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【完結】『異世界の管理者権限(アドミン) 〜バグだらけの世界を「仕様変更」して無双する。最強の相棒(UI担当)と組んで、物理キーボードで神様をハッキングしました〜』  作者: 文月ナオ
第二章 ウイルス・スキャンとスパムダンジョン

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第60話 復活するチートコード。 〜ルナちゃんがいれば無敵! 領主の館のセキュリティを「ザル」に書き換えた〜


 市場の裏路地でブローカーを締め上げた俺は、ルナを背負って合流地点へと急いだ。

 場所は、領主の館が見える中央広場の時計塔の下。


「ナオト、あそこ」


 ルナが小さな指で指し示す。

 そこには、既に仕事を終えた三人が待っていた。


「あーっ! 先輩! 遅いですよー!」


 ミサが俺を見つけて手を振る。


「悪いな。ちょっと情報を吐かせるのに手間取った。……工場の方はどうだ?」


「バッチリだよ! 物理的にラインを止めて、ゴーレムも全機スクラップにしてやったし!」


 エルーカが胸を張る。

 レギナも涼しい顔で頷いた。


「警備兵も制圧済みだ。これで偽物の生産は止まるだろう」


「よくやった。さすがだな」


 俺は三人を労い、ブローカーから得た情報を共有した。


「黒幕の居場所が割れた。……あそこだ」


 俺は広場の向こう、高い塀に囲まれた豪奢な屋敷――『領主の館』を指差した。

 この街の支配者である領主が、錬金術師ガリウスを匿い、地下で偽造品を作らせているらしい。


「領主が黒幕ですか……。権力を笠に着て、やりたい放題ですね」


 ミサが嫌悪感を露わにする。


「正面から行っても門前払いだろうな。警備も厳重だ。結界魔法も張られてる」


 館の周囲には、目に見えない魔力の壁が張り巡らされていた。

 物理的な侵入はもちろん、転移魔法などの空間干渉も弾く強力な結界だ。


「どうしますか、師匠? 私が囮になって正面突破しましょうか?」


 エルーカが聖剣に手をかけるが、俺は首を振った。


「いや、もっとスマートに行こう」


 ルナの持つ『絶対肯定権限』の影響範囲は半径10メートル。

 合流した時点で、俺とミサは既に運営の監視が届かない「安全地帯(セーフゾーン)」の中にいる。

 これで、ミサの封じられていたチート能力も解禁される。つまり、不正アクセスし放題、チート使い放題のボーナスタイムだ。


「ミサ。あの館のセキュリティ、お前のセンスで『改装』してやれ」


「了解です! あんなダサい結界、私がリデザインしてお洒落にしちゃいます!」


 ミサがニヤリと笑い、タブレットにペンを走らせる。


「対象:領主の館の外壁及び結界。……スタイルシート適用!」


 彼女が空中に複雑な図形を描くと、館を包んでいた透明な結界にノイズが走った。


「属性変更! 『物理遮断』を『透過(トランスペアレント)』に書き換え! ついでに警備兵の視覚情報に『モザイク処理』を追加!」


 パチンッ!


 ミサが指を鳴らす。

 すると、館の正門を守っていた屈強な衛兵たちが、急にキョロキョロとし始めた。


「あ、あれ? 前が見えんぞ? 霧か?」


「なんだこのモヤモヤは!?」


 彼らの視界には今、俺たちの姿はおろか、周囲の景色さえも粗いドット絵のようなモザイクに映っているはずだ。


「よし、ザルになったな。行くぞ」


 俺たちは堂々と正門を通り抜けた。

 衛兵たちは俺たちのすぐ横を通っても、全く気づかない。


「すごいです……! ミサさんの魔法、やっぱり反則ですね」


 エルーカが苦笑しながら、衛兵の目の前で手を振ってみせる。


「うむ。だが頼もしい。マスターたちが本調子なら、百人力だ」


 レギナも嬉しそうだ。

 ここまでは彼女たちに頼り切りだったが、ここからは俺たちも暴れられる。


 館の敷地内に入ると、次は建物への侵入だ。

 正面玄関は鍵がかかっているが、今の俺たちには関係ない。


「先輩、ドアノブのデザインが気に入りません。消しちゃっていいですか?」


「ああ。壁ごと消していいぞ」


「『壁』属性を『自動ドア』に変更!」


 ミサが壁に触れると、堅牢な石壁が左右にスライドして開いた。

 もはやセキュリティも物理法則も関係ない。

 俺たちは悠々と館の内部へと侵入した。


 廊下を進むと、地下へと続く隠し階段の前にたどり着いた。

 ここにも厳重な魔法陣が描かれているが、俺が一瞥しただけで霧散した。


『Access Granted.(アクセス承認)』


 俺の眼鏡が、認証コードを一瞬で解析・偽装したのだ。


「……さて。この下に、俺たちを騙した詐欺師がいる」


 俺は階段の闇を見下ろした。

 地下からは、微かな魔力の脈動と、異質な機械音が響いてくる。


「行きましょう。偽物騒動のケリをつけに」


 ミサがタブレットを構え直す。

 エルーカとレギナも、戦闘態勢に入った。

 ルナは俺のコートの裾を掴み、じっと前を見据えている。


「悪い大人は、お仕置きだ」




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