「茶会」
マリアとアーサーは仲良く茶会をしていた。仲良く...
「なんで、あんたと茶会なんかしないといけないのよ!」
「それはこっちのセリフだ、このバカ娘が。」
「誰がバカ娘ですって!?筆記テストは4勝2敗で、実技テストは6勝0敗ですけど、負け犬の遠吠えですか?」
「別に、筆記テストはすべて3点差だし、実技テストも魔力量の差で負けただけだし!何勝った気でいるんだね、君は。」
「ふ、ふたりとも落ち着いてください。一度頭を冷やしてください。」
そう言ったのはバーナードだった。バーナードの思惑だと...
(『あら、アーサー殿下。今日も素敵ですね。殿下は何を着てもお似合いですわ。』
『そうかい?君もその服似合っているよ。今度、城に招待するよ。』)
こんな感じで上手くいくと思っていた。しかし、現実は甘くなかった。
「だいたい私は今日エディと一緒に運動するって決めていたのに、なんでこんな奴と茶会をしないといけないわけ?」
「それはこっちのセリフだな。せっかく、エドワード君に会えると思ってきたのにこんな奴と茶会だなんて、とんだ災難だ。」
「はあ?私のエディに会おうとしてんのよ!?ふざけんじゃないわよ。」
「これはこれは、とんだブラコンだな。これではエドワード君も可哀想だな。せっかくだし私が引き取ってあげようじゃないか。」
「なにが可哀想ですって?一度も会ったことがないのに、エディのこと何もわかっていないわね。」
「アーサー殿下もマリアも一度落ち着いて。もうすぐ陛下が来ますよ。」
「え?」
「なに?」
(流石に、国王陛下の前でこんなことで喧嘩しているのはまずいわね。それより速くエディに会いたい...)
バーナードが国王が来ることを話した瞬間二人は静かになった。
「ウォード公爵、父上は今、病で伏せっております。正直言うと父上はもう老い先長くありません。なのになぜここに来るのですか?」
「私が茶会を開くとお話したところ、少しだけ顔を出すとおっしゃりました。」
バーナードとアーサーが話していると、扉が開いた。
「悪かったね、老い先短くて。」
そう微笑みながら言ったのは国王だった。
「ち、父上、これには深い深い理由がりまして...」
「いいのだよ。私も自分の寿命がもうすぐだってことはわかっている。だからこそ後継者を育てないといけないのだよ。だがその心配もなくなったよ。アーサーに良い友達ができたようで。」
国王がアーサーに向けてそう言うと、アーサーとマリアは同時に話しだした。
「よ、良い友達?このブラコン野郎と友達?」
「よ、良い友達?この負けず嫌いと友達?」
国王は微笑みながら言った。
「とても仲が良いじゃないか。最後に見れてよかった。」
「何が最後なのですか、父上。まだまだ生きてもらわないと困りますよ!」
「そうですね。陛下にはまだやることがたくさんありますから。」
「そうですわね。あの負けず嫌いに正しい教育をしてもらわないと。」
三人がそう言うと、
「そうだな。まだまだ長生きしないといけないな。」
* * *
「はあ、はあ、やばい、死ぬ。」
「今日も頑張りましたね!明日も頑張りましょう。」
そう言ったのはデイビットだった。鬼教官から普通の秘書に戻ったのだ。
「あれはやばいっすよ。流石に無理..,」
「簡単ですよ。動かない的ですよ。」
「いや、タコ糸を半分に切るって難しすぎますよ。」
そんな話をしていると、2つの人影が出てきた。
「こんなところにいたのね。すっごい汗かいてるけど、ほんとに運動?」
そこにいたのはマリアと一人の男の子だった。男の子はマリアより少し身長が高く、金髪であり、青色の瞳だった。
「君が、エドワード君かい?」
(誰だろうこの人。それにしてもイケメンだな。もしかして、お姉ちゃんの彼氏?)
「は、はい、そうです。いつも姉がお世話になっています!」
そう言うとマリアの顔が嬉しそうな顔から怒りの顔になっていた。
「エディ、一つ良いこと教えてあげる。この男の子はね私のストーカーなの。」
その瞬間アーサーの顔が豹変した。
「誰がストーカーだ!?ふざけんな、このブラコン野郎!」
マリアとアーサーが喧嘩を始めた。
「ぶらこん?お姉ちゃん”ぶらこん”て何?」
(まずい、エディがブラコンの意味に気づいたらきっと、私のことを嫌ってしまう...とりあえず何か、言い訳をしないと!)
「それはね、とても優秀で完璧な人のことを言うのよ。」
「じゃあお姉ちゃんは完璧じゃないからブラコンじゃないね!」
「エ、エディ!?」
「おいマリア、何が優秀で完璧な人だ?エドワード君に本当のことも言えない腰抜けが。」
「あんたは黙ってなさい。」
(こんのクソガキは、なんでこんなときに限って口出してくるのよ!)
マリアとアーサーの喧嘩は今にも魔術がとびそうだった。
(もしかして、彼氏じゃなくて友達?それにしても、この人の名前なんて言うんだろう。)
「あのー、喧嘩してるところ悪いんですけど、お名前は?」
「あ、ごめん。名前を言ってなかったね。私の名前はアーサー・ハワードだ。この国の第一王子と言えばわかるかな?」
「あ、この国の第一王子ですね。今日は姉の足止めありがとうございます!」
「足止め?」
「足止め?」
「あっ。」
(まずい、口が滑った。やばい、まじでやばい。これ以上話すと、お姉ちゃんが暴れ出すぞ...)
「ねえ、エディ。足止めってどういうこと?お姉ちゃん怒らないから、本当のこと言ってごらん。」
マリアが今にも怒りそうな顔でエドワードに尋問をしようとすると、デイビットが近くの休憩所から出てきた。
「これはマリア様に、アーサー殿下。どうされたのですか?」
「あら、デイビット。茶会で足止めとはどういうことか説明しなさい。」
マリアがそう言うと、デイビットは完璧な笑顔で返した。
「足止め?なんのことですか?私は、エドワード様と少し運動をしていただけですが。」
「少し?これが少しですって?エディはかなり疲れているように見えるけど。本当のことを言わないとあなたの彼女に言うわよ。」
マリアがそう言うと、デイビットの顔がみるみる青くなっていった。
「そ、そんなことが、ど、どうしたのですか。」
「あら、じゃあ別に言っても良いということね。じゃあ、今から会いに行こうかしら。」
「ほ、本当のことを言うのでそれだけは、ご勘弁を...」
そう言いながらデイビットは土下座をしていた。
(デイビットさんが土下座!?いつも冷静なのにすごい動揺してるし、そんなに彼女のことが怖いのかな。)
「じゃあ本当のことを言いなさい。」
「エドワード様に剣術を教えてほしいと言われ、エドワード様に教えていたのです。」
「練習メニューは?」
「えっとそれは...」
「言わないと彼女に言いつけるわよ。」
「い、言います。」
その姿を見たエドワードとアーサーは小声で話していた。
「アーサーさん。」
「なんだい、エドワード君。」
「お姉ちゃんって、優秀な尋問官なんですね。」
「そうだね、マリアはああなると、本当に怖いからね。」
(一度、あの尋問を食らったことがあるけど、本当に死ぬかと思ったからな。マリアはああなると口を出してはいけないんだよな...)
そんな話をしていると、デイビットが練習メニューについて話した。
「えっと、ランニングを30分、腕立て伏せ100回、腹筋100回、スクワット100回、素振りを30分、その後、糸を二つに切る練習です...」
そう言うと、マリアより先に、アーサーの口が開いた
「それって、近衛騎士団のメニューですよね。しかも、一番きついと言われている第三騎士団の。」
アーサーがこのメニューを知っているのには理由があった。
アーサーは、次期国王として剣術や魔術ができないといけなかった。なので、近衛騎士団にたまに行って練習をしているのだ。
(でも、流石に4歳の子に第三騎士団のメニューはきつすぎるな。よくこんなメニューをこなせるな。)
「デイビット、やっていいことと、やってはいけないことがあるのは知っているわよね。」
「は、はい。」
「あなたがやっているのは、悪いことよ。」
マリアの顔には怒りしか見えなかった。
「お姉ちゃん!デイビットさんは悪くないよ。僕が頼んだから、僕が好きでやってるの。」
「エディ、本当にそうなの?こんなことを4歳の子にやらせるには厳しすぎると思うんだけど。」
マリアがそう話すと、エドワードは涙目になって言った。
「お姉ちゃんは僕のこと信じてくれないの?」
そう言うと、マリアの顔から怒りが消えた。
エドワードは魔術師の才能はないが、顔はかなり良かった。マリアは100年に一度の美少女と言われているが、エドワードは1000年に一度の美少年と言われている。ちなみに、エドワードはラファエル王国の弟にしたいランキングの第1位だ。2位と票数差が3倍もある、圧倒的1位だった。ちなみに、このコンテストはマリアが勝手にエントリーしたもので、本人は知らない。
「わ、わかったから!ほら、泣かないで。お姉ちゃんはエディのこと信じるから。」
その一瞬だけ、エドワードがデイビットの方を見た。まるで、何かを話しているようだった。
(お姉ちゃんチョロいね。)
(チョロいですね。)
二人が頭の中でやり取りをしていると、アーサーが話しだした。
「私は、もうそろそろ時間なので帰るとしましょう。今日はエドワード君の顔見れたので70点ってところでしょう。では、また。」
「さっさと帰れこの負け犬。」
「お姉ちゃん口が悪いよ。」
そう言いながら、アーサーを見送った。




