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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第4章 王立魔術師学校マギア 前編
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「彗零星窩蜂」

「彗零星窩蜂」の読み方は「すいれいせいかほう」です。

彗零星窩蜂(すいれいせいかほう)

「これは予想外...わしは悪い夢でも見ているのか?」

皆は空を見上げた。

それもそのはず、昼間にも関わらず、周りは暗く、静まり返っていた。

太陽の光など見えず、見えるのは、綺麗な星空。

夜空に見入っていると、その瞬間、王城が消え失せた。

なにかが空から降ってきたのである。

そして、アランの目の前には広がっていた。

街が滅びるさまが。

彗零星窩蜂。

これは、彗星の雨の上位互換であり、破壊神の奥義。

指定の範囲を星空に変え、そこから無数の星を降らせ、地上にあるもの全てを破壊する。

そして、これには大きな特徴が3つある。

1つ目、この神術は範囲内のものを全て破壊し尽くすまで止まらない。

2つ目、この神術には必中効果がある。

周りにあった建物は空から降り注ぐ星に破壊され、粉々になっていた。

星一つの威力が馬鹿げていた。

少なくとも、ラファエル王国に居る全ての魔術師を集めて防御結界を張っても、たった一つの星も防げないだろう。

それが半永久的に降り注ぐ。

ソルブやプラネスから見ると地獄絵図だ。

だが、アランは違った。

(やべぇ、アラン君はやべぇ、本物の化け物だ...なんでそんな顔ができるんだよ!)

アランの顔は美しかった。

綺麗な星空を眺めている美少年だった。

数秒が経つと、攻撃が止んだ。

「お、終わったか...」

すると、広がっていた星空が一つの球体へと吸い込まれていった。

球体はビー玉ほどの大きさであり、空からゆっくりと降下してきた。

地上に触れた瞬間、アランたちは爆発に巻き込まれた。

3つ目の特徴。

範囲内にあるエネルギーを一つに凝縮し、爆発する。

これは超新星爆発にも匹敵するほどの威力であった。

王都を丸ごと飲み込み、爆風はラファエル王国の王都まで届いていた。

爆発が収まり、ソルブたちが目を開けると、そこには無以外のなにものでもなかった。

もし言い表せると言うなら、巨大クレーターとでも言うのだろう。

「王都が...」

「予想外過ぎますね、これは...」

「いやー、疲れた...魔力があと少ししかないですよ。」

「そんなふうには見えないがな...」

ソルブの目には、マリアに匹敵するほどの魔力量が見えた。

「彗零星窩蜂はめっちゃ魔力を使うんですよ」

「そ、そうか...」

すると、プラネスが異変に気づいた。

「アラン殿、耳飾りが黄色く光っていますが」

「え?」

その瞬間、アランの顔がみるみる青くなってきた。

「やられた!まずい!」

「どうしたのだ?」

「敵襲です!場所は王立魔術師学校マギアです!」

 * * *

アランがミオラ王国の王都を吹き飛ばした頃...

「魔王様、潜入していた魔族との連絡が途絶えました」

「彗星の魔法使いのか」

「はい。どうやら、奴が王都を丸ごと吹き飛ばしたようで...」

「まじか...でも、これは好機だ。待機させていた部隊を動かしてくれ」

「承知いたしました」

王立魔術師学校マギアでは大混乱が起きていた。

「な、なんだ!?向こうの空が暗いぞ!」

「すごく光ってる...」

休日の生徒たちが見入っていると、いきなり爆発音がした。

「て、敵襲だ!」

外を見ると、大勢の魔族たちがこちらへ魔法を放っていた。

「応戦するぞ!」

アーサーを中心とし、近くに居た生徒たちは魔族たちと戦闘に入った。

魔族たちもマギアの生徒たちも統率が取れており、何も知らない者からするとただの戦争のように見えるだろう。

戦況は一見互角。

だが、指揮官たちの目には違って見えた。

「相手は人間、まともにやりあえているのは、あそこの五人か。ほかの生徒はそこそこといったところか」

「体勢を崩すな!マリア達は他の生徒達の援護に入れ!絶対に単独行動を取るな!」

(私達の魔術では魔族の魔法の発動速度には叶わない...このままでは数で押し切られてしまう。なぜこんな時に限ってアラン君が居ないんだ!)

アーサーがそう考えていると、魔族の中でもやたら強そうな者がやって来た。

アーサーはすぐに相手の力量に気づき、他の魔族たちはマリア達に任せ、アーサーはこの魔族に集中した。

「お前、上位魔族か?」

「いかにも。そう言うお前は、ここの指揮官といったところだな。お前を殺せば統率が崩れるだろう」

「殺せたらの話だな!」

アーサーは光の矢を作り、魔族に向かって攻撃した。

だが、魔族は持っていた剣で一振りしただけで、アーサーの魔術は薙ぎ払われてしまった。

「ちっ、魔剣か」

「ほう、一目で魔剣と見抜くとは大したものだな」

「そりゃどうも」

そう言いながら、アーサーは更に光の矢を作った。

「何回やっても結果は同じだ」

魔族はそう言いながら、光の矢から身を守った。

「なるほど、数で押し切ろうと考えたのか」

「それだけじゃないぞ!」

そう言って、指を鳴らすと、魔族の足元から炎が現れ、魔族は炎の海に飲みこまれた。

(頼むぞ、傷一つぐらいついててくれよ)

だが、その願いは儚く消え失せた。

「これだから魔剣は嫌いなんだ」

魔族を見ると、アーサーが作った炎が手にある剣へと吸収されているように見えた。

「この温かさは丁度良いな」

「ぬかせ!」

アーサーはすぐに次の準備をした。

「ホーリーレスト!」

すると、地面から光の鎖が現れ、魔族の手足を封じた。

「ホールプルグネンス!」

そこに光の槍を放ち、魔族を貫こうとした。

だが、魔族はそれをただの筋肉だけで防いでしまった。

「硬すぎだろ!」

アーサーが驚いていると、魔族は繋がれていた鎖を引きちぎった。

「所詮は人間、魔族には勝てるわけなかろう」

そう言って、魔族はアーサーとの距離を詰め、蹴り飛ばした。

「ぶはっっ...」

(い、今ので、何本かいかれたか...このままだと、負ける...みんなも他の魔族の相手で手一杯か...あれさえあれば...)

そう思いながら、なんとか立ち上がったが、吐血し、今にも意識が飛びそうであった。

「兄上!」

横を見ると、校舎から中等部のフェンデス達も外に出て来ていた。

「できた弟だな...」

「良いんですよ、ここで見殺しにしても。今は緊急事態なので協力してあげているだけですから」

「それは困るな。フェンデス、私はこれからあの魔族と決着をつける、お前は負傷した者達を校舎の中へ運んでくれ」

「で、ですが私も加勢に!」

「馬鹿を言うな!お前が来たところでこの戦況は変わりやしない!私達王族の務めは、国民を守ることだ!ここに居る誰一人として死なせるものか!」

「ちっ、これだから嫌いだ」

そう言って、フェンデスは取り巻きたちを連れて負傷者の元へと向かった。手土産を残して。

「これでお前を倒せるな」

「ハッタリは通用せんぞ」

「ハッタリなんかじゃない!」

 * * *

アーサーが上位魔族と戦っている頃、マリア達は他の魔族の相手をしていた。

「メテオスマッシュ!」

マリアが詠唱すると、目の前に居た魔族たちを燃えカスにしてしまった。

「怯むな!魔族たちを押し返せ!」

マリアの言葉に、生徒たちの士気は上がっていった。

へルックが氷魔術で、敵を凍らせ、他の生徒たちがとどめを刺す。

ベルージュは雷魔術を使い、魔族たちを痺れさせ、動きを止めたところに他の者達がとどめを刺す。

皆、連携の取れた動きであった。

レベッカはというと...

「負傷者は私の後ろに来て!」

レベッカの作った水の壁は強力なもので、魔族の魔法でもそう簡単には壊せなかった。

「お、俺達の魔術じゃ魔法に勝てねぇ...」

「な、なんで私の魔術が効かないのよ!」

最初は押し返すことができていたが、生徒たちの疲労や、魔族の強さに段々と押し返されていった。

「スペースプロージョン!」

そこにマリアが古代魔法は、魔族たちを押し返すことはできたが、死に至らしめることまではできなかった。

「あいつら硬すぎんだろ!」

「それに数も多いわ。マリアもかなり魔力を消費してるし、私達がどうにかするしかないわ」

「やるしかねぇか...」

「ほんと最悪」

すると、二人は一箇所に集まり、術式を作り始めた。

「フリーズライン!」

「エレクトロニックレールガン!」

へルックの古代魔法は敵を一直線上に凍らせ、ベルージュの古代魔法はそれを一直線上に破壊し尽くした。

「はぁ、はぁ、きついな、古代魔法は」

「流石に減ってほしいわね」

魔術を放った方向を見ると、確かに魔族は減っていたが、奥から更に魔族が現れてしまった。

「嘘でしょ...」

「マリア!どうすんだよ!」

マリアの方向を見ると、あちらもあちらで手一杯であった。

「まずいな、押されているぞ」

へルックがアーサーの方向を見ると、衝撃の景色が広がっていた。

「アーサー!」

アーサーを見ると、上位魔族と互角に戦っており、二人とも血を流し、ボロボロであった。

「俺はアーサーの援護に行く!」

「へルック横!」

へルックが横を見ると、魔族が剣を振り上げ、へルックに攻撃を仕掛けていた。

(まずい!これじゃあ、魔術が間に合わねぇ!)

へルックは、咄嗟の判断で、賭けに出た。

魔族がへルックを斬ろうとしたところ、それを、へルックは見事に受け止めた。

へルックは、両手で剣をはさみ、そのまま、筋力で剣をへし折ってしまった。

「成功したぜ、真剣白刃取り!」

そう言いながら、へルックは、魔族を蹴り飛ばし、アーサーの元へ向かおうとした。

だが、すでに手遅れであった。

「アーサー!」

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