「マドンナの敗北」
「ねぇ、私と付き合わない?」
「え?」
「私、あなた事好きになったみたい。私じゃだめかな?」
「い、いきなりだね。そうだね、まだ会って二日目だし、どうしようかな。」
「わ、私ならあなたのことを幸せにすることができるわよ!お金だって、権力だって、この体だって!」
「ベルはさ、自分が好きになった人にそんなこと言うの?」
「え?」
「だって、それじゃあ、他の人達と同じだね。権力に物を言わせて人を従えさせる。」
「で、でも私は!」
「じゃあさ、ベルに今まで告白して来た人はどういうことを言ってた?」
* * *
「あなたを心の底から愛してます!貴族ではありませんがあなたの事を幸せにすることができます!なので、俺と付き合ってください!」
「君と居る時、すごく楽しいんだ。多分僕は君に恋したんだと思う。だから、僕と付き合ってくれない?」
「俺は君を見ると心臓の高鳴りが止まらないんだ!俺と結婚してくれ!」
「俺の妻にしてやる。」
* * *
「...」
「もう一度考え直したら?」
「わかったわ。」
「そう。じゃあ、教室に戻ろうか。」
「待って!」
ベルージュがアランの手を掴んだ。
「私はあなたのことが好きです。あなたの顔も、性格も、全て、あなたと過ごした時間はレベッカ達に比べれば短いけど、私はあなたのことを世界で一番愛していると誓えます。だから、私と付き合ってください!」
「そう。じゃあ、保留ってことで。」
「保留か...でも、良いわ!アランちゃんのことを振り向かせたら私の勝ちってことで良いのよね。」
「そうだね。まあ、できるものなら。」
「私はこれでも何人もの男を堕としてきたのよ。すぐにあなただって堕としてあげる。」
「そう。結構時間かかっちゃったから、教室に戻ろうか。」
すると、アランはベルージュを抱えた。
「え、えっ、な、なんでお姫様抱っこ!?」
「ちょっと掴まってってね。」
アランは稲妻のごとく走り出した。
「え!?ど、どうなってるの!?」
「あそこか。」
アランは自分たちの教室を見つけた。
だが、ここは中庭。アランたちのクラスは3階である。
「な、何をする気?」
すると、アランは人間とは思えないようなことをしだした。
「壁に立ってる!?」
アランは壁に垂直な姿勢で走り始めた。
すぐに、三階に着き、他の生徒達にバレないよう窓から侵入した。
「ふぅ。間に合ったね。って、ベル?」
アランはベルージュの前で手をふったが、反応がなかった。
「あれ?なんで?」
アランがベルージュを席に座らせたところで、へルックがアランの存在に気づいた。
「え?え!?ど、どっから入ってきたんだ!?」
「扉からだよ。」
「そんなわけねぇだろ!俺達、ずっと見張ってたんだぞ!」
「つまり覗き見しようとしてたんだ。」
「うっ...」
そこで、他の人達もアランの存在に気づいた。
「あ、アラン!?ベルになにかされなかった?大丈夫?」
「大丈夫ですよ、レベッカ様。それより、皆の前でそれは良いのですか?」
「あ...んっ、えっと、主人である私を放っておいてどこに行ってたのかしら?」
「学校を案内してもらって持ってました。そこにいるベルに...あっ...」
アランがベルージュの方を見ると、マリアや他の生徒たちがすでに絡んでいた。
「ベルージュ?結果はどうだったのかしら?」
マリアの声には明らかな怒気が混じっていた。
「私の負けよ。いえ、正確には引き分けかしら。私がアランちゃんのことを振り向かすことができれば私の勝ちね。」
「つまり、あなたはアランに告白をし、返事は曖昧と言うことね。」
「言っただろ。」
「負けたー!なんで殿下はわかったんですか?」
「ただの勘だよ、よく当たる。」
「でた、また勘ですか...殿下の勘はいつも当たりますよね。」
「そうだね。それで、賭け金は私の総取りということで良いかね?」
「え?な、なんのことかさっぱり...」
「もし賭け事をしているのが学校にバレたら、謹慎か退学のどちらかだ。もしここで私に渡しておいたら、このことは黙っておいてあげるよ。」
「うっ...すまねぇみんな...」
それからアーサーは男子生徒から一人ずつ賭け金を徴収していった。
「アーサー、その金はどこに行くんだ?」
「これかい?もちろん生徒会で使わせてもらうよ。」
「ですよね...」
へルックがすぐに納得したのは、これが初めてではなかったからだ。
アーサーは生徒たちが校則違反をしていたり、今みたいに賭け事をしていると、アーサーはすぐにその賭け金などを没収している。
そのおかげか、アーサーが生徒会に入ってからは校則違反が減少したり、学園祭の質が上がったりしている。
「今回はだいたい銀貨20枚といったところか。まあまあだね。」
「銀貨20枚って、レストランでも作る気かよ。」
「そうだね。儲かったらさらに増えて...」
「おいおい、冗談で言ったのにまじでやんのかよ。」
「生徒会メンバーとアラン君を使えば、一目見ようと客が来て...我ながら完璧だな。後で校長にお願いしてこよう。」
「食材は私の商会を使えば、安く済みますよ。」
「だめだ...ここには金の亡者しかいないのか。」
「もし儲かったらジムを作るのも良いな。」
「よしやろう!」
(なんか僕の知らないところで盛り上がってる?)
2週間後。
あれからアーサー考案の企画にはところどころ難があったので、レストランではなく、最終的にカフェになった。
平日の放課後、休日の昼食時に開かれることになっている。
「あ、あの、なんで僕はこんな服装になってるんですかね。」
「誰だお前。」
「僕だよへルック!アランだよ!」
「え!?お、お前なのか!?お前、なんでメイド服で女装してんだよ。」
「いや...知り合いに頼んだらこれが届いて...」
「お前の知り合いはどうなってんだよ。」
そこにレベッカ達も合流した。
「あ、アラン!?」
レベッカたちは目の前に居る生徒が誰かわかっていなかったが、マリアは一目で見抜いた。
「お前、よくアラン君だとわかったな。流石ブラコン世界チャンピオンだけあるな。」
「なにそれ。そんなんあんのかよ。」
「あるわけ無いでしょ。あの大バカ王子のデタラメよ。それより!」
マリアは鼻息が荒かった。
「レベッカ!カメラ持っているわよね!」
「なるほど。それは良いですね。すぐに持ってくるわ!」
「アランちゃんが本当にアランちゃんになってる。でもいつも通り可愛いわね。」
「それはどうも。」
「これでも照れないってどんな堅物よ...」
「なんか言った?」
「いや?なんでもないよ。それより、料理は誰がやるの?」
「私達です。」
「え?誰?」
「あ...お前...」




