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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第4章 王立魔術師学校マギア 前編
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「転入」

あれから数日がたち、アランは15歳になり、今日は王立魔術師学校マギアの始業式である。

「えー、まずはこの王立魔術師学校マギアで君たちは最後の年となりましたね。そして今日から新しい生徒が一人、そして復帰生が二人、加わります。」

壇上に立っている先生がそう言うと、生徒のみんなはざわついた。

「ねぇねぇ、復帰生ってもしかして!」

「今いる復帰生二人しかいないでしょ!もしかしてじゃなく絶対でしょ!」

「まずは復帰生を二人紹介します。まずはレベッカ・フォン・ターナー!」

「はい!」

「すげぇ!めっちゃかわいいじゃん!」

「お前はあんま見たこなかったっかったのか。この学校でトップクラスだぞ!」

「そうだぞ!しかもその中でも、一番の人気の人は!」

「次に、マリア・フォン・ウォード!」

「はい!」

「すごい!マリア様まで復帰するなんて!最後で最高の年ね!」

「次に転入生を紹介する。アラン・オブリ!」

「は、はい!」

「おい、誰だ?あんな奴いたか?」

「転入生とか言ってたよな。それにしても身長は小さいし、顔も幼いし、おまけに貴族じゃないぞ。どうせ、どこかの辺境貴族の召使いとかだろう。」

「えっと、アラン・オブリです。歳は15歳です。よろしくお願いします!」

「ねぇねぇ、聞いた?15歳だって。飛び級じゃん。貴族でもないのに生意気ね。」

「そうわね。でも、顔は一級品ね。あれは殿下とは少しタイプが違うけどこの学校ではトップクラスね。」

「確かに、あの顔はなんというかこう、可愛い系よね。後で声かけてみようよ。」

「次に、高学年生徒会、会長の挨拶です。」

「えー、皆さん。お久しぶりです。春休みは満喫できましたか?私達はついに最高学年となりましたね。これから自分たちの将来についても決めていかなければなりません。私達はより一層引き締めて参りましょう

「やっぱり殿下が一番ね!」

「絶対に殿下を手に入れるわ!」

「それは私がやるわ!」

「私が!」

「えー静かに!アーサー会長、ありがとうございました。次に、配られた用紙を見てください。これはクラス分けの表です。全6クラスです。よく確認しておいてください。ではこれで始業式を終わります。」

始業式が終わると、アランはすぐに生徒に囲まれた。

「ねぇねぇ、出身はどこなの?」

「苦手なことかある?教えてあげるよ?」

「彼女とかいる?」

主に、女子生徒に...

「えっと、その...」

すると後ろから怒涛の勢いで走ってきた。

「マ、マリア様!いつ見てもお美しいお姿です!」

「ありがとう。今から生徒会室に来い。良いな?」

「あ、えっと、はい。」

(なんかいつものお姉ちゃんと違う...)

「ねぇねぇ、転入生の子、マリア様に連れられて行っちゃったけどなにかしたのかな?」

「おいおい、見たか?転入生の奴マリア様に連れてかれたぞ。」

「嘘だろ?あいつ何をしたんだ?」

アランはマリアに連れられて生徒会室に来た。

部屋に入ると、アーサーにレベッカ、大柄で筋肉質な男、紫色をした髪をした女がいた。

「やあアラン君、久しぶりだね。」

「アーサーさん!生徒会長だったんですね!」

「そうだね。僕はここの生徒会長なんだ。そこの暴君は副生徒会長だ。」

「え!?お、じゃなくてマリアさんが?」

「お姉ちゃんで良いわよ。ここに居る人達はみんな事情を知ってるから。」

「え!?そうなの?」

「はい。こんにちは、アランちゃん。私は会計のベルージュ・フォン・マルフィンよ。レベッカちゃんが世話になってるわ。」

「ベル!レベッカちゃんて、何回行ったらちゃん呼びをやめてくれるの!」

「ほら、そうやって怒るからレベッカちゃんなのよ。」

「俺はへルック・フォン・ログルだ。ここの書記をやってるぞ。よろしくな!」

へルックのあまりの元気さにアランはすこし驚いていた。

「ほら、アラン君が困ってるでしょ。へルックは元気すぎだ。もう少し抑えたまえ。」

「すみません、殿下...」

(犬みたいな人だな...)

「えっと、僕はアラン・オブリです。多分皆さんは知っていると思いますが、本名はエドワード・フォン・ウォード、マリアの弟です。」

「噂に聞いてたより良いわね。」

「え?何がですか?」

「何でもないわ。レベッカちゃん、この子があなたの護衛よね。私に譲ってくれても良いんだよ?」

「絶対に駄目!渡さないから!」

「それは私もだよ。私の護衛でもあるからね。勝手に取らないでね。」

「すみません、殿下...部屋に連れ込めばいけるかしら...」

「なにか言いました?」

「いいえ。それよりアランちゃんはマリアから説明を受けているわよね。」

「え?なにも聞いてないですけど。」

「え?」

「あ。」

その瞬間、アーサーの顔からは笑顔であるがなにか怖い顔をしていた。

「マリアくん?私はお願いしたよね。まさか、四天王が”忘れていた”とは言わないよね。」

「えっと、それは...」

「まさかねぇ?忘れるなんてことがあったら、君をアラン君の補佐から外すのもやむを得ないよ。」

「で、殿下、お茶を飲みましょう!そうです、お茶ですよ!レベッカ!お茶を入れるわよ!」

「マリア、今までお茶を入れたことなんてないわよね。」

「うぐ...」

「さあ、マリア君。話をしようか。」

「はい...」

「お姉ちゃんが負けた...すごい、アーサーさん強いですね。」

それからレベッカがお茶を入れ、皆は生徒会室にあったソファーに座った。

「それでは話をしようか。まずアラン君、君が僕の護衛になったのには理由がある。私には下に二人、兄弟がいるんだ。」

「それって、第二王子と第三王子ってことですか?」

「そうだよ。第二王子は、権力争いには興味ないんだが、問題は第三王子だ。第三王子は私ほど優秀ではないが、野心がある。」

「それ、自分で言う?」

「黙れポンコツ。それで、第三王子は今、七大公爵のうち、3つの公爵家を味方につけている。」

「それで、アーサーさんは?」

「私は2つだ。だが、そのかわりに民衆と、四天王二人が味方をしている。ここで何故君がこの王家の権力争いに巻き込まれたか教えよう。第三王子は、あまり有能ではない。つまり、公爵家にとっては操り人形として使いやすいということだ。」

「つまり、王家が乗っ取られてしまうってことですか?」

「そうだ。ついでに、議会もだ。そうなると、この王国の内政が荒れ始める。ただでさえ、魔王軍が厄介だと言うのに更に内政まで荒れ始めたら、ラファエル王国は陥落する。だから君が呼ばれたというわけだ。」

「ん?すみません、全く理解ができないんですけど、その権力争いに何故護衛が必要なんですか?」

「それはレベッカが襲われたように、私も襲われる危険があるからだ。現に、この学校には第三王子も在籍している。」

「え!?つまり、この学校で派閥闘争が起きてるってことですか!?」

「まあね。だが、この学校内部の話をするんだったら、高学年はほぼ僕の味方をしてくれている。だが、低学年では、第三王子が優勢だ。」

「なるほど。同じ学校に居るんだったら、暗殺仕放題ですもんね。」

「ああそうだ。君が来る前までいた書記も、私達を裏切り、暗殺しようとした。だから今、生徒会には書記の席が空いているんだ。」

「それって、まさか...」

「流石に転入初日で書記になるのは難しいね。でも、ここの生徒会のメンバーたちは君に全面的に協力してくれる。だから、ここに居る者たちは君がウォード家であることを知っているんだ。もし君のことを誰かが漏らしたら、国家機密の漏洩として死罪は免れないからね。」

「なるほど。つまり、僕は今、この国の命運を握ってるってことですか?」

「そうだ。頼むよ、私の命もかかってるんだ。」

「終わった...僕の楽しい旅の生活が...」

「大丈夫だよ。僕が卒業したら、父上は私に王の座を譲るつもりだ。父上は君に期待しているんだよ。頼んだよ、アラン君。」

「わかりました...お姉ちゃん、この前の耳飾り、余ってる?」

「余ってるわよ。アーサーにもつけさせるのね。後で渡しとくわ。」

「そういえば、君は耳飾りをしているね。君はあまり身なりには気を使わなさそうだが。」

「こっちは、リンクしてる耳飾りをつけてる人が、攻撃を受けたら反応するんです。だから、アーサーさんにもつけてもらいます。こっちは僕の武器ですね。」

「耳飾りが武器?もしかして、あの棒かい?」

「そうです。だから、いつ敵が襲ってきても大丈夫です!」

「すまないが、うちの学校、耳飾りやネックレス等は禁止なんだ。」

「え!?じゃあ、かなり不味くないですか?僕の魔力制限も解けちゃいますよ?」

「それなら大丈夫よ。私がねまわししといたから。」

「本当?ありがとう!」

「わぁ!もっと褒めて!」

「うん!ありがとねお姉ちゃん!」

「うん!」

他のみんなからは、マリアに犬の耳と尻尾が生えたように見えた。

「マリアがあんな簡単に...アランちゃん、やるわね。」

「私も撫でててほしい...」

「レベッカちゃん、それをしてもらうには、もっと頑張らないと。私が鍛えてあげる。」

「本当!?絶対に勝ち取ってみせる!」

「それで、アラン君の部屋は決まっているのか?」

「あ、なんか、どこでも良いって言ってたわ。だから、私の部屋に住まわせるわ。」

「は?君は馬鹿なのか?本当に馬鹿なのか?女子寮に男子が入ったらそれこそ、退学になるぞ。」

「大丈夫よ、このアランの可愛さがあれば誰でもイチコロよ。」

「それには一理あるわね。アランちゃんの顔なら、他の生徒を黙らせるぐらいならできるわね。」

「だめだ。私の部屋が空いてるから、こっちで面倒を見るよ。」

「それだと、アランが怪しまれない?ただでさえ、生徒会に入るのに、アーサーと部屋まで一緒だったら、流石に気づかれるわよ。あんた本当に馬鹿ね。」

「馬鹿に言われたくないね。じゃあ、へルックの部屋は空いてるか?」

「空いてるぜ!アラン、一緒に住むか!」

「お願いします。」

「じゃあ、これで決定だな。アラン君を生徒会に入れるのは、すでに先生には通してあるから、今日はもう休んで良いよ。」

「ありがとうございます。じゃあ、へルックさん、部屋まで案内してもらえますか?」

「おうよ!今日からよろしくな!」

それから、アランはへルックに案内されて、へルックの部屋まで来た。

「へルックさん。」

「なんだ、って、その顔、まさか君が気づくとは、驚きだな。」

「あなたも気づいてるのでしょう?」

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