「呼び出し」
「こ、これは、王族の紋章!」
「え!?」
「え!?」
確かに手紙には王族の紋章が入っていた。
「ビクトリア、すぐにアランを呼んできて!」
「はい!」
ビクトリアは急いでアランを連れてきた。
「ど、どうしたの?」
「アラン、あなた、王族から手紙が来ているわよ!」
「え!?なんで!?」
アランは手紙を受け取ると、手紙を読み始めた。
「アラン殿へ
この手紙が届いた次の日、王宮に来てくれ。
なお、同行者は、災禍の炎帝とレベッカ・フォン・ターナー、そしてアラン殿とその仲間に限る。
ラファエル王国、国王ソルブ・ハワードより。」
「国王から呼び出し!?僕なんかした?」
「わからないわ。でも、何故私まで?」
「もしかして、アランのことが国王陛下にバレた?」
「やばいじゃん!僕の秘密がバレたら、下手したらお姉ちゃんまでもが死罪になるよ!」
「そうね。でも、まだそうと決まったわけじゃないから、一度王宮にいかないとわからないわね。」
「そうだね。とりあえず、バレてないと祈っておこう。」
次の日。
屋敷の前には王族の紋章が入った馬車が止まっていた。
アラン達が外に出ると、一人の男が出迎えた。
「なんであんたが居るのよ!」
「しょうがないだろ。俺だって来たくて来たわけじゃないんだ。なんで大事な休日がお前の顔を拝まないといけないんだよ。」
アランはその顔に見覚えがあったため、すぐにローブのフードを被った。
「殿下とマリアは仲が良いのか悪いのか...」
「お久しぶりです、レベッカ嬢。先日の事件では大変でしたね、お怪我などはありませんでしたか?」
「お気遣いありがとうございます。優秀な護衛がいたため無傷ですみました。」
「そちらの方が新しい護衛ですね。私はこの国の第一王子、アーサー・ハワードと申します。以後お見知り置きを。」
アランはコクリと頷いた。
「あ、あの、護衛の方は少々シャイな方なので、これが平常だと思ってください!」
「そうですか、わかりました。では、馬車が待っているのでこちらに。」
アランたちが馬車に乗り込むとすぐに馬車は出発した。
「そちらのお二人は護衛の方のお仲間ですか?」
「はい。私はアラン様のメイドを務めています、ビクトリアと申します。」
「妾はアリシアじゃ。よろしくな!」
「アリシア様!この方は第一王子ですよ!敬語を使わないと、最悪打首ですよ!」
「そうなのか?それはすまんかったな。」
「いえ、大丈夫ですよ。それより、護衛の方はアランと言う名なのですね。」
「殿下はアランのことをなにか知っているんですか?」
「少しだけなら。父上が密命でレベッカ嬢に護衛をつけているとは聞いています。」
「なるほど。わかりました。」
アーサー達が話していると、馬車は王城の中へと入っていった。
「着きましたね。中に入りましょう。王宮で父上がお待ちです。」
「わかりました。」
アーサーは皆を連れて王宮に入った。
だが、国王の席には誰もいなかった。
「こちらです。」
謁見の場を通り過ぎ、案内されたのは一つの部屋であった。
「ここは陛下の執務室ね。」
「ああ。こっちに案内しろと言われているんだ。」
アーサーが扉を開けると、一人の老人が座っていた。
「やあ、よく来たね。」
「父上、客人を連れてきました。」
「ああ、ありがとう、アーサー。」
「お久しぶりです、国王陛下。」
「やあ、レベッカ嬢。暗殺未遂事件では大変だっただろう。大丈夫だったかい?」
「はい。無傷であの場をくぐり抜けることができました。それも、この場にいられるのも、全て国王陛下がつけてくださった優秀な護衛のおかげです。」
「そうか。君は国の重要人物だからね。それで、アラン君。君を今日呼び出したのには理由がある。」
「何でしょうか。」
「君とアーサーで決闘をしてほしい。」
「え?」
「は?」
「もしアラン君が勝ったらわしが何でも一つ言うことを聞こう。だが、そのかわりにアーサーが勝ったらわしの言うことを聞いてくれ。」
「父上!それはどういうことですか!」
「今言ったとおりだよ。これは決定事項だ。決闘は明日、王都から少し離れた決闘場で行う。観客はギルド長、レベッカ嬢、決闘結界を維持する宮廷魔術師、そして手が空いている四天王。もちろんわしも行くがな。」
「そ、それは、つまり殿下と僕が戦うってことですか?」
「ああ。そうだよ。形式的には王族からアーサーが、冒険者ギルドからアランくんが出るということになっているよ。」
「わ、わかりました。お受けします。」
「駄目です!」
そこにマリアが異議を申し立てた。
「アラン殿は確かにレベッカ嬢の護衛としての評価は高いと存じ上げています。ですが、それは事件を対処したからであって、本当の強さはわかりません。その実力を測るのであれば私がやります!」
「それは何故だい?アーサーと君だと勝負は互角だろう?この国で最も強い二人の魔術師、どちらが相手をしても変わらないだろう?それとも、なにかそうしないといけない理由でもあるのかい?」
「そ、それは...」
「なら、アラン君の相手はアーサーで決まりだね。明日、ちゃんと決闘場で待ってるからね。」
「わかりました。では、その決闘に一つだけ条件を。」
「なんだい?」
すると、アランは国王に近づき、耳元で囁いた。
「なるほど。良いよ。君の条件を飲もうじゃないか。」
「ありがとうございます。ではこれにて。」
「じゃあ、君たちの決闘には期待しているよ。」
こうしてアランとアーサーの決闘が決まった。
「陛下は何を考えているの?アランとアーサーを決闘させるなんて!」
「そうね。もうどちらが勝利かなんて決まっているのにね。」
「この決闘をどうにか阻止しなきゃ!」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。僕なら大丈夫だから。明日の決闘は見に来るでしょ?」
「そりゃもちろん!ちゃんと応援しにいくわ!でも、もし負けそうになったら、私があのクソガキをぶちのめすから安心して戦ってね!」
「う、うん...」
そして決闘の日がやってきた。
「アラン!頑張って!」
「ビクトリア、大丈夫かしら...」
「まあ、手加減はするはずかと。でも、もしあぶなくなったらアリシア様が止めに入るので大丈夫です。」
「大丈夫よ!アランなら私が守るから!」
マリア達が話していると、アランとアーサー、二人とも決闘場のフィールドに上がってきた。
「これより、ラファエル王国第一王子、アーサーハワード対、冒険者ギルド所属、パーティー名、パーゲオティオ、彗星の魔法使いとの決闘を始める!審判は魔術師四天王、崇高の魔術師が務めます。ではルール説明に移ります。勝利条件は3つ。1つ目は相手を戦闘不能に持ち込むこと。2つ目は魔力が尽きたこと。3つ目はどちらかが降伏ということ。このどれか一つを満たせば勝利となります。なお、決闘結界を破壊する、観客に危害を加えるなどの行為をした場合はそこで失格となりますのでご注意ください。」
「ねえ、レベッカ、いま彗星の魔法使いといった?」
「ええ、言ったわよ。」
「彗星の魔法使いって、5年前私達を助けてくれた人よね。それがアランってこと?」
「さあ、人違いかもよ。ほら、始まるよ。」
「位置について、用意、はじめ!」
決闘は始まったが両者どちらも動かなかった。
「君、父上からは気に入りられているけど、そんなに強いの?」
「さあ、どうかな。」
「わからない、か。まあ、そんなに手加減はしないよ。あのクソガキが見てるから舐められると困るからね。」
アーサーは剣を抜いた。
「それは神器?」
「これはラファエル王国に伝わる聖剣だ。神器と同等の力を持つんだ。君はこれを避けれるかな?」
アーサーはアランに斬りかかってきたが、簡単にかわした。
(俺の剣を交わしたか。身体能力は互角。でも魔眼で見る限り、魔力はそんなに多いわけじゃない。)
アーサーは素早く次の攻撃に入ったが、またアランは交わした。
それが何度も続き、アーサーは疑問に思った。
「君は攻撃してこないのか?」
「攻撃していいの?」
「これは決闘だぞ。」
すると、アランはアーサーの剣を避け、腹に蹴りを入れた。
(さっきより速くなった?近接戦は不利か。なら、こっちで...)
アーサーはアランと距離をおいて、光の矢を大量に作り、アランに向けて放った。
「あいつ!アランに本気を出してんだけど!」
「マリア、落ち着いて。アランなら大丈夫だから。」
アーサーの矢はアランに雨のように注いだが、アランは防御結界を張ってそれを防いだ。
「良いのか?防御結界を使ったらお前が不利になるんだぞ?」
「君は少し話す時間を減らしたほうが良いよ。」
すると、アーサーの動きが止まった。
「糸?体が動かない...」
アランは螺旋を使い、アーサーの自由を奪った。
「少しはやるようだが、俺はこの国の第一王子だ。舐められたら困るよ。」
アーサーはそう言うと、手から炎を出し、糸を焼き切った。
「今度はこっちの番だぞ!ファイアートルネード!」
アーサーが詠唱すると、炎の竜巻が現れ、アランに向かって一直線だった。
だが、アランはそれは簡単にかわし、走ってアーサーの前まで来た。
(魔術は不利だと踏んだか。なら、こっちは魔術を使うまでだ。)
アーサーはアランに追いつかれないよう走りながら、光の矢を使い、攻撃していた。
「君は、魔術が得意じゃないんだね。」
「そうかな?」
(魔力を制限してるからあんまり魔術は使えないな。そしたら、魔法を使うか。)
アランはいきなり向きを変えて、アーサーに向けて魔法を放った。
「雷属性なのか。珍しいね。」
アーサーは防御結界を使い、アランの攻撃を防いだ。
だが、アランの攻撃は終わらず、次々に稲妻が飛んできた。
(このままだと防御結界が持たないな。こっちが仕掛けないと無理か。)
するとアーサーは防御結界を解き、後ろに退避した。
そして、アーサーは一つの光の槍を作った。
「ホールプルグネンス!」
「あいつ!上級魔術を使いやがった!アラン!危ない!」
アーサーの槍はアランを貫くように放たれた。
アランのもとに届いた瞬間、ぶつかった衝撃で煙幕がおき、何が起きたかわからなくなっていた。
「アラン!」
煙が晴れると、アランは立っていた。
「馬鹿な!魔術は得意じゃないかったのか!」
アランはアーサーの魔術を防御結界で防いだ。
「煙たいな...」
(しょうがない、あの攻撃で決めるしかないか...)
すると空に巨大な術式が現れた。
「あれは!アラン!逃げて!」
「あれは...」
アランの頭上に現れた術式から光の矢が現れた。
「貫け光明の矢!」




