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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第3章 護衛
36/71

「姉弟デート」

次の日。

ビクトリアがアランを起こしに行くと、驚愕の光景が広がっていた。

「ア、アラン様?わ、私を差し置いて、その女は、だ、誰ですか!?」

アランのベッドにはアランとマリアが一緒に寝ていた。

「ん?もう朝?」

「もう朝?じゃありませんよ!その女は誰ですか!」

「なによもう、朝からうるさいわね、私達が寝ているのに何よこんな朝っぱらから...」

ビクトリアが布団を剥ぎ取ると、更に驚愕の光景が広がっていた。

「ア、アラン様!?」

アランの顔はマリアの胸に埋もれていた。

すぐにビクトリアはマリアからアランを剥ぎ取った。

「うわ!せっかく暖かかったのに!」

「何をはしたないことをしているのですか!」

「え?あ、ビクトリア!?どうしたの、そんな顔を赤くして。風邪でも引いた?」

「もう、アラン様なんて嫌いです!」

ビクトリアは怒って部屋を出て行ってしまった。

「僕なにかしたかな?」

アランがマリアを連れて朝食を食べに行くと、ビクトリアもレベッカも誰かを睨んでいた。

「二人とも顔が怖いよ?どうしたの?」

「いえ、アラン様には関係ありません。」

「あんのブラコンめ!よりによってなんであんな豊満ボディなのよ!」

「ん?レベッカ?どうしたの?」

レベッカの怒りは頂点に達し、レベッカは氷の魔術を放った。

「うわぁ!朝からなにするのよ!」

「それはこっちのセリフよ!このハレンチが!」

「ほら、みんな、食べるよ。全く、アリシアを見習ってほしいよ。」

アリシアはこの状況に見向きもせず、ひたすら朝食を口に運んでいた。

「あれ?なんか僕の朝食も減ってない?待って!アリシア!?何してんの?」

アリシアは他のみんなが朝食を食べないのでアラン達の分まで手を付けていた。

「待って!?アリシア!ちょっと!聞いてるの!」

「ん?お主達が食べんからじゃぞ?もう良いか?」

「だめだわ!もうアリシアの朝食は終わり!ほら、さっさとその皿を片付けて!」

「えー!?まだ食べたりないのじゃ!もうちょっと!」

「だめです。」

ビクトリアがアリシアを無理やり止め、皆も一度頭を冷やし、朝食を食べた。

その後、アランとマリアは街に出ていった。

「レベッカ様、お話が。」

「何よビクトリア。」

「私達、協定を結びませんか?」

「協定?なんの?」

「アラン様のです。今はマリア様が独占状態にあります。あの要塞を崩すには私達で手を組まない無理です。」

「まさか、ビクトリア、そういうこと?」

「ええ、そういうことです。」

「良いでしょう。あなたとの戦いはマリアを倒してからにしましょう。それでよろしいですね?」

「ええ、ありがとうございます。」

レベッカとビクトリアが協定を結んだ頃、アランとマリアは街で楽しくデートをしていた。

「それにしても、お姉ちゃんはなんでカツラを被ってるの?」

マリアの髪色は元々はきれいな赤色だったが、今はカツラによって茶髪になっている。

「そっか。私のことも知らないんだよね。私は今は、魔術師四天王、災禍の炎帝って呼ばれてるのよ。」

「そっか!確かに街中にそんな人がいたら大騒ぎだもんね。」

「それよりアランは身長が大きくなったわね。お姉ちゃんはそれだけで嬉しいわ!」

「お姉ちゃんに言われたくないな...」

確かに身長は十年前よりはかなり伸びていた。

大体、160cm程だろう。

だが、マリアはさらに大きかった。

「お姉ちゃんは何cmなの?」

「私は175cmよ。私も身長は伸びたのよ。」

「175...なんで姉弟でここまで違うの...」

「アランは身重なんかなくてもかわいいわよ!」

「だけど!」

「ほら、ついたわよ。私一押しの魔導具店、バジラ。」

「ここ...」

「ほら、中にはいるわよ!お姉ちゃんが好きなものを買ってあげる!」

中に入ると、中はかなり忙しそうであった。

「あの、バジラさんはいますか?」

「はい、バジラ様のお客様ですか?」

「秘密にしてほしいんだけど...」

マリアは手からキーホルダーのようなものを見せた。

「それは!わかりました。すぐにお通しします。」

アランたちは奥に案内された。

「これはこれはマリア様。今日はどのようなご要件でって、アランさん!?」

「ど、どうも、お邪魔してます...」

「え?二人とも知り合いなの?」

「ええ!つい最近レベッカ殿の暗殺未遂でお世話になったんですよ!」

「暗殺未遂!?そんなこと起きてたの!?」

「ええ。かなり厄介な事件でしたが、アランさんが見事解決してくれました。」

「さすがアラン!」

「それで、マリア様とアランさんとの関係は?」

「そ、それは...」

「婚約者よ。」

「こ、婚約者!?」

「こ、婚約者!?」

アランとバジラは顔を合わせた。

「僕はおね、じゃなくてマリアの婚約者なんかじゃないですよ。ただの付き人です。」

「そ、そうですよね...そうじゃないと国中が大騒ぎですよ。」

「なんでアランはそういう事言うの!いいじゃん、別に私達は婚約者でも良いじゃない!」

アランは小声で話し始めた。

「だめでしょ!姉弟なんだから!」

「もう姉弟じゃないわよ。もうエディはアランなんだから別に結婚できるでしょ!」

「それでも!」

「あ、あの、それでご要件は何でしょう?」

「これはすまない。実はな、アランになにか買って上げたいと思うんだが何か良いものはあるか?」

「そうですね。最近仕入れたのだと、これなんてどうでしょう?」

バジラは奥から耳飾りを持ってきた。

「アランさんは片方に耳飾りをつけておりますよね。なので、もう片方に耳飾りをつけても大丈夫かと。」

「それはなんの魔導具だ?」

「これはリンクした魔導具が攻撃を受けた場合、他のリンクした耳飾りに知らせるというものです。アランさんはレベッカ殿の護衛と聞きました。この耳飾りは護衛にうってつけです。」

「すごい!これなら遠くにいても任務がこなせるじゃん!」

「バジラさんその耳飾りは今、何個あるんだ?」

「全部で6つですね。どうしますか?」

「全て買おう。」

「え!?良いの?」

「もちろん!アラはこれが欲しいんでしょ?」

「うん!」

「耳飾り6つで、金貨200枚となります。」

「じゃあこれで。」

「はい、ちょうどいただきました。またのご来店をお待ちしております。」

「お姉ちゃんはすごいね!金貨200枚をぽんと出して。」

「これでも四天王だからね!アランのためにちゃんとためていたのよ!」

「ありがとうね!」

「うん!」

それから、アランとマリアは王都を回っていた。

「アラン!あれ食べようよ!」

「あれは、ソフトクリーム!」

マリアはソフトクリームを一つだけ買ってきて、アランと一緒に食べた。

その様子を遠くから見ていた者がいた。

「マリア様、アラン様の姉とはいえ、あれはいくらなんでもおかしいです。」

「そうね。マリアのブラコン度は度を超えてるわ。」

「そうですね。これはかなり厄介な相手かと。姉弟というだけで、かなり距離が近づけることができます。」

「そうね。マリアはまじで結婚しようとか言うからね。どうにかしないと。」

そんなことなどつゆ知らず、アランは姉弟デートを楽しんでいた。

「次はどこに行くの?」

「そうだね。次は私の大好きな場所よ!一度見せてあげたいの!」

すると、マリアはアランを抱えて飛行魔術を使った。

「飛行魔術だ!でも、空を飛んでどこに行くの?」

「それは着いてからのお楽しみ!」

マリアはアランを抱えたまま空を飛び、目的地に着いた。

「ここは王城!?」

アランたちは王城の頂点に座っていた。

「そうよ。綺麗でしょ!飛行魔術を覚えてからここを見つけたの!絶対にアランをここに連れてくるって決めてたんだ!他にもいっぱい行きたいところがあるのよ!」

王城からは王都一帯が見渡せ、赤みがかった夕日の空はとても綺麗であった。

「本当!?僕も行ってみたいな!世界中を旅したいよ!」

「そうね。また今度連れて行ってあげる!」

すると、アランは夜空を見上げた。

「お姉ちゃん、今日は彗星が通るんだって。」

「そうなの?そんなことは誰も言ってなかってけど...」

アランは小声で詠唱した。

「彗星の雨。」

すると、夕日の空は青い光で埋め尽くされた。

「本当だ!すごくきれいだね!」

「うん!綺麗だよね!」

「じゃあ、そろそろ帰ろっか!」

「うん!」

アランはマリアに抱えられ、そのまま屋敷に戻った。

「ただいま!」

アランが玄関の扉を開けると、すごい形相でレベッカとビクトリアが走ってきた。

「アラン!マリアとは何もなかった?」

「アラン様!大丈夫ですか?」

「え?どうしたの?別に何にもないよ。でもすごく楽しかったよ!」

「なんでみんなして、私を睨むのよ。」

「マリア、後で話があるわ。」

「そういえばアリシアは?」

「アリシア様ならエレンが料理を振る舞ってくれますよ。おかげで、今日の夕飯はアリシア様に食べ尽くされなくて済みますよ。」

「それは良かった。」

アランは自分の部屋に戻り、マリアはレベッカとビクトリアの二人に呼び出されていた。

「あの、そちらのメイドは?」

「私はビクトリアと申します。アラン様のメイドでございます。」

「アランの言っていたメイドね。いつも弟が世話になっているわ。それで、レベッカ、話とは何なの?」

「アランとマリアは結婚できないわよ。それだけ伝えに来たわ。」

「え?」

マリアの思考が停止してしまった。

「ほらね。やっぱり結婚しようとしてたでしょ。」

「すごいですね。さすが親友のちからですね。」

「で、でも、四天王の力を使えば...」

「そんな事するんだったら私が公爵家の力を使って止めるわよ。てか、まずあなたのお父様が許さないでしょ。」

「確かに...」

「わかったならアランのことは諦めなさい。」

「それはしないわ。私はアランのことが大好きだから。だから、それはできないわね。どうせ、レベッカとかそこのメイドがアランのことが好きだからこんなこと言ってるんでしょ?ずっと屋敷からついてきてたじゃない。」

「うっ、それは...」

「アランは渡さないから。そうそう、あなた達にこれをあげるわよ。」

レベッカは街で買ってきた耳飾りを二人に渡した。

「これは?」

「これは魔導具よ。アランも同じものを持っていてリンクしているの。誰かが攻撃を受けたらどこにいても連絡がくるわ。”一応”、レベッカはアランに護衛してもらっているんでしょう?まあ、本当はレベッカがアランのことを護衛するべきなんだけど...」

「いやー、アランに護衛はいらないと思うよ...」

「そうですね。アラン様にとっては邪魔かと...」

「まあ良いわ。とりあえず、それあげるからつけときなさい。もしアランになにかあったら駆けつけれることができるから。」

「わかったわ。受け取っておくわ。」

「ありがたく頂戴いたします。」

「そうだ、アランに一つ手紙が届いていたわ。マリア、渡しといてくれる?」

レベッカから手紙を受け取るとマリアは目を見開いて驚いた。

「こ、これは、王族の紋章!」

「え!?」

「え!?」

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