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階段怪談

作者: 露(つゆ)
掲載日:2026/08/25

 放課後の教室。そこで女子高生三人が何やら話をしている様だ。

「はい! じゃあウチから始めるよ! こんな話知ってる……?」

 女子高生、ヒナは声のトーンを落として話し始める。

「理科室横の階段はね、上る時は十四段なのに下る時は十三段になるの。十三日はキリストが処刑された日。そして絞首刑台への階段も十三段……」

「キャー! 怖~い!」

 マチは楽しそうに悲鳴を上げる。

 そんな中、エミはスマホをいじりながら淡々と言った。

「それって一番上の段数えてないだけじゃね? あと、最近の日本にある絞首刑台はエレベーターなんかで行くらしいよ」

「……」

「……」

 教室に静寂が流れる。

「……次行こ、次! マチの番ね!」

 ヒナは気を取り直してマチに話を振る。

「ん~そうだな~。じゃあこれは~?」

 マチは怪しい笑みを浮かべて話し始める。

「一年生の教室に向かう階段の上にはね~幽霊がいるんだ~。その幽霊は人を突き落とすの~。生きてる人が恨めしいから~。実際怪我した人が何人もいるんだよ~」

「えー! マジもんじゃんー!」

 マチの話にヒナは盛り上がる。

 そんな中、エミはまた淡々と告げる。

「あれ、滑り止めが劣化してたわんでただけらしいよ。もう直したって森先が言ってた」

「……」

「……」

 教室に静寂が流れる。

「……つ、次ウチね!」

 ヒナは咳払いをして話し始める。

「北棟の階段の踊り場にある大きな鏡。あの鏡は曰く付きで、四時四十四分に見るとあの世に連れていかれるんだって!」

「ヤダー! ホントー!?」

 きゃいきゃいはしゃぐ二人にまたもやエミは淡々と言う。

「あれ、校長がメリカルで買った三年物だって。私、その時間に鏡見たけどなんも起こらなかったよ」

「……」

「……」

 教室に静寂が流れる。

「……マ、マチ! 他なんかない!?」

「え、え~」

 必死なヒナにマチは、うーんと、うーんとと頭をひねる。

「あ、えっと~旧校舎の階段には足を引っ張る幽霊がいるんだって~」

「うんうん! 旧校舎には幽霊がつきものだよね!」

 少し顔を引きつらせながらヒナとマチは気分を高揚させた。

 しかしエミは容赦なく淡々と告げる。

「ネタがなくなったな? 突き落とすやつとおんなじ」

「……」

「……」

 エミは続ける。

「旧校舎なんて不具合のオンパレードじゃん。あと、夏休み中に取り壊されるって」

 そんな冷静なことを言うエミにヒナは声を張り上げる。

「もー! 暑いから怪談してるのに、さっきからいちゃもんばっかじゃん! そういうエミはなんかないの!」

 そんなヒナにエミは一言。

「『階段』で『怪談』しようって発想が一番のホラーだわ」

「……」

「……」

 教室に静寂が流れる。

 最初に口を開いたのはヒナだった。

「……カラオケ行こっか」

 その言葉にエミはスマホをしまう。

「行こ行こー」

「アタシも~!」

 マチも鞄を持ち、三人は教室から出ていった。

「怪談にツッコむくせによく知ってるよね」

「好きだからさ、現実にあってほしいけど、検証したらだいたい眉唾物なんだもん」

「だいたい?」

 三人の声が教室から遠ざかる。


 階段怪談、これにて終了。

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