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SHOT D RAIN〜少子化対策VRMMOで関係を持った相手が、同じ会社の社員ってあり得るの!?  作者: 丹羽坂飛鳥
幕間

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お家でデート

 初めてラブをメイキングしちゃうホテルに行った、後日のこと。

 ウインドキャッスルエリアでお買い物中の私に、個人チャットでタツキからついにお家デートのお誘いが来た。


『もしかして、一度手を出したから誘ってくれるようになったの!?』


『そう。ゲーム内でSTP消費してる相手なのに、家に連れ込んだら何するかわからないって思ってるから誘えなかっただけ。

 なしくずしシステム警戒してました』


『えー面白い。一線超えたら思い切っちゃったんだ。

 タツキやーらしー。結局なしくずしシステム発動する気のくせにー』


『だから一崎』


『ん?』


『襲われたくなかったら頼むから誘惑してこないで。

 自宅に連れ込んだら襲わない自信がない、っていま伝えてるつもりだからな』


『わかりました。課長』


『ん』


『こういう時のゴムってどっちが用意するんですか?』


 タツキが拠点で突然噴き出して赤くなってるってサークルチャットに流れた。

 だって知らないし。

 ネットで調べても答えまちまちだから教えてよ、って思ってたらメッセージがきた。


『買っておく。煽った以上、襲われても文句言わないようにな』


 今度は私が必死に街中を走る番だった。最前線で戦ってるランカー様の度胸は、やっぱり半端なかった。




 そして、ついにお家デートの日。

 課長が招き入れてくれたのは、モデルルームみたいに綺麗な一室だった。


「仕事は出来ても私生活だらしない系男子想像してたのに、片付いてる……!」


「ある程度な。姪っ子も遊びに来るから自然と綺麗になってるだけ」


 小さい子は興味示せば落ちてるものでも何でもつい口に入れちゃうって聞いたことある。

 お掃除ロボットもあるし、タツキは姪っ子のためこまめに掃除してるらしい。


 確かにゲームではアイテムスタック管理も上手いし、仕事の机も整えられてる。

 整理整頓が苦じゃない系彼氏の部屋は埃ひとつなく、コアゲーマーとは思えないスッキリさだった。


「グッズとかも買わないの? フィギュア隠してたりしない?」


「イラスト乗ってるの11Gシートくらいか……実用性重視してるからほとんど買わないな」


 好きなグッズに囲まれてる私の部屋とは大違いだったけど、知らなかった『蜷川達紀』が補完されていくから面白い。

 照れくさそうに首を触る本人を振り返ったけど、実は内見以外ノープランで来てしまったから、お恥ずかしながら早速やることがなくなった。


「おうちデートって、他に何するか知ってる?

 私は初めてなんだけどどうですか、元彼女持ち」


「えー、意識したことないな。一緒に映画とか動画見たりする?」


「いいね、映画は何が好き? タツキのおすすめ教えて」


 ソファを示されたから腰掛けたら、端末と繋がってるプロジェクタからは有名シナリオライターが脚本書いたアクション映画が出てきた。


「見たことある? ちなみにこれが一番好きな映画。もう何度も見てる」


「話題にはなってたけど、広告以外知らないかも」


「じゃあ見てみて。合わなかったら途中で教えてくれれば良いから」


 オープニングの合間に、タツキはお茶やお菓子を用意してくれた。

 隣に座ったタツキと映画鑑賞するのが、確かにお家デートっぽい気がした。


 ただタツキには悪いけど、この映画評判そこそこだったなーって覚えてるから、私はあんまり期待してなかった。


 主人公だと思ってた人たちが、五分後に全滅するまでは。


 前評判なんてすぐに覆った。

 展開早くて、ハラハラドキドキする。

 前半とか中盤とかどこ行ったんだろうってくらい展開がひっくり返って、時間も忘れてた。

 

 結末の伏線回収が綺麗で、思わず盛り上がって大興奮。

 評判そこそこなのどうしてって映画の感想言い合ったけど、タツキも嬉しそうに聞いてくれた。要素多すぎて喋りきれない。


「趣味合わない可能性も考慮してたから、最後まで見てもらえただけでも良かったのに。

 一崎が興奮したポイント教えてくれるの楽しいな」


「だってすっっごく面白かったよ。界隈そんなに盛り上がってなかったから、実は期待してなかった。

 でも当時映画館行ってたら、パンフとかグッズ集めてるレベルで良作。

 ねーもっと早く教えてよーもうグッズ買えないよー」


 興奮してたら嬉しそうなタツキに「落ち着け」って頭ぽんぽんされて、ハッとした。

 ゲームみたいに軽いスキンシップだけど、改めてタツキの家で二人きりなんだって意識してドキドキしちゃう。


 タツキとなら気が合うし一緒に上映行きたいのもあったから、私も勇気を出して最高にホットな話題を携帯端末の開示設定で差し出した。


「タツキ、今度一緒に映画館行こう?

 有名漫画のアニメ化したやつなんだけど、劇場で特典が配布されるんだって。

 中身ランダムのプロモカードなんだけど、欲しいから一緒に行ってもらえないかな」


「ああ、『ひとこい』? 配信待ち勢だったから、一崎が行きたいならぜひ。

 でもカードはもらっても困るから渡すな」


「『ひとこい』知ってるの!?

 すごーいっ語れる相手募集してたから嬉しいっ、タツキ大好き!」


 気づいてなかっただけで目の前に神がいた。

 女性向けの恋愛漫画だから略称知ってくれてることすら嬉しくて、タツキに甘えて腕に抱きついてた。


 誰かに見られそうな外じゃ出来ないから実は控えてるけど、お家デートなら腕組みも可能。

 タツキからも指が自然に繋がったから照れくさいけど、腕組みして恋人繋ぎとか実はちょっと憧れてた。


「タツキと趣味が合うの嬉しい。

 やっぱり政府AI侮れないね、本当に気が合う……」


 顔上げたらタツキと目があって、見つめあって。

 ……緊張しちゃうけど私から目を閉じたら、そのままキスしてもらえた。


 映画で興奮してるからかな、キスだけなのに気持ちいい。


 離れても何回も唇重ねてたらタツキが体に触れてきて……流れから始まったって察したけど、止めずにキスで答えてた。


「ちゅ、……っちゅ、タツキ……っ、ん」


 タツキの手のひらが肌を撫でると体が熱くなって、不思議とSTP消費したい時の気分になってくる。

 キスしながらお互いに求め合ってる。

 ブラウスの上から胸触られても嫌じゃないし、むしろ襲われるの期待してるみたい。気持ちよくてゾクゾク体が震えてた。


「可愛い彼女が隣にいると簡単に手が出るな。

 ……一崎、ベッド行かない? それともリビングでこのまま襲われる?」


 背が高くて顔もいいメガネの課長が、ちゃんと襲うって宣言してくるからドキドキする。

 食べられる可能性は事前に示唆されてたから、答えを促すキスが離れるとタツキに倒れ込んだ。


「……ベッド希望。タツキの寝室も見てみたい、です」


「じゃあこっち」


 奥の部屋に連れて行ってもらったけど、寝室は白と黒で統一された落ち着いた空間だった。

 家具のセレクトが無機質系で、銃火器使ってるタツキらしいし男の子っぽいって何となく意識しちゃう。


 キョロキョロしながらも手を引かれて移動すると、セミダブルのベッドに近づいていく。

 シーツの上に連れ込まれて、あっという間に押し倒されて……キスされながら、タツキがいつも寝てる場所で食べられちゃうんだって心臓バクバクになってた。


 ゲームのチュートリアルのおかげで、タツキの技巧レベルは上がっていく一方。

 今日も夢中で受け入れてるうちに全身に快楽が広がって、腰がビクビク跳ねてた。

 SHOT D RAINで何度も味わってきたはずなのに、頭が真っ白になって……体験したことのない痛烈な快感に一瞬意識飛んだかと思ったくらい、思考も何もかも焼き切られて呼吸だけ繰り返してた。ゲームはログアウトしないように出力下げてるみたい。


 〜〜♪


 不意に聞き慣れた着信音が聞こえたから、音の方に二人で顔向けてる。

 ベッド脇に置かれた私の服が光ってて、携帯端末の着信音がうっすら鳴ってた。

 わざわざ鳴るのは両親か会社だけにしてる。

 でも直属の上司は目の前にいるから、両親確定だってベッドに沈んじゃった。


「音切るの忘れてた……多分お母さんかな」


「悪いことしてるのバレた気分だな」


 確かに鳴ったタイミングすごいから、笑っちゃった。


 ゲームなら装備の着脱も一瞬だけど、現実はそうもいかないからお互い身支度を整え直す。

 端末確認すると、履歴にはお母さんからの不在着信が二件も入ってた。


「ごめんタツキ、お母さんからの電話折り返していい?」


「もちろん。急用だと悪いからすぐに掛け直してあげて」


 タツキがリビングに移動して一人にしてくれたから、私はベッドに座って通話。

 ……でも内容は急ぎじゃなかった。


 どうやらタツキと飲む話をお盆にしてたから、お父さんは早く日取りの打ち合わせがしたいらしい。

 初彼相手だからって張り切り過ぎてるし、何より気が早いって呆れちゃった。


「好きなお酒とか私に聞かれてもビールくらいしか知らないんだけど、適当じゃだめ?

 ……もう、ちょっと待ってて。

 ごめんタツキ、直接喋ってもらってもいい?

 お父さんタツキと飲む日楽しみにしてるみたいで、日取りとか決めたいんだって。

 私挟むより絶対早いから代わってもらいたいんだけど、だめかな」


「いいよ、代わって。

 ……もしもし、お電話代わりました、蜷川です。先日は……」


 課長が丁寧に応対して、自分の予定と私の予定も照らし合わせてアポ取ってた。

 用件も終わったらしくお母さんが代わってって言って電話もらったけど、今から楽しみにしてるらしい。

 リビングにまたはけてく上司の対応が満点だったのは私も分かった。さすが優秀社員賞、電話させても上手い。憎い。


『ところで蓮花。今日はデート?』


「え、どうして」


『蜷川さんとすぐ代われるくらいの距離感に今いるってことでしょう?』


 しまった、ミスった。タツキはデートバレしても恥ずかしくないかもだけど、私は何となく恥ずかしい。

 どう誤魔化そうかなって焦ってたら、お母さんが更なる爆弾を放り込んできた。


『お父さんったらね、蜷川さんなら授かり婚も許してるんですって』


 待ってこれどこにいるかまで把握してる?!

 親の直感は鋭いって聞いたことあるけど、もしかしてタツキの家にいることバレてるかな!?


 とにかくデート中だって押し切って、急いで親との通話を切った。

 ベッドに倒れながら真っ赤になって考えてたけど、静かになったのを察して戻ってきたタツキがベッドシーツと仲良い私を見て目を丸くしてた。

 考えてもどうにもならないから、事実を上司に報告することにしした。


「課長、ご報告いいですか」


「ん? どうした」


「お父さん、授かり婚でもいいよって言ってました」


「突然ハードル下がってるんだけど何があった?」


 きっと、そんなのまだまだ先の話だって。

 だけど話を聞いてくれるタツキ相手に結婚をちょっと考えちゃったくらいには、私も優しく慰めてくれる年上の上司にハマってるんだって分かった。


 ……いつか、結婚したくなる日が来るのかな。

 首に触って照れくさそうなタツキを見ながら、タツキならいいかも、ってオフ申請もらった時みたいに思い始めてるんだから、やっぱり親の一言って侮れない。

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