「アランの本気」
「さあ、掃除の時間だ。」
その瞬間、更に魔力のオーラが膨れ上がった。
「こ、これは?」
「これは魔力のオーラじゃな。普通は魔眼を持っている者じゃないとオーラは見えん。だが、それは我々の魔力が少ないからだ。もし、魔力が膨大な量があれば?」
「つまり魔力がとんでもなく多いってことですよね。でも具体的にどのくらいですか?」
「大体五百万以上、神竜と同じレベルじゃ。」
「神竜と同じ!?う、嘘でしょ?あの、世界を滅ぼす?」
「ああ、そうじゃ。」
「貴様、何者だ!」
「僕はアラン、彗星の魔法使いだ。」
「そうか。じゃあ、私も本気を出そう!」
ベルグールは一瞬で距離を詰め、アランに殴りかかった。
だが、その攻撃はセシルで防がれた。
「っち...」
ベルグールが舌打ちした瞬間、ベルグールは壁にめり込んでいた。
(え?)
その出来事は一瞬であった。誰もが何が起きたかわかっていなかった。
「な、何が起きたんですか?」
「わからないわ。でも、あの顔は知っているわ。あの顔は...」
「あの顔は、ローラが怒ったときの顔だ。」
「国王陛下!何故ここに!」
「やはり、あの者はローラの子であったか。昔のローラの雰囲気に似ておったからな。懐かしいのう。」
「そんな呑気なことを言っている暇はありません!」
「見てわからぬか。わしたちは今、魔族と人間の戦い。いや、蹂躙か。」
ベルグールは一瞬何が起きたかわかっていなかった。
「お前!何をした!」
「ただ殴っただけだよ。ほら、喋ってないで立ちなよ。」
「人間ごときが私に指示をするな!」
ベルグールはすぐに立ち上がり、音速を超えた速度でアランに向かってきた。
だが、アランの動きは異次元であった。
「遅いよ。」
アランはセシルを使い、連続攻撃を始めた。
アランの攻撃は流れるようにつながっていた。
(何だこの違和感は?私の防御が間に合わない?どういうことだ?)
ベルグールは防御をしながらアランをよく観察し、一つの異変に気づいた。
「貴様!神眼持ちか!」
「そうだよ。」
「どうやってだ!お前はずっと寝ていたはずだ!なのに何故覚醒を!」
「君が覚醒させてくれたんだよ。君が僕の家族に手を出したからね。」
「アリシア、どういうこと?」
「神眼は魔眼を覚醒させた状態じゃ。アランのあの異常な速さは神眼の力じゃろう。」
「神眼の力って?」
「神眼の力の一つとして、自分自身に属性を付与させる事ができるのじゃ。火属性なら体から炎が。氷属性なら触ったものを凍らせる。そして、アランが使っているのは...」
「貴様!雷属性か!」
「そうだよ。」
雷属性は、体を稲妻のように速く動かせるようになる。
確かに、ベルグールの攻撃は音速を超えるほど速かった。
だが、稲妻はいわば光。光の速さでは音速も遅く見えた。
(近接戦闘は不利か。なら、魔術戦で!)
ベルグールは距離を取ったが、その瞬間、ベルグールの左腕がなにかに貫かれた。
「こ、これは...」
ベルグールの左腕はセシルによって貫かれていた。
「な、何故だ!何故そんなに伸びる!」
アランはベルグールから遠く離れていたが、セシルの特性を活かし、ベルグールのもとまで届いていたのだ。
「やっと俺様を使いこなせるようになったか。」
「そうだね。セシル、あいつをぶっ潰すよ。」
「おう!」
アランは一瞬で距離を詰め、ベルグールに攻撃の隙を与えず、ベルグールに絶え間なく攻撃を与えた。
その攻撃は一つ一つがつながっていて、流れる川のようだった。
(まずい!このままだと傷を再生することもできない!なにか手はないか!そうだ、あれなら!)
すると、ベルグールは絶え間ない攻撃から抜け出した。
「あれは飛行魔術!アラン!気をつけて!」
マリアは飛行魔術の恐ろしさを知っていた。
どこからでも攻撃ができる。なぜなら、マリアが同じように飛行魔術を使うからだ。
ベルグールの左腕も再生した。
「腕が再生した!」
「ねえねえ、降りてこないの?」
「降りてくるわけ無いだろう!」
「そう。」
その瞬間、決闘場の空全体を覆い隠すほど無数の隕石が現れた。
「彗星の雨。」
アランの詠唱が終わると、現れた隕石は地上に向かってやってきた。
「う、嘘だろ!?な、なにが起こってるんだ!」
そのまま隕石は落ち続け、決闘場一帯を破壊し尽くした。
「け、決闘場が...」
ビクトリアやマリア、レベッカとアリシアは防御結界をはり、隕石を防いだ。
アーサーたちも同じように結界を張り、防いだ。
だが、ベルグールは違った。
ベルグールは再生に魔力をかなり使っていたため、防御結界の強度が足りず、地面に叩きつけられてしまった。
「き、貴様!」
「竜の灯火。」
その瞬間、ベルグールの目の前に巨大な黒炎でできた生物が現れた。
「こ、これは神竜!」
竜、別名ドラゴン。表面は鱗で覆われており、羽が生えている。大きい個体だと、城一つぐらいの大きさになる。
「神竜?まあ良いや。」
現れた竜はアランの意のままに動き、ベルグールに攻撃した。
(確かに私は神竜に敗れた。だが、今の私はあの時よりも強い!)
「ビスグレイヴ!」
ベルグールの放った攻撃は竜のブレスとぶつかり合い、竜は消滅し、ベルグールの攻撃は押し返された。
「アランの攻撃が負けた?」
「いや、相打ちといったところか。まあ、アランはまだまだ余裕そうじゃがな。」
アランはすでに次の攻撃を用意していた。
空に巨大な魔術式が現れた。
「サージスプレンダー。」
魔術式から、ベルグールに向かって光線が放たれた。
「嘘だろ...」
「古代魔法を十個同時に?アラン様はどこまでいくのですか。」
アランはただ古代魔法を発動させていたのではなかった。
アランは十個同時に古代魔法を発動させ、ベルグールを追い詰めていた。
ベルグールは防御結界を何重にも張ったが、古代魔法の連続攻撃で防御結界は破られ、ベルグールはボロボロになっていた。
(まずい!このままだと負ける!なにか手はないのか!)
すると、ベルグールはなにかひらめいたように動き出した。
向かった先は、マリアたちが居る方であった。
「君は、まだ僕を怒らせるのかい?」
一瞬でアランはベルグールの目の前に現れ、攻撃を放った。
「破滅の黒炎。」
アランの放った黒炎の矢は、ベルグールをまたもや吹き飛ばした。
「エレクトロニックランス。」
天候が変わり、ベルグールに向けて稲妻が何度も降り注いだ。
「破滅の波動。」
さらに追い打ちをかけるように、黒い光線を放ち、ベルグールの左腕を消し飛ばした。
「核心の貫き。」
ベルグールの周りに無数の黒い球体が現れ、次々にベルグールの体を貫いた。
だが、アランの猛攻はまだ終わっていなかった。
「覇流のうねり。」
黒炎が竜巻のようにベルグールを飲み込んだ。
「閃雷の共鳴。」
ベルグールの周りに無数の稲妻が現れた。
稲妻はベルグールの周りを飛び交い、何度もベルグールを攻撃した。
「斬撃の覇閃」
その瞬間、ベルグールの体は真っ二つになっていた。
その攻撃は、空間ごと破壊していた。そのため、周りにあった、決闘場の残骸も粉々になってしまった。
「これで終わりだね。消滅の螺旋。」
ベルグールの体に魔力の糸が絡みついた。
その糸は黒炎に変わり、ベルグールの体を跡形もなく、焼き尽くした。
「君の敗因は僕を怒らせたことだね。」




