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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第1章 家出
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「茶会」

マリアとアーサーは仲良く茶会をしていた。仲良く...

「なんで、あんたと茶会なんかしないといけないのよ!」

「それはこっちのセリフだ、このバカ娘が。」

「誰がバカ娘ですって!?筆記テストは4勝2敗で、実技テストは6勝0敗ですけど、負け犬の遠吠えですか?」

「別に、筆記テストはすべて3点差だし、実技テストも魔力量の差で負けただけだし!何勝った気でいるんだね、君は。」

「ふ、ふたりとも落ち着いてください。一度頭を冷やしてください。」

そう言ったのはバーナードだった。バーナードの思惑だと...

(『あら、アーサー殿下。今日も素敵ですね。殿下は何を着てもお似合いですわ。』

『そうかい?君もその服似合っているよ。今度、城に招待するよ。』)

こんな感じで上手くいくと思っていた。しかし、現実は甘くなかった。

「だいたい私は今日エディと一緒に運動するって決めていたのに、なんでこんな奴と茶会をしないといけないわけ?」

「それはこっちのセリフだな。せっかく、エドワード君に会えると思ってきたのにこんな奴と茶会だなんて、とんだ災難だ。」

「はあ?私のエディに会おうとしてんのよ!?ふざけんじゃないわよ。」

「これはこれは、とんだブラコンだな。これではエドワード君も可哀想だな。せっかくだし私が引き取ってあげようじゃないか。」

「なにが可哀想ですって?一度も会ったことがないのに、エディのこと何もわかっていないわね。」

「アーサー殿下もマリアも一度落ち着いて。もうすぐ陛下が来ますよ。」

「え?」

「なに?」

(流石に、国王陛下の前でこんなことで喧嘩しているのはまずいわね。それより速くエディに会いたい...)

バーナードが国王が来ることを話した瞬間二人は静かになった。

「ウォード公爵、父上は今、病で伏せっております。正直言うと父上はもう老い先長くありません。なのになぜここに来るのですか?」

「私が茶会を開くとお話したところ、少しだけ顔を出すとおっしゃりました。」

バーナードとアーサーが話していると、扉が開いた。

「悪かったね、老い先短くて。」

そう微笑みながら言ったのは国王だった。

「ち、父上、これには深い深い理由がりまして...」

「いいのだよ。私も自分の寿命がもうすぐだってことはわかっている。だからこそ後継者を育てないといけないのだよ。だがその心配もなくなったよ。アーサーに良い友達ができたようで。」

国王がアーサーに向けてそう言うと、アーサーとマリアは同時に話しだした。

「よ、良い友達?このブラコン野郎と友達?」

「よ、良い友達?この負けず嫌いと友達?」

国王は微笑みながら言った。

「とても仲が良いじゃないか。最後に見れてよかった。」

「何が最後なのですか、父上。まだまだ生きてもらわないと困りますよ!」

「そうですね。陛下にはまだやることがたくさんありますから。」

「そうですわね。あの負けず嫌いに正しい教育をしてもらわないと。」

三人がそう言うと、

「そうだな。まだまだ長生きしないといけないな。」

* * *

「はあ、はあ、やばい、死ぬ。」

「今日も頑張りましたね!明日も頑張りましょう。」

そう言ったのはデイビットだった。鬼教官から普通の秘書に戻ったのだ。

「あれはやばいっすよ。流石に無理..,」

「簡単ですよ。動かない的ですよ。」

「いや、タコ糸を半分に切るって難しすぎますよ。」

そんな話をしていると、2つの人影が出てきた。

「こんなところにいたのね。すっごい汗かいてるけど、ほんとに運動?」

そこにいたのはマリアと一人の男の子だった。男の子はマリアより少し身長が高く、金髪であり、青色の瞳だった。

「君が、エドワード君かい?」

(誰だろうこの人。それにしてもイケメンだな。もしかして、お姉ちゃんの彼氏?)

「は、はい、そうです。いつも姉がお世話になっています!」

そう言うとマリアの顔が嬉しそうな顔から怒りの顔になっていた。

「エディ、一つ良いこと教えてあげる。この男の子はね私のストーカーなの。」

その瞬間アーサーの顔が豹変した。

「誰がストーカーだ!?ふざけんな、このブラコン野郎!」

マリアとアーサーが喧嘩を始めた。

「ぶらこん?お姉ちゃん”ぶらこん”て何?」

(まずい、エディがブラコンの意味に気づいたらきっと、私のことを嫌ってしまう...とりあえず何か、言い訳をしないと!)

「それはね、とても優秀で完璧な人のことを言うのよ。」

「じゃあお姉ちゃんは完璧じゃないからブラコンじゃないね!」

「エ、エディ!?」

「おいマリア、何が優秀で完璧な人だ?エドワード君に本当のことも言えない腰抜けが。」

「あんたは黙ってなさい。」

(こんのクソガキは、なんでこんなときに限って口出してくるのよ!)

マリアとアーサーの喧嘩は今にも魔術がとびそうだった。

(もしかして、彼氏じゃなくて友達?それにしても、この人の名前なんて言うんだろう。)

「あのー、喧嘩してるところ悪いんですけど、お名前は?」

「あ、ごめん。名前を言ってなかったね。私の名前はアーサー・ハワードだ。この国の第一王子と言えばわかるかな?」

「あ、この国の第一王子ですね。今日は姉の足止めありがとうございます!」

「足止め?」

「足止め?」

「あっ。」

(まずい、口が滑った。やばい、まじでやばい。これ以上話すと、お姉ちゃんが暴れ出すぞ...)

「ねえ、エディ。足止めってどういうこと?お姉ちゃん怒らないから、本当のこと言ってごらん。」

マリアが今にも怒りそうな顔でエドワードに尋問をしようとすると、デイビットが近くの休憩所から出てきた。

「これはマリア様に、アーサー殿下。どうされたのですか?」

「あら、デイビット。茶会で足止めとはどういうことか説明しなさい。」

マリアがそう言うと、デイビットは完璧な笑顔で返した。

「足止め?なんのことですか?私は、エドワード様と少し運動をしていただけですが。」

「少し?これが少しですって?エディはかなり疲れているように見えるけど。本当のことを言わないとあなたの彼女に言うわよ。」

マリアがそう言うと、デイビットの顔がみるみる青くなっていった。

「そ、そんなことが、ど、どうしたのですか。」

「あら、じゃあ別に言っても良いということね。じゃあ、今から会いに行こうかしら。」

「ほ、本当のことを言うのでそれだけは、ご勘弁を...」

そう言いながらデイビットは土下座をしていた。

(デイビットさんが土下座!?いつも冷静なのにすごい動揺してるし、そんなに彼女のことが怖いのかな。)

「じゃあ本当のことを言いなさい。」

「エドワード様に剣術を教えてほしいと言われ、エドワード様に教えていたのです。」

「練習メニューは?」

「えっとそれは...」

「言わないと彼女に言いつけるわよ。」

「い、言います。」

その姿を見たエドワードとアーサーは小声で話していた。

「アーサーさん。」

「なんだい、エドワード君。」

「お姉ちゃんって、優秀な尋問官なんですね。」

「そうだね、マリアはああなると、本当に怖いからね。」

(一度、あの尋問を食らったことがあるけど、本当に死ぬかと思ったからな。マリアはああなると口を出してはいけないんだよな...)

そんな話をしていると、デイビットが練習メニューについて話した。

「えっと、ランニングを30分、腕立て伏せ100回、腹筋100回、スクワット100回、素振りを30分、その後、糸を二つに切る練習です...」

そう言うと、マリアより先に、アーサーの口が開いた

「それって、近衛騎士団のメニューですよね。しかも、一番きついと言われている第三騎士団の。」

アーサーがこのメニューを知っているのには理由があった。

アーサーは、次期国王として剣術や魔術ができないといけなかった。なので、近衛騎士団にたまに行って練習をしているのだ。

(でも、流石に4歳の子に第三騎士団のメニューはきつすぎるな。よくこんなメニューをこなせるな。)

「デイビット、やっていいことと、やってはいけないことがあるのは知っているわよね。」

「は、はい。」

「あなたがやっているのは、悪いことよ。」

マリアの顔には怒りしか見えなかった。

「お姉ちゃん!デイビットさんは悪くないよ。僕が頼んだから、僕が好きでやってるの。」

「エディ、本当にそうなの?こんなことを4歳の子にやらせるには厳しすぎると思うんだけど。」

マリアがそう話すと、エドワードは涙目になって言った。

「お姉ちゃんは僕のこと信じてくれないの?」

そう言うと、マリアの顔から怒りが消えた。

エドワードは魔術師の才能はないが、顔はかなり良かった。マリアは100年に一度の美少女と言われているが、エドワードは1000年に一度の美少年と言われている。ちなみに、エドワードはラファエル王国の弟にしたいランキングの第1位だ。2位と票数差が3倍もある、圧倒的1位だった。ちなみに、このコンテストはマリアが勝手にエントリーしたもので、本人は知らない。

「わ、わかったから!ほら、泣かないで。お姉ちゃんはエディのこと信じるから。」

その一瞬だけ、エドワードがデイビットの方を見た。まるで、何かを話しているようだった。

(お姉ちゃんチョロいね。)

(チョロいですね。)

二人が頭の中でやり取りをしていると、アーサーが話しだした。

「私は、もうそろそろ時間なので帰るとしましょう。今日はエドワード君の顔見れたので70点ってところでしょう。では、また。」

「さっさと帰れこの負け犬。」

「お姉ちゃん口が悪いよ。」

そう言いながら、アーサーを見送った。

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