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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第4章 王立魔術師学校マギア 前編
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「ピクニック」

それから数日が経ち、グルーブは閉店した。

「いくら儲かったんですか?」

「大体金貨200枚だ。結構儲かっただろう?」

「金貨200枚って、そんな大金で何をするんですか。」

「大体は学園祭の費用にまわるが、残った分は、情報屋に使う。」

「なんですか?その情報屋って。」

「情報屋は学園内で起きている情報を高値で売っているんだ。アラン君が聞き出した情報に学園祭のことがあったから、少し調査をしようと思ってね。」

「もしかして、僕のこともバレてます?」

「いや、それはないね。国で情報は統制されているからそれはないはずだ。もし漏れても、一家ごと処刑されるからね。」

「そっすか...なんか、厳重ですね...」

「そりゃあ、死んだ人間が生き返って、王子様を守ってますって、国家機密にもなるだろう。」

「確かに。」

「それで、俺達はどこに行くんだ?」

「今日は、王都から少し離れたところで、ピクニック!そこで模擬戦も!へルックとの約束、グルーブでできなかったからね。」

「そうだな!アランの実力がどんなもんか見てみたぜ!」

「私もアランちゃんの魔術を見てみたいわ。」

「二人はやる気みたいだけど、レベッカたちはどうする?」

「遠慮しとくわ...」

「アランのことを傷つけたくはないわ。」

「私はやめておくよ。」

「おいおい、なんで三人はそんなに遠慮するんだよ。みんなでワイワイしようぜ!」

「アランの事を見たらわかるわよ。」

そんな話をしていると、目的地に着いた。

「広いね!とりあえず、ご飯でも食べようか。」

「承知いたしました。」

ビクトリアとエレンはピクニックの準備をし始めた。

「飯じゃ、飯!」

「あの子、誰?」

「僕の使い魔のアリシアだよ。」

「使い魔?あのこ魔物かなにかなの?」

「魔王じゃ、魔王。ほら。」

すると、アリシアの頭から角が生えてきた。

「も、もしかして、魔族!?」

「あれ?言ってなかったけ?」

「言ってないよ!アリシアが魔族だったなんて...」

「レベッカ、私達は見てたでしょ?あの強さを。あれを見れば魔族ってわかるでしょ。」

「確かに...」

「それより、飯はまだか!」

「焦らないでください。すぐにお出ししますから。」

「むー!」

「可愛い!もちもちしてる!」

ベルージュはアリシアの頬を掴んでいた。

「なんじゃ、妾にそんなことをするのか。まあ、その勇気に免じて許してやろう。」

「そう、ありがとう!」

「にゃ、にゃんじゃ、わりゃわのきゃおがへんきぇいしちょるじょ。」

「あ、ごめんごめん。アリシアちゃんの顔がぷにぷにで楽しくて。」

「そうか。それより、この匂いは!」

「皆さん、準備が整いましたよ。」

アランたちが見ると、そこにはテーブルに、椅子、パラソルが設置され、テーブルの上には豪華な食事が広がっていた。

「みんな、食べよう!じゃないとアリシアに全部食べられちゃうから。」

「なに言ってんじゃアラン。妾はそんなことはせんぞ。」

「いや、したよね。常習犯だよね。なに言ってんじゃはこっちのセリフだよ。」

その会話をマリア達は遠目で見ていた。

「なんか、腹立つ。」

「アリシアはそういう子だから、しょうがないわ。」

「それより、アランちゃんの隣は私!」

ベルージュはすぐさま、アランを引きずり、席に陣取った。

「あ!私だってアランの隣に!」

「あーあ、また始まったよ、ハーレムが。」

「アランくんはモテモテだね。美女二人を手玉に取るとは。」

「あら、私が含まれていない気がするけど。」

「気のせいじゃないか?それより、マリアは混ざらなくて良いのか?」

「ここは姉としての余裕を見せるのよ。」

「そう。」

数分後...

マリアの顔色はみるみる悪くなっていった。

「どうしたんだ?余裕の”お姉様”?」

「黙れクソガキ。私は至って普通だ。普通だ。」

マリアの目線の先には、レベッカがアランに食事を食べさせていた。

「レベッカ様?私はそこまでは許しておりませんよ?」

「あら、そんな約束してたかしら。」

「あははは...そうですよね。」

そう言うと、ビクトリアが馬車からなにかを取り出してきた。

「ん、この匂いは!」

すると、アランは犬のように、ビクトリアに近づいてきた。

「おて。」

「おて!」

「おかわり。」

「おかわり!」

「腕立て伏せ。」

「腕立て伏せ!」

「なんか最後のちがくね?」

「よくできました。では、あーん。」

「あーん。」

すると、ビクトリアが取り出したのはビーフシチューであった。

アランはそれをパクパクと食べ始めた。

「ビクトリア!私達約束したよね!」

「そんな約束をした覚えはありませんよ。」

「ぐぬぬ...」

そんなことはつゆ知らず、アランはビーフシチューを食べていた。

アランが食べ終わり、周りを見ると、取っ組み合いになっていた。

「ビクトリア許すマジ!」

「メイドの分際でアランちゃんを!

「ぶち殺す!」

「絶対に混じりたくないね。」

「あぁ。俺等が入ったら、まじで死ぬぞ。」

取っ組み合いが始まってから数分が経つと、流石に疲れたようで、勢いが収まった。

「頭は冷えたかい?」

「はぁ、はぁ、うるさいな...」

「殿下は黙ってください。これは女の戦いです。」

「メイド服が...」

「あ、アランちゃんはどこ?」

周りを見渡すと、アランはまだビーフシチューを食べていた。

「まだ食べてる...」

「ん?美味しいよ。」

「そう...私達も食べよ。」

「そうね。」

「わかったわ。」

取っ組み合いをしていた者たちは、結局食事を取った。

「それで、もう一度聞くが、そこの三人は観戦ってことで良いんだな?」

「ああ。君たちだけでやってくれ。」

「そうか。それで、ルールの確認だが、本当に2対1で良いんだな?」

「うん、良いよ。」

「そ、そう...アランちゃん、本当に無理してない?護衛だからって、別にアランちゃんは強くなくても良いのよ?その時は私が守ってあげるから。」

「心配しなくても良いよ。じゃあ、アーサーさん、合図よろしくお願いします。」

「ではいくぞ。用意、はじめ!」

始まったと同時に、へルックは距離を詰めてきた。

へルックはアランの腹に一発入れたが、アランはよろめきもしなかった。

「え?」

「あまいね。」

アランはへルックの拳をつかみ、自分の方へ引っ張ると、回し蹴りをして空中に飛ばした。

「え?」

へルックは息をつく暇もなく、アランは空中に浮いているへルックを蹴り落とした。

「アラン君!そこまでにしておいてくれ。」

「わかりました。後はベルだけだね。」

「へルックがやられた?うだうだしてると私も負けるかもしれないわね。私も本気を出すわよ!」

すると、ベルージュの前に、稲妻でできた鳥が現れた。

「フェニックス?もしかして!」

「ライトニングブレス!」

稲妻の鳥は口から稲妻の光線を放った。

「セシル、出番だよ!」

「最近出番が少ないぞ!もっと俺様を使え!」

「いくよ!」

すると、アランはセシルを両手で持ち、光線を空に打ち返した。

「セシル、これはホームランじゃない?」

「そうだな。まあ、俺様を使えば当然の結果だ。」

「ねぇ、アランが言ってるホームランって何?」

「マリアは知らないの?最近王都ではやってる競技よ。確か名前は...なんとかボールって言ってた気がするわ。バスケットだったかしら。」

「ベースボールだ。てか、そもそもベースボールはボールを打ち返す競技なのに、アランくんは魔術を打ち返してるではないか。」

一方、アランたちの戦いは激化していた。

「すごい!ベルって雷属性だったんだね!」

「なんでそんな余裕があるのよ!」

アランはベルージュの攻撃を、セシルで的確にさばいていった。

その上アランはベルージュに話しかける余裕があった。

「どこ見てんだ!」

「え?」

アランが興奮していると、後ろから何者から攻撃され、遠くまで蹴り飛ばされてしまった。

「遅いわよ筋肉ダルマ。私一人だったら負けるかもしれないじゃない。」

「うっせぇな。少しあぐらをかいていたが、あの攻撃で目が覚めたわ。行くぞ!」

「言われなくてもわかってるわよ!」

へルックは、倒れたアランに追い打ちをかけるように向かってきた。

「レフリエンド!」

へルックの放った魔術は氷属性の、レフリエンドだ。

これは上級魔術であり、その中でもかなり強力な部類だ。

何と言っても、炎をも凍らせる冷気を放つ。

一部の上級魔術師や、宮廷魔術師でないと防げない攻撃である。

「覇流のうねり。」

その瞬間、渦を巻いた黒炎が、その冷気を飲み込んだ。

「うわぁ...まじかよ、それは反則じゃねぇか。」

アランはへルックの隙をつき、セシルを伸ばしてへルックを突き飛ばした。

「ライトニングヘル!」

アランがへルックに攻撃を与えている間に、ベルージュはすでに魔術を用意していた。

稲妻は地面を伝いながら、アランに攻撃をした。

だが、アランはそれを認識していなかったのにも関わらず、防御結界を展開した。

「あれ?攻撃来てた?気づかなかったよ。」

「嘘でしょ!?アランちゃんどうやって発動したの!?」

「反射かな。」

「反射で魔術は打てないわよ!」

すると、アランの背後には無数の光の矢が現れた。

「何秒耐えれるかな?」

アランが指を鳴らすと、光の矢は一目散にベルージュに向かった。

ベルージュは球体の防御結界を張り、それを防いでいた。

(球体の結界だと長くは持たないわね...あの脳筋が助けに来てくれることを願うしかないわね。)

アランの攻撃は凄まじく、ベルージュの結界は数秒もせずにヒビが入り始めた。

(お願い!耐えて!)

ベルージュの結界は崩壊寸前であった。

だが、その時、アランの背後から尋常じゃない魔力の動きが感じられた。

「コーゴルキャステム!」

その瞬間、アランの足元から氷が現れ、アランの全身を飲み込み、氷漬けにしてしまった。

「へルック!アランになにしてんの!」

「いや、でも、こうでもしないと勝てねぇだろ!」

「マリア、落ち着いて。」

「で、でも...」

その瞬間、氷にヒビが入り始めた。

「え、まじ?」

ヒビは広がり、氷は粉々に割れて、アランが出てきてしまった。

「すごいね。めっちゃ硬かったよ。」

「いや、硬いとかのレベルじゃないはずだぞ。あれ?俺がおかしいのか?」

「じゃあ、仕切り直しといきますか。」

すると、アランは飛行魔術を使い、宙に浮いた。

「飛行魔術!?」

へルックはすぐに氷の塊で攻撃したが、アランの背後にあるなにかに防がれてしまった。

「できた!核心の貫きの自動迎撃!」

「自動迎撃!?頭イカれてんのか!?」

「数で押し切るわよ!」

へルックとベルージュは何度も攻撃したが、全て撃ち落とされてしまった。

「一発も入ってない...へルック、どうする?」

「俺に聞かれてもわかんねぇよ!頭脳はお前だろ!」

「こんなの聞いてないわよ!そもそもあんな魔術知らないし!」

「次は僕の番だね。」

すると、アランは巨大な術式を作り出した。

「へルック!避けて!」

「エレクトロニックレールガン。」

へルックは避けようとしたが、レールガンは一瞬でへルックの目の前まで距離を詰めた。

へルックに当たる瞬間、アランの攻撃は何者かの魔術によって防がれた。

「アラン、そこまでよ。へルックが怪我をしてしまうじゃない。」

「あ...ごめんお姉ちゃん...」

「良いのよ。そもそもあの二人がアランのことを甘く見ていたのが悪いのよ。」

「うっ...」

「二人はこれでわかったわね?あなた達だけじゃアランは倒せないわよ。」

「ごめんね、アランちゃん。私達はあなたを見くびっていたわ。ごめんなさい...」

「俺もすまねぇ...俺等は見かけだけで決めつけていた。それは本当は良くないことだ。」

「別に大丈夫だよ。本気出してないし。」

「ん?」

「そんなことは良いとして、アラン君、これをどう片付けるつもりだい?」

「そ、それは...」

来た頃はきれいな野原であったが、今は至るところに穴があり、草も燃えて灰になってしまっていた。

「アラン様?片付けましょうね。」

「はい...」

それからアランたちは、夕方まで野原に励んだ。

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