馬? ああ、大学生徒さん達が始めてるあれだろ? 聞いてるよ」
クルトが真っ先に向かったのは、アシュルの街で馬車での運搬仕事を生業にしている組織だった。『風馬』という看板が立て掛けられた事務所の窓口で、御者をしているという男から話を聞くクルト。
何故かと問われれば、人造馬で街道を活性化させるという計画を発表したというのに、彼らの抗議らしい抗議が無かったからだ。
万が一人造馬が実用化されれば、彼ら御者の幾らかは仕事を奪われることになるのである。それに文句が無いというはおかしく思えた。
「どう思いますか? ああいうのでアシュル街道を活性化させることはできますかね?」
あくまで人造馬が役立つかどうか聞きに来たと言った風を装うクルト。
「ははは。大学の生徒さん達には悪いが、多分無理だろうねえ。馬を走らせて流通を活発化できるんなら、俺達がとっくにしてるからな」
馬車を運用する組織から抗議が無かったのは、計画そのものが失敗するというのを見越しての物だったらしい。
「そうだったんですか。知っていたのなら教えていただきたかったですよ……」
落ち込む振りをするクルト。同情心をくすぐることができれば、相手から話を引き出すことができるかもしれない。
「悪いねえ。失敗してくれれば商売敵になるかもしれない相手を完全に潰せるんだ。こっちだって慈善事業で仕事しているわけじゃあない。その顔を見れば、やっぱり上手く行ってないんだろ?」
「はい。まったくもってその通りです」
「まあ、そう落ち込みなさんな。そりゃあ街道の活性化自体は無理かもしれないが、ここだけの話、あの人造馬とやらに関しては、また別の事で活かすことができるかもしれないぞ?」
「どういうことです?」
気になる発言をする御者の男。人造馬を別の事で活かすとはどういうことだ。
「俺も上司から言われた話だから良くしらんがね。その人造馬を使うという計画の前に、計画そのものは失敗する“予定”だから気にするなって話があったのさ。わざわざ駄目になる計画を実行するんだから、あくまで今回は人造馬を動かしたらどうなるのかを知りたいだけだったんじゃないかねえ。失敗は成功の元って言うしな」
「失敗は既に決まっていたってことですか………」
クルトはその言葉が気になった。計画が失敗することが事前に決まっていたということは、計画すら一部分とする大きな予定があるということだ。
一体それは何を予定しているのか。アシュル街道活性化計画は、一体どういう終わり方をする予定なのか。クルトはどうにも気になった。
「上司の人から聞いたって話ですけど、それは事実ですか?」
「ここだけの話って言ったろ? 上から聞いた話なのは確かだが、詳しく聞かんでくれよ」
そう言って御者との話は終わった。クルトは事務所を出て考える。
(事はかなり大きな枠組みで起こってるのかもしれない。上からの話と言っていたけど、それはどれくらい上からなんだ? ヘリスラー教室だけでそんな話を通せる物なんだろうか)
例えば人造馬を作成してそれを動かすヘリスラー教室の側から、人造馬は役に立たないと伝えられたところで、それを信用するだろうか? 商売敵になるかもしれないと御者は言った。そういう計画の失敗を、計画した側からの言葉で信じることはできないのではとクルトは考える。
(こういう馬車での運搬をしている組織からも信頼されている誰か。多分、今回の計画にはそういう人種も絡んでるってことか………)
まだそれを探ることはできない。そろそろ大学に帰らなければならない時間だ。クルトは再び大学へ向かいながら、次の一手をどうするべきか考えていた。




