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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第4章 王立魔術師学校マギア 前編
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「招かれざる客人」

「招かれざる客人だね」

そう言うと、フェンデスは立ち上がり、魔術を使い、武器を出した。

「アレンは少し隠れていて」

フェンデスは、物陰に隠れるアランを確認すると、男たちに向かって話しかけた。

「君たちは僕に要件があるのかい?」

「大剣を出している人に言う義理はないな!」

そう言って、男たちはフェンデスに襲いかかった。

男たちの様子を見るとかなりの手練とわかった。

だが、フェンデスの敵ではなかった。

フェンデスは大剣を、短剣のように軽やかに振り、男たちを寄せ付けなかった。

「お、お前ら!相手は大剣だからリーチが長い!こちらは魔術で応戦しろ!」

そう言って、皆はそれぞれ魔術を放った。

だが、フェンデスは大剣を一振しただけで、魔術を防いでしまった。

「プランBだ!」

男たちの中のリーダーらしき人間がそう言うと、男たちは何度も魔術を放ち、フェンデスを足止めした。

その間に、隠れていた他の男たちがアランの下へ忍び寄った。

「アレンが危ない!」

フェンデスはすぐに相手の意図に気づき、足止めをしていた者たちを薙ぎ払い、アランの下へ向かった。

だが、敵の思惑通りになり、アランは敵に囲まれていた。

「アレンを放せ!」

フェンデスはそう叫んだが、男たちは止まらず、アレンに襲いかかった。

だが、その瞬間、男たちは吹き飛ばされてしまった。

「え...」

アランの手には赤い棒が握られていた。

敵は動揺していたが、すぐに体勢を立て直し、アランに襲いかかった。

だが、アランはセシルで斬撃を作りだし、敵たちを吹き飛ばした。

「あ、ちょっとやりすぎたかな...」

それから、アランとフェンデスは敵を拘束し、騎士団に引き渡した。

二人は馬車に乗り、帰路についた。

「ねぇ、アレン、少し聞いても良いかい?」

「な、なんでしょう...」

「さっきのことなんだけど、アレンって何者なの?ただのメイドにしては戦いに慣れすぎている」

(やばい!さっきのはやりすぎたか。どうしよう...とりあえず言い訳を考えないと)

「えっとですね、シーザス様が『俺のメイドなら戦えて当然』って仰りまして、よくギルドの依頼を受けさせられたんですよ...」

「そ、そうなんだ...僕の勘違いか」

「なにかおっしゃいましたか?」

「いや、なんでもないよ。それより、今日はごめんね、僕と一緒に居たせいで危険な目に合わせて...」

「いえ、大丈夫ですよ。それだけ殿下が有名ということですから。僕は嬉しいですよ」

「そ、そうかな?」

二人が話していると、馬車が王城に着いた。

「じゃ、じゃあ、また、今度誘うから、またね!」

フェンデスは馬車を降りると、アランに別れを告げて、王城の中に戻っていった。

それから、アランはシーザスにこのことを伝えてから、王城に帰ると、空はもう暗くなっていた。

アランが、王城に帰ると、レベッカに加えてマリアやベルージュが話していた。

「ただいま」

「あ!アラン!あのクソ王子はなにかしなかった?」

「大丈夫だよお姉ちゃん。それより、早くこれを脱ぎたいだけど」

アランの服装は完全に女の子の服装であり、アランからすればかなり羞恥心の欠片もない服装だった。

「はい、じゃあ、みなさんは出ていてくださいね」

「え?ちょっ!」

するとそこに居たビクトリアが皆を部屋から追い出した。

だが、そこで一人の男が止めに入った。

「はい、ストップ。君も出ていってくれるかい?君も女性だろう?」

「いえ、私はただのメイドです。異性だろうが関係ありません」

「では、これは命令だ。ロイヤルルームでは王族が絶対だ」

そう言って、アーサーはビクトリアも追い出した。

「ありがとうございます、アーサーさん」

「いや、君が困っていたからね。着替え終わったら、少し話をしたい」

そう言うと、部屋の中にあった椅子に座り、紅茶を飲み始めた。

アランが着替え終わると、一つの違和感に気づいた。

「なんでお姉ちゃんにベルが居るんですか?ここは王族しか入れないはずじゃ...」

「不法侵入」

「あ...」

「まあ、それはおいといて、もしかしないでも、ミオラを滅ぼしたのは君だろう?」

「え!?そ、それは...」

「父上が連れ出したのだろう?」

「うっ...そうです...」

「ギルド長が怒っていたよ『何勝手にうちの子を使って国を滅ぼしてんだよ』って」

「返す言葉がありません...」

(うちの子以外は...)

実は、アーサーが言っていたことは、先程シーザスからも言われていた。

「別に君がしたことに怒っているわけじゃないんだよ。でも、国を滅ぼす、つまり大勢の人間を殺すということは、それなりの覚悟があるってことで良いんだね?」

「はい」

「即答か」

「これだけは言っておきます。僕は敵に対して、自分の大切な人達を傷つける者たちに対して、容赦はしません。それが、たとえ国王陛下であろうと、父上であろうと」

アランは冷徹で、覚悟の決めている戦士の目をしていた。

「そうかい。その言葉が聞けただけで今日は良かったよ。では、本題に入ろうか」

「え?今のが本題じゃないんですか?」

「違うよ。今日の本題は我が弟についてだ」

「あ、そっちか」

すると、なにやら、部屋の扉が奇妙な音を奏で始めた。

「ん?」

その音は更に大きくなっていった。

「ま、まさか、あいつら...」

アーサーの予想は案の定的中した。

扉が限界を迎え、粉々になると、すぐに二人の女がアランに寄って来た。

「アラン!?ミオラを滅ぼしたのってあなただったの!?私今、すっごく大変なだけど!」

「すごい!流石私の自慢の弟!お姉ちゃんが褒めてあげる!」

「ちょ、二人とも待って!」

だが、二人は止まらずに、アランを壁際まで追い込んだ。

そこで、二人を止めるものが現れた。

「二人とも、頭を冷やしなさい。アランちゃんが困ってるじゃない」

ベルージュである。

その声を聞いて二人ともやっと我に戻った。

アーサーが二人をアランから引き剥がし、近くにある椅子に座らせた。

「それで、君たちは私達の話を盗み聞きしていたのかい?」

「...」

「...」

二人ともうつむき、黙り込んだ。

「それは、聞いていたと受け取ろう。それで、どこから聞いていたんだい?」

「...最初から...」

「...同じく...」

アーサーは頭を抱えて言った。

「お前らは子どもか!」

いつものマリアであれば、言い返していたが、この場では分が悪かった。

「で、ベルよ。逃げきれると思ったのか?」

「なんのことでしょうか」

「あくまでしらを切るつもりか。でも、どうせ君も聞いていたのだろう?」

「さあ、真実はどうでありましたか...」

そもそもベルージュは、国王からこのことを聞いていたので、今更驚くこともなかった。

その言葉にアーサーは更に頭を抱えた。

「アラン君にプライベートはないのか?」

「確かに...今気づきました」

「遅いね...」

アランは初めて気づいた。

マリアやビクトリア、ベルージュが勝手に部屋に入って来れること。

勝手に写真を取ること。

その悪行の数々を...

「お姉ちゃん、ビクトリア、ベルージュ、この部屋出禁ね」

「嘘!?ちょ、待ってよアラン!」

「お、お待ち下さい!私は何も悪いことはしておりません!」

「な、なんで!?」

「自覚がなさそうだね...」

「いっそ、空で寝るか...」

「ま、まあ、そんなことより、アラン、少し話してもらえる?」

「...そうだね」

それから、事の発端から、その終局まで、アランは全てを洗いざらい話した。

「なるほどね...まあ、それなら少しは許してあげるわ」

「ベル、後でしばくからね」

「派手にやりましたね...」

 * * *

色とりどりの花畑の中に、二人の男が立っていた。

一人はオドオドした成年。

もう一人は、髭を生やした白髪の男。

その二人の間に夕日が二人を照らすように位置していた。

「頼んでいた件についてだが...」

「は、はい...え、えっと、結論、から、申し上げると...助けるのは、難しいかと...」

「...そうか」

そう言って、その男は去ろうとした。

「で、ですが!まだ、他の国に、あるかも、知れません!た、例えば、東の国...」

「...それならもう調べている」

「...そう、ですか...」

再び、白髪の男は歩みを始めた。

「ば、バーナードさん!」

「...なんだ、まだようか...」

「い、いえ...ただ、その、あ、諦めないでください!」

「...」

オドオドした男は、必死でバーナードを励ました。

だが、バーナードの心にはもう、響かなかった。

「あ、あと、一つ、だけ...きょ、今日、面白い、人に、会いました...黒髪で、透き通ったような、海、のような、瞳、の人に...」

「...そうか...参考にしておこう...」

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