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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第2章 修行
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「綺麗な掃除道具」

「さあ、掃除の時間だ。」

アランの声は普段より低く威圧感があった。

「ラファエル様、あれは本当にアラン様なのですか?」

「わからない。とりあえずビクトリアは屋敷全体に防御結界を張れ。」

ビクトリアは屋敷を丸ごと囲い込むように大規模な防御結界を張った。

「おいガキ、お前ついに頭がいかれたか?」

「誰が頭のおかいしいやつだって?」

その瞬間、アランはラファエルの目の前に現れて、殴り飛ばした。

「ぶはぁっ.....!」

(見えなかった...あのガキ、なにかおかしい。本当にあいつなのか?)

「おい、お前本当にあのガキか?」

ラファエルが聞くと、アランが答えた。

「われはもう一人のアランだ。君たちが知っているアランは今はいない。」

(どういうことだ?もう一人のガキ?もしかして、多重人格か?とりあえずあいつを止めないと。)

ラファエルは光の槍をアランの前に大量に作った。

「ガキの分際で調子に乗るな!」

そう言いながら、アランに向けて光の槍を飛ばした。

「おっそ。」

アラン光の槍を無視して、ラファエルの目の前に現れ殴り飛ばした。

(おかしい。身体能力も上がってるし、何より魔力が多すぎる。普段より体が何倍も重いし、魔術も使いづらい。これだと、魔王より強いぞ。こっちも本気を出さないと...)

「ビクトリア、神器を持って来い。これは緊急事態だ。」

「わかりました。今すぐに。」

ビクトリアは屋敷の方に走って行った。

「何よそ見してるんだ?」

アランがそう言ってラファエルの目の前に現れ、殴ろうとした。だが、途中で何かに阻まれた。

「防御結果か。邪魔だな。」

そう言って防御結界を素手で殴ると、防御結界が割れたガラスのように粉々に割れた。

(今のでかなり魔力を消費したな。速くこいつをどうにかしないと負けるな。)

その時、目の前に剣が投げられてきた。

「よお相棒、このガキをぶっ潰すぞ。」

そう言ってアランを吹き飛ばした。

「これが、神器か。面白い。少しは楽しめそうだ。」

アランがそう言うと、魔力のオーラがさっきより強くなった。

「まだ、本気じゃなかったのか。おいクソガキ、死んでも知らないからな!」

ラファエルはさっきより速くアランの前に行き剣を振った。だが、アランは軽々とかわし、隙ができた脇腹に一発殴った。

(これだと防戦一方だな。一気にかたをつけるしかないか。)

ラファエルは神器を掲げ空に巨大な光の矢を作った。

「神の子ラファエル・オブリに力を、光の神ラクス。貫け光明の矢!」

光の矢はさっき作った光の槍よりはるかに強かった。

「お前もわれと同じ神の子か。でも、そんなものでわれを倒せるとも?」

その瞬間、光の矢が消えた。

「は?光明の矢が消えた?あれは光の神の加護をついてるのに?まさか、お前...」

「この世界の異物は掃除しないと。さあ破壊神ディンスター、我に掃除道具を。」

アランがそう言うと、空高くに巨大な隕石のようなものが無数に現れた。

「さあそこの老人よ、見るが良い。この世界の歴史が変わるところを。さあ掃除を始めよう彗星の雨!」

真上にあった無数の巨大な隕石が、彗星のように光を放ちながら地面に向かってきた。

「こりゃまいったな。これじゃあ、魔王より魔王してるじゃないか。ここからどうするか。その時ビクトリアが屋敷から出てきた。

「ラファエル様、これを!」

そう言ってビクトリアは何かを投げた。

「これは...拘束の神器カーチャー!もう一度使うとはな。運命とは読めないものだな。」

ラファエルはカーチャーをアランに投げた。

「光の神よ。奴に裁きを!」

「ん?なんだこれ。せっかく、もうすぐ彗星が来るっていうのに。」

その瞬間アランはカーチャーに拘束され、頭上まで迫っていた彗星も消えた。

カーチャーは白く輝きながら、アランを腕ごと拘束するように身体全体を覆った。

「ん?あれなんで僕捕まってるの?ちょっと、師匠!ひどくないですか、これ。弟子虐待ですよ!」

カーチャーがアランを捕まえたため、破壊神の力が一時的になくなったのだ。

「弟子虐待?ふざけんな。こっちが師匠虐待で訴えるわ!」

「てか、なんで師匠そんなにボロボロなんですか?なんかあったんですか?」

「ラファエル様...」

「ビクトリア。あのガキはさっきまでの記憶がないようだな。これは少し研究が必要だな。とりあえず、ガキをあのまま屋敷に運べ。」

「承知しました。」

* * *

「つまり僕は、神の力を使ってこの世界を滅ぼそうとしたってことですか?」

「そういうことだ。だが、お前は普通じゃない。普通の神の子でも、あそこまで強くはならない。俺も神の子だが、あそこまで強化されない。」

「え?師匠も神の子なんですか!?」

「お前本当に記憶がないんだな。まあ、それについても詳しく知りたいから、旧友に頼るとしよう。それはそうと、見たところ魔力が戻ったようだな。魔眼は使えるか?目に力を込める感じだ。」

アランが目に力を込めると、アランの目が紫色に光った。

「あ!なんかモヤモヤみたいなのが見える!てか、師匠もビクトリアもなんかデカくないですか?」

「お前にだけは言われたくないな。ビクトリア、鏡を持って来い。」

ラファエルがそう言うと、ビクトリアは部屋の外から等身大ぐらいの鏡を持ってきた。

「なんかデカくない?師匠と同じぐらいあるんだけど。」

「お前は今カーチャーをつけてるから魔力はだいぶ制限されている。それでも、その大きさだと大体十万以上はあるだろうな。」

「十万!?そんなに多いんですか?てか、速くこれ外してくれません?そろそろきついんですけど。」

「それは無理な願いだな。それは拘束の神器カーチャーと呼ばれているもので、お前の力を封印してるものだ。つまり、それを外した瞬間お前が暴走するだろう。」

「え!?初めて神器を見たけど、こういうものなんですね。てか、そしたら僕一生動けないんですか?」

アランがそう言うと、ラファエルがカーチャーに触れた瞬間、身体全体を覆っていた拘束が、ネックレスになった。

ネックレスのチェーンの部分は銀色で、ネックレスのペンダントの部分には青と銀が渦を巻くようなリングがついていた。

「神器の中には、形を変えることができるものもある。カーチャーもそのうちの一つだ。だが、カーチャーにも弱点はある。今の状態だと、お前も外せる。だが、他人も外せる。だから、気をつけろよ。誰かが勝手に外した瞬間、この世界が滅びるからな。」

「さ、流石に大げさすぎますよ。でも、気をつけます。ところで、気になったことがあるんですけど、なぜ僕が神の子ってわかったのですか?」

「それは、エルフ族だからだ。エルフ族の古い言い伝えによると、エルフは神の子を導く使命があるらしい。だから、エルフ族は皆神の子かどうか判断することができるんだ。」

「なるほど。だから、ビクトリアも僕のことを見て驚いていたんですね。」

「そうです。私もラファエル様もアラン様を見て驚きました。神の子であることはわかったのですが、不思議なオーラが出てましたから。」

「そ、そうですか。そしたら、僕はこれから何をすれば良いんですか?」

そう言うと、ラファエルは邪悪な顔をして言った。

「修行だよ。魔術と魔法と剣術だな。」

「魔法?魔法って人間は使えないですよね。」

「それは人間の固定観念に基づいてのことだ。魔法も使えるようにはなる。」

「お前は魔法使いになるんだ。」

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