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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第4章 王立魔術師学校マギア 前編
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「ファッションショー」

この服屋は王都でもかなり有名な店だ。

何より、品揃えが豊富であり、大勢の市民がここに服を買いに来ている。

今日も大勢の人がここに集まっているが、そこにひときわ注目されている4人の女性が居た。

「あんたたち、なんでついてきたのよ」

「私はアランの恋人よ」

「私はアラン様のメイドです」

「私は...うーん、なんかあるかな...」

「ほら、ないでしょ。さっさと尻尾巻いて帰りなさい」

「そういうマリアはどうなのよ」

「私はアランの姉よ。アランに群がるクズたちを排除しないといけないから」

4人はアランの後をつけていった。

その頃、アランたちは手分けして、アランに似合う服を探していた。

かれこれ数十分経つと、皆が集合場所へ集まってきた。

「じゃあ、試着してもらうか」

アランはそれぞれが持ってきた服を順番に着ていった。

そのなかでも、かなり人気のあるものが2つあった。

アランが試着室から出てきた。

「ねぇ、これすっごく大きいんだけど...」

アランが今着ている服は、アランにとってはかなり大きいサイズであった。

そのため、袖から手が見えることはなく、服の裾がアランの膝くらいまで届いていた。

「おぉ...可愛い...」

「こういう選択肢があったとは...こんど写真を取ってもらおう」

「え?写真ですか?そんな、僕大層なものじゃないんですけど...」

「そうかい?周りを見てごらん」

周りを見ると、皆口角が上がり、顔がにやけていた。

だが、その人気を誇るほどの服装が現れた。

アランがカーテンを開けると、そこには、驚きの光景が広がっていた。

「あ、最高...」

アランの服装は、上下つながった服装であり、アランの容姿が女の子にも見えた。

「俺、タイプかも...」

「よし、さっきのと2つで会計をしよう!」

「え?あ、うん...」

その後、アランは会計を済ませた。

その頃、あの4人はというと...

「ねぇ、あれ、良くない?」

「あれ良いわね。私あれ結構ささるわ」

「私はアラン様が着るならなんでも...」

「いや、とは言ってもじゃない?アランちゃんがスーツを着ても、あんまり似合わなそうじゃない?」

「たしかに...」

そんな話をしていると、近くから数人の男たちがやって来た。

「ねぇねぇ、君たち、少し時間ある?」

「ないわ」

「即答だね...少しでいいからさ、俺達とお茶しない?」

「しないわ」

「いいじゃんよ。俺達結構顔良いぜ?」

「知らん」

マリアたちのあまりの興味の無さに、男たちはムキになっていた。

「ほらほら、行こうよ!こんなところで留まってないで!」

男たちはそう言って、マリアたちを強引に連れて行こうとした。

その様子に周りもざわつき始めた。

そんなところに、その男たちを止めるものが現れた。

「お姉さんたちが嫌がってますよ。やめてあげてください」

「あ、アラン!?」

マリアの肩を掴んでいる腕を、アランは掴み取った。

「はぁ?子供は引っ込んでろ」

そう言うと、その男はアランを突き飛ばそうとした。

だが、アランはそれを受け流すと、男は勢い余って倒れてしまった。

「クソ!ガキが調子に乗るな!」

男がそう言うと、周りの仲間たちもアランに襲いかかった。

次々に襲いかかる様子に、周りの観衆は止めようとする者だったり、一方的な様に目を覆い隠す者もいた。

だが、観衆の思いや、襲いかかる男たちの期待は簡単に裏切られた。

アランは次々に襲い掛かってくる男たちをなぎ倒していった。

「これで全員かな」

アランの周りには、さっきまでマリアたちに絡んでいた男たちが倒れていた。

少しすると、男たちはなんとか立ち上がり、慌てて逃げていった。

すると、周りの観衆から盛大な拍手を受けた。

「いつまで惚けてるの?もう、僕行くから、ついてこないでね」

そう言って、アランはマリアたちのもとを去っていった。

「私の彼氏なのに!」

レベッカはそう言って、マリアを前後に揺さぶった。

すると、マリアは我に返ったように、アランを探し始めた。

「え?アラン、どこに行っちゃったの?」

「どっか行ったわよ」

「ねぇ、さっきからレベッカ、アランちゃんのことを彼氏って言ってるけど、どういうこと?」

「え?そのまんまだけど...」

「は?アランちゃんがそんなに簡単に承諾するとは思えないんだけど」

「色々とあったの!」

「あっそ。なら、別に私が狙ったも良いよね?」

「はぁ!?そんなのダメにっ...」

「早く行きますよ。アラン様に置いていかれますよ」

 * * *

アランたちのテーブルに、紅茶が運ばれてきた。

紅茶は赤く、濃い色であり、芳醇な香りが漂ってきた。

アランはミルクを入れて口につけた。

「...!美味しい!いつも飲んでる紅茶と全然違う!」

「この紅茶には、特別な茶葉を使っおりますので、とても上品な仕上がりになっております」

運んできてくれた店員が、この紅茶について詳しく教えてくれた。

「そうなんですね。この紅茶はどこで売ってるんですか?」

「申し訳ございません...これはマスターと、その師匠でしか知り得ないんです...」

「師匠?」

「はい。マルフィン侯爵のフロム料理長です」

「へ、へぇー...それはすごいですね」

そんな話をしていると、新たにパンケーキが運ばれてきた。

アランがパンケーキを口に運ぶと、食感はふわふわと、とろけるような甘さであった。

「美味しい!」

アーサーたちも食べ始めると、すぐに手が止まらなくなった。

あまりの美味しさに、皆はすぐに完食した。

「そういえば、さっきアランがトイレ行ってる時騒ぎが起きてたけど、大丈夫だったか?」

「え!?あ、だ、大丈夫だったよ!」

「そうか...まあ、そりゃそうだよな!エイムを倒すぐらい強いんだからな!」

皆はそう言いながら、笑った。

そんな中、アーサーがアランに小声で声をかけてきた。

「あそこの4人って、どっからどう見てもマリアたちだよね」

「ですよね...多分、僕のことを監視するためについてきたんだと思います...」

「流石、アラン君はモテるね」

「せめて、もうちょっと変装して欲しかったですね...」

アランたちは店を出ると、皆はその場で現地解散となった。

帰り道、アランとアーサー、そしてへルックは少し寄り道をして帰った。

「もしアラン君がここに入ったら、マリアたちはどんな反応をするだろうね」

「アーサー、お前性格悪いな...」

アランたちの前にある店の名前は、マダムメーベル。

いわゆる、キャバクラのようなものであった。

アランたちが入店すると、沢山の女性たちがやってきた。

「ネビル君じゃん!久しぶり!元気にしてた?」

「やあメル。私は元気にしていたよ。君は?」

「あたしは君が来てくれないから元気じゃなかったよ!そこの2人は君の連れ?」

「そうだよ。少しからかおうと思ってね」

「からかう?」

アーサーがメルに周りには聞こえない程の声でことの次第を伝えると、メルはすごく楽しそうに喋り出した。

「ネビル君は性格悪いね〜。でも、あたしはそんなネビル君も好きだよ」

「それはどうも」

「本当に釣れないわね。でも、本当に良い客を連れてきてくれたよ!あの2人、顔が良いわね。とくに、さっき言ってた子は。もう、女の子たちに囲まれてるじゃん」

アランとへルックの周りには大勢の女性が群がっていた。中には、さっきまで接待をしていた子も...

アランやへルックが戸惑っていると、店の扉が蹴破られ、4人の人影が見えた。

「どうやら、ここまでのようね」

「扉は私が後で弁償しておくよ」

「アランを返しなさい!」

煙が明けると、そこにはマリアたちが陣取っていた。

レベッカがアランを見つけると、周りの女性たちを跳ね除け、アランの元へ一目散に走って行った。

レベッカはアランの襟元を掴むと、引きずりながら出て行った。

そして、アーサーとへルックはというと、マリアとベルにボコボコされながら連れ出された。

アランたちは、人気のないところへ連れて行かれると、マリアやレベッカからお叱りを受けた。

「あんた、アランになんてとこ行かせてんの!こんな可愛いアランを、あんな獣の檻に放り込むなんて...」

「そうよ!これは、彼女として看過できないわ!」

「え、今彼女って言った?」

「アランもアランよ!彼女である私を差し置いて、あんなところに行くなんて!」

「え!?付き合ってたの!?」

「なにか問題でもありすか!」

「い、いや、問題はないけど、アラン君がそんな簡単に堕ちるかなって...」

「それな。ベルを堕としたアランが、レベッカごときに堕ちるとは思えないわ」

「お前たち、こういう時だけ仲良いよな...」

結局、アランたちは日が暮れるまで4人に説教され、帰る頃には、空に星が見えていた。

「ねえビクトリア」

「なんですか、アラン様」

ビクトリアは珍しく、アランにそっけない態度をとった。

どうやら、先の事でまだ怒っているようだ。

「みんなで、見た時も、こんな綺麗な夜空だったよね」

「...そうですね」

「冬には、一度帰ろうね。師匠に、色々なことを話したいな。僕の大切なものが増えたって」

「...ラファエル様の好きだったお酒でも、買って行きましょう」

アランとビクトリアが顔合わせると、笑みが溢れた。

その顔は、楽しそうな顔であったが、その目の奥では少し寂しげな様子が伺えた。

「あの...私たちも居るんですけど...」

「そうよ!私だって、アランの家に行きたいわ!」

「そうだね。いつか、一緒に行こうね」

帰り道、レベッカは皆にバレないよう、アランと手を繋いで帰った。

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