「嫌がらせ」
あれから数日が経ったある日。
「おい!お前、転入生で庶民のくせに調子乗ってるよな!」
アランが歩いていると、数人の男たちが絡んできた。
「こんにちは。」
アランは彼らに対し挨拶をし、通り過ぎようとした。
「待て!俺らを無視すんな!」
男は腕を掴み、アランを引き止めた。
「なんですか?僕早く教室に行きたいんですけど。」
「あぁ?まだ時間はあるだろ!それより、お前、俺のレベッカと最近仲が良いよな。」
「俺のレベッカ?もどちら様ですか?」
「おれはそもそもあなた誰ですか?」
「はぁ!?この俺を知らないのか?」
「えっと、どちら様で...」
「俺はエイム・フォン・フェウィムだ!フェウィム家と言ったらわかるだろ!」
「えっと、どちら様で?」
「はぁ!?庶民のくせに舐めた口を!」
「エイムさん、こいつムカつきます!」
「俺もです!」
「一回痛い目をあわないとわからないようだな!」
エイムがアランを殴ろうとした瞬間、誰かがそれを止めに入った。
「あなた、家の者に手を出したわね?」
「れ、レベッカ...」
「大丈夫?怪我はない?」
「大丈夫ですけど、レベッカ様こそ大丈夫ですか?」
レベッカはエイムの拳を素手で受け止めていた。
「こんなの私にとっては攻撃に入らないわ。あんな貧弱な拳なんて簡単に受け止めることができるわ。ほら、授業遅れるから行くわよ。」
「は、はい。」
「あ、ちょ!」
レベッカはエイムの言葉は無視し、アランを連れて行った。
教室に聞くと、早速アランはエイムについて質問をした。
「あのエイムって言う人はだれ?」
「エイムはめんどくさい男なのよ。国王の命令でうちの商会と取引してるんだけど、それを良いことに私に婚約を迫っているのよね。なんども断ってるんだけどどうにかならないかしら。」
「あの男の話し?」
「そうよ。ついにアランが目をつけられちゃったみたいで。」
「アランちゃんに?アランちゃんはなにかされなかった?」
「少し絡まれただけだから大丈夫だよ。」
「そう。それなら良いんだけど。あの男、すぐに人に手を出すから、気をつけてね。それより、アランちゃん今度の休日空いてる?」
「空いてるよ。」
「じゃあさ、少し私に付き合ってよ。私行きたいところがあるの。」
「もしアランが行くなら私も行くわ。アランは私の護衛だもの。」
「だめよ。これは二人でないといけないの。アランちゃん、レベッカの護衛を頼める人は居ないの?」
「うーん...じゃあ、ビクトリアとアリシアにお願いするか。二人なら安心できるし。」
「そう。なら決まりね!」
「アラン!」
「大丈夫だよ。あの二人なら大体の敵は倒せるから。」
「そうじゃなくて!」
「授業を始めるぞ。皆席に座ってくれ。」
「それじゃ、次の休日ね!」
休日までは数日あったが、その間、エイムがアランにしつこく嫌がらせをしてきた。
ある時はアランの席がゴミの山で埋まっていた。
ある時はアランの教科書が目の前で燃やされてしまった。
そのような嫌がらせが続いた中で、休日がやって来た。
「どうしたの?アランちゃん最近元気ないけど。」
「だ、大丈夫だよ。それよりどこに行くの?」
「今日は行きたいレストランがあるの。予約してるから早速行こう!」
アランとベルージュは王都の中を進んでいった。
「アランちゃんは私達のところに来る前は何をしてたの?」
「ずっと修行をしてたよ。」
「修行?魔術の?」
「うん。師匠がすっごく厳しくてね、毎日ヘトヘトだったよ。」
「いつから修行してたの?」
「うーん、5歳のときに拾われたから、10年ぐらい?」
「じゅ、10年!?私より長いじゃない...」
「そうなの?お姉ちゃんはもっと早くから魔術を使ってたと思うけど。」
「そう...」
(ウォード家は化け物しかいないの?ん?)
すると、ベルージュは一つの異変に気づいた。
「アランちゃん、私達誰かにつけられているわ。」
「数は3人。この魔力だと多分エイムかな。」
「エイム達がツケてくるってことは、狙いはアランちゃんね。どうする?」
「うーん、別にどうもこうもしなくて良いんじゃない?まだ僕達に何もしてないから。」
「そう?絶対になにか仕掛けてくるわよ。」
ベルージュがそう言っていると、早速仕掛けてきた。
アランが歩いていると、空から水が降ってきたのだ。
「あ...」
「アランちゃん!?あいつらアランちゃんをこんなにして!」
「ベル、僕は大丈夫だから。」
「で、でも...」
「大丈夫だから。」
「アランちゃんがそう言うなら...じゃあ、新しい服を買いに行きましょう!」
「わかった。」
二人はアランの新しい服を買いに行った。
「はぁ!?水をかけたら二人で服屋!?あいつレベッカだけじゃなくてベルージュまで手を出しやがって!」
「お、落ち着いてください!周りの人たちに見られていますよ!」
「ちっ!お前ら行くぞ!」
その頃アランは服を買いに来ていた。
「ここって...」
「ここは仕立て屋フランシスよ。私の行きつけの店なの。」
ベルージュがアランを連れて店に入ると、すぐに店員がやって来た。
「ようこそマルフィン様、今日はどのようなご要件で?」
「アランちゃんの服を仕立ててほしいの。少しトラブルがあって、新しい服が欲しいのよ。」
「わかりました。こちらの方で...アラン様!?」
「ああ、この前の。」
「お久しぶりです。フランシス様が来ておりますが、どうしますか?」
「フランシスさんが!?アランちゃん、行こう!」
「え、あ、うん。」
二人は奥の部屋に入ると、そこは王宮にも負けないほどの豪華さであった。
「フランシス様、お連れしました。」
「あら!ベルちゃんも居るじゃない!」
「お久しぶりですフランシスさん。今日はこの子の服を仕立ててほしのですが。」
「あら!アランちゃんじゃない!久しぶり!でも、あんまり背が伸びていないわね。」
「久しぶりですフランシスさん。学生服の件はありがとうございました。」
「え?アランちゃん、もしかしてフランシスさんと知り合い?」
「そうよ。アランちゃんの持ってる学生服は私が仕立てたのよ。」
「嘘でしょ!?アランちゃん!?あれはもう二度と着ちゃいけないわよ。」
「え?なんで?」
「なんでって、あれは国宝級のものよ!一学生が着てはいけない代物よ!アランちゃんならなおさらよ!」
「ベルちゃん、あれは私がアランちゃんに着てほしくて作ったのよ。私の気持ちを無下にしないで。」
「す、すみません...」
「わかってくれたなら良いのよ。私は自分が誰かに着てほしいって気持ちで服を作ってるからね。だから、今日は本当にちょうどよかったわ!」
すると、フランシスは奥からなにかを取り出してきた。
「どう?私の最新作なの!」
「ちょっとかして。」
そう言うと、ベルージュはフランシスの持っていた服をアランに被せた。
「あ...最高。アランちゃん、今すぐ着替えて。」
「え?あ、うん。」
アランは渡された服に着替えた。
「今回はね、まず肌着はフェニックスの毛を使っているのよ。手に入れるのも加工するのもすっごい大変だったけど、体温調節を自動でしてくれるの。次に上着。それは最近はやってるパーカーってものなんだけど、神器にも使われてるミスリルで作ったから、中級魔術ぐらいまでなら防げるわ。最後にズボンだけど、完全防水と高強度の耐火性を持つから、もし敵と戦うときになったとしても大丈夫よ。」
「なんか、すごいんだね。」
「すごいってものじゃないわよ!フランシスさん、今回の、最高傑作じゃない?」
「いや、まだよ。今度、アランちゃんにとっておきのを作ってあげるからね!」
「あ、はい、お願いします?」
「じゃあ、お会計だけど、ビクトリアちゃんにもらってるから、もう大丈夫よ。」
「え?あ、そうですか...じゃあ、また来ますね!」
「ええ!また着てちょうだい!ベルちゃんもまたね!」
「はい!今度は私も頼ませてください!」
「気が向いたらね。」
「うぅ...」
アランたちが店を出ようとすると、何やら揉め事が起きていた。
「お客様!紹介状がないのでは当店には入店できません!」
「あぁ?そんなの知らねぇよ!さっさと入れろや!」
「あいつら!こんなところまで来てアランちゃんに何をしたいわけ?」
「ま、まあ、とりあえず外に出ようか。」
アランが外に出ようとしたところ、エイムが暴れ出してしまった。
「お、お客様!」
エイムは魔術を使い、店内にある商品を次々に破壊していった。
「エイム君、用があるのは僕だろう?」
「あぁ?おやおや、自らやってくるとはたいそう自信だな!」
「すみません、店員さん...商品は全額負担しますので、後でフランシスさんにアランという名で通しておいてください。」
「わ、わかりました...」
「ほら、君たち、行くよ。」
「あぁ?誰に向かって命令してんだ!」
「ねぇ、下等生物は黙ってくれるかな。話してるだけで苦痛だから。」




