少年以外でも大志を抱いてよい事を知れ
紙がある。
アンケートの様な…誰かが誰かを探ろうとする不愉快な文字列、柔らかく言えば質問がいくつか書きなぐってある。
出先から戻った彼、坂本輝はソレを自分のデスク上で見つけた。
『自分の』
と言ってもこの部屋にあるデスクは一つ。
机上には何の感情もないオフィス用の電話が一つ、ふんぞり返っているだけだ。
(…余所の事業部のヤツでも来たか?電話じゃマズい事でも起きたんだろうか?)
少し覚悟を決めて紙を手に取る。
1、あなたはイマ、何をしていますか?
正直、理解出来なかった。
ふざけているのか?何をしてるって、今コレを見ているに決まっているだろう。
誰のイタズラかは知らんがココに来る人間は限られている、ソイツ等に問い詰めてやろう。
破り捨てようかと思ったが、妙な、違和感とでも言えばいいのか、そんな感覚に支配される。
ソレに従ってひとしきり目を通す。
どうやらソレはアンケートの様な…しかし、質問に脈絡がない。
質問者の意図がイマイチ良くわからないモノだった。
(…しかし最初にこんな質問もあったモンだ。『アナタは今幸せですか』とかなら、あぁ、宗教か何かかと思っただろうに。)
ポケットから取り出した煙草に火を点けて、紫煙の入り混じった溜め息を大きく一つ。
(そうか、コレを書いてやろう。)
適度なストレスを身体に与え、面倒臭そうにその紙に書き込む。
『納税中』
上手い事書き込んだつもりになって、彼は満足しながらペンを置き、煙草を口にくわえたまま部屋を出て行った。