春咲きact
仲間たちに 翻弄した
握った手に 力がこもる
春が 新しい一年を連れてきた
皆が 新しい一年に目を向ける
やる気に満ちた目を ギラギラ 静かに燃やしていた
僕 少し怯んだのかも
一歩後ずさり ……いや、踏み出そう
後ずさりかけた足を前へ よーい、どんっ!
右側から誰か駆けてった 前方のあの子はもうあんなところに
スタート様々 ゴールも様々
いつの日かの夢 大きくなったやら、小さくなったやら
期待と興奮 不安と焦燥感
もし、途中で消えてしまったら?……夢を失った、ら?
「負けないで」 誰かが言った。
目の前の大きな壁が 太陽の光を浴び 僕に大きな影を被せてくる
「あきらめるな」 後ろから声がする。
壁の向こう側から嬉々とした歓声 また一人、夢が叶ったのだ
「一人じゃないんだぞ」 力強い喝。
ふと気付く 手には太く長い縄が一本 準備はとうに出来ている
「……油断大敵」 最後に 僕の意気込み
ごつごつ 冷たい
見上げても 無限に壁は広がっている
まだまだ向こう岸が見える様子はない でもここが最後の砦
ふっと短く息を吸い込み ぐっとお腹に気合を貯めた
そして僕は 力強く 地面を蹴ったんだ