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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第2章 修行
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「呪い」

その瞬間目の前にあった世界樹が、砂のように散り散りになり、目の前に大きな屋敷が現れた。見たところ、ウォード公爵家の屋敷より大きいだろう。

「こ、これは幻影魔術ですか?」

「幻影魔術の応用だ。魔道具を使っている。」

「で、でもこんな巨大な魔術を使える魔道具ってどんなに大きな魔石を使っているんですか!?」

魔道具は魔石を素材として作っている。魔石は、魔力を溜め込むことができ、それを魔道具の魔術式で魔力を解放している。この時、魔石は大きさと質が重要だ。特に、大きさに関しては、魔石は加工が難しいのであまり大きなものはない。なので、魔道具は基本、簡易結界や、初級魔術しか使えないのだ。

「この世界には体内魔力と体外魔力があるのは知っているな?これは、体外魔力を魔石に取り入れて使っている。」

「え?体外魔力って、魔法でしか使えないのではないのですか?」

魔術と魔法は違うものだ。魔法は魔族や魔物、精霊が使うものだ。人間は魔法を応用して、魔術を使っている。なので、魔術を使うには魔術式が必要なのだ。

魔法は、体内魔力と体外魔力どちらも使う。人間は体内魔力しか使えない。これは、体の仕組みが違うのだ。人間は体内魔力を使うと体外魔力を体内魔力に変換し、補充する。

だから、魔力を一定数使うと休息が必要になる。だから、魔術を使うには体内魔力が多いほうが良いのだ。

しかし、魔族などの魔法を使うものは違う。体内魔力と体外魔力を使うので、魔力を人間より多く使える。

また、魔法は、詠唱は必要ないが、人間は魔術式を使うので詠唱が必要なのだ。といっても、魔術式を頭の中で組み立てる事ができれば詠唱は必要ない。だから、宮廷魔術師や、魔術師四天王などの一部の人間は詠唱をせずに魔術を使うことができる。

「それは後で教える。だからついて来い。」

アランは、老人とメイドについて行き、屋敷の中に入った。

屋敷の中には、メイドがもう二人いてアランは応接間のようなところに案内された。

「俺の名前はラファエル・オブリだ。俺と一緒にいたメイドはビクトリアだ。」

(ラファエルってこの国の名前だけど、偽名かな?)

「俺は魔王を倒したラファエルと言えばわかるだろう?」

「は?」

「まあ、そういうことだからよろしく。」

「そういうこと?もうちょっと詳しく説明してくれます?子供にもわかるように。」

「それは私が説明しましょう。ラファエル様は本当に魔王を倒しています。まずこれは千年前の話です。」

「すみません、千年も生きてる人なんているんですか?」

「私達はエルフです。エルフは大昔に魔族に滅ぼされました。私達はその生き残りです。」

「あ、あの、エルフって耳が尖っていると聞いたのですけど。」

「切りました。」

「は?」

「尖った耳は、自分からエルフと名乗っているようなものです。なので、切りました。」

「ん?エルフの耳って、エルフにとって大切なものと聞きいたんですけど...」

エルフの耳は、エルフの証であるもの。エルフは自分の命の次に耳を大事にしている。だから、アランはビクトリアとラファエルが自分の耳を切ったと聞いて、驚いているのだ。

「まあ、別に命に比べたら安いもんですよ。で、ラファエル様は魔王を倒したのですが、その反動で、寿命が決まってしまってので、素質のある弟子を探していたのです。」

「それが僕と?てか千年も探しているんだったらもう2,3人は見つかるのでは?」

「それなのですが、弟子には条件がありまして...」

ビクトリアが何か言いづらそうにしていた。

「それは俺が説明しよう。弟子の条件は、2つ。1つ目は膨大な魔力量。これは、俺が教える魔術には魔力を多く使うからだ。2つ目は、神の子。お前は神の子を知ってるか?」

「神の子?なんですか、それ。」

「神の子は、神の力を使える人のことです。」

神の子。古い文献にしか載っていない、神の力を持っている子。アランが知らなかったのは、大昔にアロアー教会によってすべて処分されてしまった。アロアー教会は、国と同等の権力を持ち、大半の国がアロアー教を国教としている。アロアー教は、魔王を倒した英雄ラファエルを神とし、今までいた他の神を信仰している宗教を弾圧したのだ。

つまり、ラファエルは自分が魔王を倒したせいで、自分の弟子を作りづらくしたのだ。

「なるほど。で、僕が神の子と言っているのですね。宗教勧誘はお断りなので、今日はありがとうございました。」

アランはそう言うと、座っていたソファーを立ち、部屋から退室しようとした。

だが、ビクトリアがそれを止めた。

「も、もう少し話を聞いてもらえませんか?」

アランは嫌そうな顔で言った。

「だって、胡散臭いですよ。大体、僕には魔力がありませんし。」

アランがそう話すと、ラファエルが何かを察したように言った。

「お前、呪いにかかってるな?」

「へ?」

(呪い?でも、僕が呪いをかけられた?そんなこと、いつ起きた?)

「最初に会った時の違和感はこれだったか。」

「僕が呪いにかけられてる?どういうことですか?」

ビクトリアもラファエルに聞きたそうだった。

「そもそも、人間も、魔物も魔族もエルフも魔力がない者なんていないんだよ。魔力は生きるために最低限あるんだよ。」

「つまり、魔力がない人はいないってことですか?」

「そういうことだ。魔力がないと言われてる人は、魔道具の故障か、魔族の呪いによるものだ。呪いは、普通の者が見てもわからないが、魔眼を持っている者は少しだが、呪いのオーラが見れる。」

「魔眼って、相手の魔力を見れるものですよね。」

「ああ、そうだ。俺とビクトリアは持っている。見た感じだと、お前も持っているな?」

「え?でも、僕には魔力なんて見えませんよ?」

「魔眼は魔力を込めないと使えないんだ。だから、自分が魔眼を持っていると気づかずに一生を終える者もいる。」

「じゃあ、その魔眼も、魔力も呪いを解ければ良いんですね!」

「そういこと。俺達の目的は話したぞ。次はお前の番だ。聞いた感じだとアランは偽名だな。事情を説明しろ。」

(しょうがないか。デイビットさんの手先じゃなさそうだし。)

「僕はエドワード・フォン・ウォードです。ウォード公爵家の一人です。アランは偽名です。」

アランが事情を説明すると、ラファエルとビクトリアは驚いていた。

「ラファエル様、エドワード様はあの方の...」

「人生とは面白いな。」

「あ、あのエドワードというのはやめてもらえますか?僕はその名前はもう捨てたんです。アランと読んでもらえますか?」

そう言うと、ビクトリアは謝罪した。

「すみませんでした、アラン様。これからは私のことはビクトリアとお呼びください。私はメイドなので。」

「ビクトリアよろしくね!」

アランがそう言うとビクトリアは微笑んだ。

「それで、その呪いというのはどうやって解くんですか?」

「まあ、見た感じだと直ぐに解けそうだから、今からやるぞ。あと、これからは俺のことは師匠と呼べ。わかったなガキ。」

「あ、あの僕のなま...」

「わかったな、ガキ。」

ラファエルの威圧感はすごかった。バーナードよりも遥かに重かった。

「わ、わかりました...」

* * *

アランたちは屋敷の庭に来た。

「すごい広いですね。ここでやるんですか?」

「ああそうだ。呪いを解いたら最初、反動でめまいがすると思うから気をつけろよ。」

「もしかして、呪いを解く副作用てヤバいですか?」

「まあ、死なないし大丈夫だろ。」

アランは怖くなり、ビクトリアに話しかけた。

「ビクトリア。もしかして呪いを解くのってヤバい?」

「ヤバいです。普通の人だったら死にます。」

「僕死ぬの?」

「まあ大丈夫ですよ。多分...」

「たぶんか...」

(俺まじで死ぬの?いやだよ。俺もうちょっと生きたいんだけど。頼むからなるべく軽くが良い...)

「じゃあ始めるぞ。」

「はい。」

アランは、庭の中央に立った。それと同時に、ラファエルが手をアランに向けて魔術を発動させた。

ラファエルは無詠唱で魔術を使った。

紫色の稲妻がアランに向かって出ているが、その光は何かに阻まれているようだった。

「ビクトリア。ガキの呪いはかなり強い。お前も手伝え。」

「承知しました。」

ラファエルがビクトリアに指示すると、ビクトリアも魔術を放った。

その瞬間、アランから魔力のオーラが放たれ、ラファエルとビクトリアは吹き飛ばされた。

「何だこの魔力...俺の倍以上はあるぞ。」

「ラファエル様、そんな話をしている場合じゃありません。これはちょっとまずいです。」

二人が話していると、アランがこちらに近づいてきて言った。

「さあ、掃除の時間だ。」

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