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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第4章 王立魔術師学校マギア 前編
44/71

「マドンナとデート」

アラン達が教室に入ると、生徒がアランの周りを囲んだ。

「レベッカとはどういう関係なの?」

「特技とかあんのか?」

「好きな食べ物は?」

「彼女とか居るの?」

質問の多さにアランは昇天しそうであった。

「やあ、君たち、アラン君が困っているではないか。」

「で、殿下!」

アーサーがアランの前に現れると、一気に人が吸い込まれるようにアーサーに注目が向いた。

「良かった...質問にこたえてるとボロが出ちゃうから困るんだよね...」

「確かに、お前は嘘が下手そうだよな。」

アランたちが席に座ると、レベッカ達も後からやって来た。

「アラン、他の人達になにか言われた?」

「なんかたくさん質問されたけど、アーサーさんが全部引き受けてくれたよ。」

「本当?良かった...なんとか作れたよ。」

レベッカはポケットから一冊のメモ帳を出してきた。

「これは?」

「私特製のアラン個人情報よ。これがあれば大体の質問には答えられるわ。」

「ありがとう!これがあればあの人達の質問に怯える必要もないもんね!」

アランがページをめくると、たくさんのことが書いてあった。

「氏名はアラン・オブリ。歳は15歳。好きな食べ物はビーフシチュー。身長は160.3cm。体重69.7。父はエルファラ・オブリ。母はアリシア・オブリ。数ヶ月前にターナー家にやって来た。彼女はなし。好きなタイプは金髪で目が少し緑かかった人。嫌いなタイプは赤髪で、発育がよく、ブラコン。なにこれ。」

「質問された時はこれを使ってね!」

「まず、なんで僕の身長と体重、好きな食べ物まで知ってるの?」

「頑張って調べたから!」

「レベッカ?私も聞きたいことがあるんだけど。」

「ま、マリア!?もしかして、聞いてた?」

「ええ、もちろんよ。」

マリアはレベッカを掴み、廊下に引きずり込んでいった。

「行っちゃった...」

「それにしても、いろんなことが書いてあるな。」

へルックがページをめくっていくと、気になる情報が載せてあった。

「なあ、魔力量が1万5千って、本当なのか?」

「一応?魔力を制限しろってことなんじゃない?」

「つまり本当は違うと。」

「そうだね。大体500万ぐらいじゃない?」

「は?つまんない冗談だな。本当はいくつだ?」

「うーん、元々は10万くらいじゃない?」

「じゅ、10万!?まじで言ってんのか?」

へルックは驚きすぎて声を上げてしまった。

「静かに!聞こえちゃうでしょ!」

「す、すまん...」

皆の注目がこちらに向いたところに、助け舟がやって来た。

「皆さん席に座ってください。」

先生は皆を席に座らせると、ホームルームを始めた。

「私はこのクラスを担任するセルリン・フォン・メルクだ。これから一年間よろしく頼む。今から、皆の前で順番に自己紹介をしてもらう。では、最初はウォード嬢だ。」

マリアが前に立つと、自己紹介を始めた。

「マリア・フォン・ウォードだ。数日前までは用事があり、休ませてもらっていたが、今学期から復帰させてもらう。」

マリアの自己紹介が終わると、大きな歓声が上がった。

「やっぱマリアさん、かっこいいよな!」

「ああ!顔もスタイルも良いし!どうやったら近づけるかな。」

「マリアさん、どうしたらあんなスタイルになるんだろう。私もあんなスタイルになりたいな。」

「私もよ。後で聞きに行こう!」

そんな中、アランは戸惑っていた。

「へルック、あれ、本当にお姉ちゃん?」

「お前の前だとあんな感じだが、いつもはクール系だ。」

「へ、へぇー...」

(なんか違う!あれ本当に同一人物?僕の知ってるお姉ちゃんじゃないんだけど。)

それから生徒たちは順番に自己紹介をして行き、レベッカの番になった。

「レベッカ・フォン・ターナーです。久しぶりの学校なので、忘れていることや、わからないことがあるので、教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。」

レベッカもまた、大きな歓声が上がった。

「クール系のマリアさん、清楚系のレベッカさん、お前はどっちが好みだ?」

「俺はレベッカさんかな。付き合ったら、すごく優しくしてくれそうじゃない?」

「確かに。でも俺はマリアさんかな。なんかエスコートしてくれそうだよな。」

「おいおい、まだもう一人残ってるじゃねぇか。」

教室の前に立っているのはベルージュであった。

「ベルージュ・フォンマルフィンです。気軽にベルって話しかけてね。よろしく。」

ベルージュもまた、男子からの人気はマリアやレベッカに負けないほどであった。

「確かに、ベルさんも良いよな。なんか、大人っぽい雰囲気出してるし。」

「なあ、聞いたか?こないだ、難攻不落って言われていたカイルを10秒で堕としたらしいぜ。」

「まじかよ。それでどうなったんだ?」

「カイルが告白したらあっさり断られたらしいぜ。噂じゃ数十人の被害者が居るらしいぜ。」

「そりゃやべぇな...」

生徒たちが盛り上がっていたところ、一人の生徒が前に出た瞬間、一気に静まり返った。

「私はアーサー・ハワードだ。この学校で生徒会長をやっており、第一王子でもある。なにか学校に不満などがあったらすぐに私に相談してほしい。すぐに解決してみせよう。」

アーサーの自己紹介が終わると、今までで一番の歓声や拍手が上がった。

そのすごさは窓が揺れるほどのものであった。

「生徒会のみんなはすごい人気だね。」

「そうだな。女子三人はこの学校で四天王って言われてるほどの美女で、アーサーは言わずもがなって感じだ。」

「へルックはどうなの?」

「そうだな。俺はって、順番が来ちまったわ。」

へルックが前に出ると、男子の目線が一気にへルックに集まった。

「俺はへルック・フォン・ログルだ。まあ、家庭事情は皆の知ってのとおりだが、よろしく頼む。」

すると、大きな歓声が上がり、男子からは熱い声が伝わってきた。

「へルック!お前の家庭事情なんか気にすんな!俺達は友達だろう?」

「そうだそうだ!今年も頼んだぞ!」

「おうよ!」

(すごい...へルックもすごく信頼が厚いんだな。)

へルックの自己紹介が終わると次はアランの番であった。

「えっと、アラン・オブリです。レベッカ様の召使として転入してきました。よろしくお願いしまひゅ...」

(あ...噛んじゃった!どうしよう!)

アランが前を見ると、大きな拍手とともに、一つの単語が聞こえてきた。

「可愛い...」

アランの意思とは別に、アランは多くの生徒達を引き寄せる存在となってしまった。

「自己紹介が終わったので、次は交流会を開こうと思う。各々席を立って良いぞ。」

メルク先生がそう言うと、皆は一斉にアランの方に向かってきた。

「なあ、好きな食べ物はなんだ!」

「彼女とか居るの!」

「好きなタイプは!」

「え、えっと、まず、好きな食べ物はビーフシチューで、彼女は居なくて、好きなタイプはわからないです...」

アランはとりあえず、レベッカから渡されたメモ通りに進めていった。

だが、段々答えるのが難しい質問が増えてきた。

「ねぇ、家族は今どこに住んでるの?」

「得意な魔術は?」

「魔術資格は?」

「え、えっと、その...」

そこに、一人の女子生徒がやって来た。

「あらアランちゃん、すごい人気ね。私ともお話してくれる?」

「あ!ベルージュさん!」

「気軽にベルって呼んでちょうだい。」

ベルージュがアランと話し始めると、生徒たちはざわついてきた。

「おい、ベルージュさんが早速動き始めたぞ。何秒で堕ちると思う?」

「7秒!」

「4秒!」

「2秒!」

「じゃあ、私はベルが負けるに賭けようとしよう。」

「で、殿下!?そ、それは流石に...」

「まあ、君たちは見てなって。」

アーサーの顔は余裕の笑みで埋まっていた。

「アランちゃんはさ、今まで何人と付き合ったの?」

「付き合った?一度もないですよ。」

「へ、へぇ...その顔なのに?」

「はい。別に街を歩いてても声はかけられませんし、あんまり女の人と話さないですから。」

「そうなんだ。じゃあ、今日は私がこの学校を案内してあげるよ。どう?」

「良いですよ。じゃあ、はぐれないように手をつなぎましょう!」

ベルはアランのあまりの積極さに驚いてしまった。

「う、うん...」

(な、なんで?私と二人きりって、結構ドキドキするはずなんだけど、手を繋ぐ?もしかして私が眼中にない?)

そのままアランは教室を抜け出し、ベルージュと一緒に学校を周りだした。

「ま、まずここは高等部の校舎よ。他に中等部校舎とホール、食堂、色々な場所があるわよ。今は近いところから周っていきましょう。」

「うん!」

(か、可愛い...お、落ち着け!私がこの子を堕とすのよ。私が堕とされてどうするの!)

アランたちが廊下を進んでいくと、大きな扉が見えてきた。

「あそこは魔術研究室よ。よく授業で使うから覚えておいてね。それからあっちは職員室。私達が一番言っちゃいけない場所ね。」

「確かに。二人で抜け出してきちゃったからね。」

「そ、そうね。」

それからしばらく廊下を歩くと、食堂に着いた。

「ここは食堂よ。朝来たからわかるよね。」

「うん。少し喉が渇いたね。ベルは何が飲みたい?」

「え、えっと、カフェラテが良いわ。冷たいのね。」

「わかった!買ってくるね!」

アランはカフェラテと、ミルクティーを買ってきた。

「はいこれ、カフェラテね。後これはおばちゃんがくれたクッキーだよ。」

「すごい!美味しそう!」

すると、アランはクッキーを取り出すと、ベルージュに向けた。

「はい。」

「え?」

「早く口開けてよ。」

「え!?」

ベルージュは言われるまま口を開けると、アランはクッキーを運んだ。

(え!?え!?な、なんで私がこんなことされてるの!?これじゃあまるで私が弄ばれてるみたいじゃない!)

ベルージュの顔はみるみる赤くかなっていった。

「どうしたの?顔が赤いよ?」

「だ、大丈夫よ。」

ベルージュはカフェラテを飲み、少し落ち着いたが、まだ心臓はバクバクと鳴っていた。

「カフェラテ、美味しい?」

「え、ええ。美味しいわよ。ここの食堂は王都のレストランに劣らない美味しさよ。」

「そうなんだ。ちょっとカフェラテ借りるね。」

するとアランはベルージュが飲んでいたカフェラテを飲んでしまった。

(嘘でしょ!?私が飲んだカフェラテをいとも簡単に...ま、まずいわ...この私が負ける。)

「じゃあ、次はどこに行く?」

「そ、そうね、中庭にでも行きましょうか。」

「うん!」

それからアランとベルージュは学校の庭園に来ていた。

「すごいね!あの噴水とか僕の住んでた街にもなかったよ!」

「そうね。ここは王国選りすぐりの職人たちが作ったからね。」

「少し歩き疲れたから休憩しようか。」

アランは近くのベンチに座った。

「ほら、ベルも座ったら?」

「う、うん。」

(な、なんで私が緊張してんのよ!何度も経験してきたはずなのに!)

「あの花綺麗だね。」

「あれは確かライラックね。」

「そうなんだ。あの花、ベルの髪色と同じくらい綺麗だよ。」

「え?」

(も、もしかして、告白!?)

「ねぇ、君、僕を恋に堕とそうとしたでしょ。」

「え?べ、別にそんなことは...」

「僕はね、相手が何を考えているのか大体わかるんだ。だからね、君が考えてたこともすぐに分かったよ。」

「じゃ、じゃあ、私を誘ったりしたのって...」

「からかっただけだよ。すごく反応が面白かったよ。」

「うそ...私は手のひらで転がされてたってこと?」

「そうだよ。」

「ねぇ、私と付き合わない?」

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