「禁術のオンパレード」
「貫け光明の矢!」
「それは!」
アーサーは神術を使うことができた。
光明の矢は勢いよくアランに向かっていったが、アランは冷静に手を掲げた。
(なにか嫌な予感がするな。何だこの違和感は?)
「黒陰恒陽、陰。」
アランの手から黒い球体が現れて、体外魔力や光明の矢、そして決闘結界を飲み込んでしまった。
「アリシア様、よろしくお願いします。」
「わかった。」
アランは決闘結界を破壊したのに気づかずにアーサーに向かって神術を放った。
「黒陰恒陽、陽。」
黒い球体が白い光に変わり、アーサーに向かっていった。
「何だあれは!」
「どけ、お主じゃ相手にならんわい。」
「へ?」
アーサーは腰を抜かしていたが、アリシアが目の前に割って入り、アランの攻撃を防御結界で防いだ。
「速く逃げろ。お主は死にたいのか?」
「え?でも、まだ決闘が...」
「お主は勝ったのじゃよ。アランは決闘結界を破壊した。だから、主の判定勝ちじゃ。だから、さっさと逃げろ。あいつは妾が相手する。」
「え?」
アリシアはアーサーと話すと一瞬でアランの目の前まで距離を詰めた。
だが、アランはすぐに反応し、肉弾戦が始まった。
アリシアは手に黒炎をまとい、アランはセシルを使い攻撃していた。
アリシアとアランの動きは音速に近い速度で動き、マリアたちは目で追えなかった。
「あ、あれって、黒炎!」
「アリシアってあんなに強かったんだ...」
「アリシア様はアラン様にひけをとらないと思われます。」
「あなた達は何を言っているの?あれは黒炎よ!アランが!」
だが、二人は冷静であった。
「マリア様、アラン様なら大丈夫です。今から起きるのは禁術祭りですよ。」
「アランは私達を助けてくれた彗星の魔法使いですよ。」
「彗星の魔法使い...アランが...もしかして私を助けてくれたのもそういうこと?」
「そうですね。私達が通りかかったところ、マリア様が戦っていたのでアラン様が助けに入ったのです。」
「でも、アランがあんなに強いなんて、私、本当にアランのことを知らないのね...」
アランとアリシアの攻防は一進一退であった。
アリシアが蹴りを入れると、アランがセシルでアリシアを吹き飛ばす。
(これじゃらちがあかんな。この一発に全てを賭けるか。)
アリシアはアランと距離を取り、魔力をため始めた。
それに気づいたアランは自分も魔力をため始めた。
(考えることは同じか。それなら火力勝負じゃな。)
二人は弓を構えた。
「破滅の黒炎。」
「深海の黒炎。」
二人は今ある魔力の全てを使った。
二つの黒炎でできた矢はぶつかり合い、とんでもない衝撃波を生み出し、決闘場を半壊させた。
「これでもだめか...」
アリシアが独り言を言うと、その間にアランは距離を詰め、セシルに黒炎をまとわせて振り、アリシアを決闘場の壁にめり込ませた。
(流石にきついな...じゃが今のあいつは魔力を制限しておる。だから、これなら...)
アリシアは立ち上がると、飛行魔術を使い、空に無数の黒炎でできた剣を生み出した。
「墨の空。」
その剣は、全てアランに向けて放たれた。
アランは黒炎で壁を作り、剣を防いだ。
だが、二人とも倒れてしまった。
「アラン!」
「アラン!」
「アラン様!」
二人とも魔力切れで倒れてしまったのだ。
アリシアはなんとか立ち上がったが、アランは起きなかった。
「アランのやつ魔力制限をしおって...まあとりあえずこれで頭は冷えただろう。」
そこに空から一人の男がやってきた。
その男はスーツを着ていて、20代後半ほどの見た目だった。
「アリシア様、お迎えにあがりました。よくぞご無事で。皆が待っています。行きましょう。」
「ベルグールか。久しいのう。ビクトリア、やれ。」
「かしこまりました。」
ビクトリアは火の魔術を放ち、ベルグールを攻撃したが、簡単に避けられてしまった。
「アリシア様?行きますよ?」
「妾行かぬ。もしお主が妾たちに勝ったら言っても良いがな。」
「そうですか。ならすぐに終わらせましょう。1人は倒れアリシア様は魔力切れ。あとはそこのメイドと後の女ですか。」
ビクトリアがもう一度火の魔術を放ったが、簡単に防がれた。
「こんなもので私を倒せると?私は魔王軍幹部のベルグールだぞ。」
「ベルグールだと!?国王陛下、一度ここは退避を!」
「ならん。わしもここに残る。崇高の魔術師はアーサーとギルド長をここに連れてこい。わしたちはあの戦闘に手出しはできん。」
「ですがこのままでは!ベルグールは魔王軍の中で今最も強い幹部です!頼みの綱の彗星の魔法使いも戦闘のになった今、このまま何もしないと王都が滅びますよ!」
「大丈夫だ。その時はわしが責任をとって自害しよう。」
「陛下!?」
「父上、よろしいのですね?」
「ああ。アーサーよ、あの戦いをよく見とくのだぞ。」
「わかりました。」
アーサーたちが話している間にマリアが加勢していた。
「ビクトリア!行くわよ!」
「わかりました。」
マリアは魔力をため、上位魔術を放った。
「ブレイズテンペスト!」
詠唱をすると、マリアの手から炎の竜巻が放たれ、ベルグールを飲み込んだ。
「そうですね、人間ならかなりやりますが、私には通用しません。」
「なっ!」
ベルグールは防御結界を使い、簡単に防いでしまった。
「そんなものか。」
ベルグールは一気に距離を詰め、マリアに近接戦闘を挑んだ。
だが、ベルグールの選択は過ちであった。
「あんた、バカね。」
マリアはベルグールがまばたきをする瞬間に懐に一発、拳をめり込ませ、吹き飛ばした。
「ば、ばかな...!」
そのまま、マリアは一気に決めに行った。
空に巨大な火の球が現れ、この決闘場一帯を消し去るような大きさをしていた。
「ばか!マリア!やめろ!」
「スペースプーロジョン!」
アーサーの静止も聞かず、詠唱をし、ベルグールに放った。
「古代魔法ですか。良いでしょう。私も全力を出してあげましょう。」
ベルグールが両手を掲げた。
「スケアードイヌア!」
空に地面と水平に扉が現れた。
その扉が開くと、中から無数の黒い手のようなものが現れ、マリアの放ったスペースプーロジョンを扉の中に引きずりこもうとした。
「まだよ!扉ごと破壊してやる!」
マリアは更に魔力を込めたが、ベルグールのほうが魔力量が多かった。
「所詮は人間。魔力も私達魔族に比べたら低いですね。」
そのままスペースプーロジョンは扉の中に飲み込まれ、扉はは閉じてしまった。
「マリア様、まだ戦えますか?」
「当たり前よ!まだここからわよ!」
マリアはそう言うが、先程の古代魔法でかなり魔力を消耗してしまった。
(赤髪の女は今のでかなり魔力を消費したはずだ。だが、あのメイドは底が読めない。こっちも魔力を消費しているから、油断はできないな。)
ベルグールが考えていると、ビクトリアは詠唱を始めた。
「ブレイスインクルス。」
ビクトリアの詠唱が終わると、無数の風の斬撃がベルグールに向かって放たれた。
「風の魔術か。しかもこれはエルフの魔術。まさかお前、エルフか?」
「あなたに答える義務はありません。」
ベルグールはビクトリアの魔術を丁寧に処理していき、無傷で二人の前に立った。
「今のは良い攻撃だが、私に攻撃するには遅い。」
ベルグールはマリアに距離を詰めたときよりも、更に速くビクトリアの前に現れた。
ベルグールの拳はビクトリアの目の前まで迫ったが、ビクトリアはそれを交わし、カウンターを入れた。
(今の攻撃を交わした!?確かに今のは全力を出したはずだ。なのに、カウンターまで...どうなっているんだ?)
ベルグールはすぐに次の攻撃体勢に入り、ビクトリアに連続で攻撃した。
ビクトリアはそれを防御したり交わしたりしていたが、段々とビクトリアが押され気味になった。
「この調子だと、ビクトリアたちは負けるな。」
「え!?そしたら、どうするの?」
「そうじゃな、アランが起きればよいのだが、何故じゃろう。いつになっても起きんな。」
(アランと戦った時もおかしかった...なにか他の制限がついているような。まさか!)
「ベルグール!貴様アランに呪をかけたな!」
「ええ。アリシア様に怪我をさせたくはなかったので。」
「アランに呪いをかけた?貴様!」
マリアの怒りは限界に達していた。
だが、マリアもビクトリアも傷を負い、血を流し、満身創痍であった。
「もうそこの魔法使いは二度と起きんぞ。魔力切れで倒れて、呪いで魔力は復活しない。残念だったな。」
「あらんが一生起きない?」
マリアはベルグールとの戦いと、アランの呪いのことを聞いて、絶望してしまった。
「マリア様!今はベルグールを倒すのが先です!」
「そ、そうわよね...」
ビクトリアはそう言うが戦況はかなり厳しかった。
「アラン様の呪いは私が解きます。だから、もう少しがんばってください。」
「何お喋りしてるんだ?」
二人が話している隙をつき、ベルグールは二人を吹き飛ばした。
「君たちは人間だ。魔族にかなうわけがなかろう。」
「マ、マリア様...ここは逃げてください。私が引き受けます。」
「で、でも、そしたら、ビクトリアが!」
その瞬間、アランが立ち上がった。
「良かった...マリア様、主役の登場ですよ。」
「君は僕の家族に手を出したね?」




