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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第3章 護衛
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「おかえり」

「レベッカ!お土産を持ってきたわよ!」

「マ、マリア!?ど、どうしてここに!?」

マリアの突然の来訪にアランとレベッカは驚いた。

(ど、どうしよう!レベッカは僕がウォード家ってことを知らないし、お姉ちゃんにバレたらそれはそれでまずいし!どこか逃げ道は!)

アランは見渡したが、部屋に逃げ道はなかった。

「あら、お客さん?こんにちは。私は災禍の炎帝、マリア・フォン・ウォード、レベッカの親友よ。あなたは?もしかして、レベッカの新しい護衛の人?」

「は、はい...アランと申します。」

「そう!レベッカをいつも守ってくれてありがとね!本当は私が守ってあげたいんだけど、それは議会が許さなくてね。」

「そ、そうだ、アランは用事があるんじゃなかったかしら!」

「あ、あー!忘れてた!じゃあ、マリアさん、レベッカをよろしくお願いします!」

「はい!バイバイ!」

アランは部屋から脱出することに成功した。

(ど、どうしよう、顔を見られちゃった...でも、僕だとは気づいてなかったし、大丈夫でしょ。とりあえず、街で暇をつぶすか。)

アランは街に出かけることにした。

その頃、レベッカはマリアが買ってきたお土産を食べてきた。

「これはね、北部伝統のお菓子なんだって!美味しいでしょ!」

「うん!すごくおいしい!でも、マリアはなんで急に来たの?」

「それは来週、エディの誕生日でしょ?」

「あ、ああ!確かにそうだね。誕生日は毎年エディを探すんだよね。」

「そうよ。エディは絶対に生きてる。だから、私が生きている間は毎年探して、いつか見つけないと!」

マリアは元気に言っていたが、どこか強がっているようでもあった。

「そ、そうだね。それで、北部の様子はどう?」

「それがね!強い魔術師が魔王軍を一人で撃退したらしいんだよ!レベッカは知ってる?パーゲイティオって。」

「パーゲイティオ?」

「やっぱ知らないか...パーゲイティオはね、素性がわからない冒険者なんだけど、すごく強いんだって。ウェルネスさんによると、国を滅ぼせるぐらい強いって言ってたんだけど、流石にそれは誇張だと思うの。それでも、ウェルネスさんがそう言うんだから、すごく強いと私は思うの。いつか戦ってみたいわ!」

「ウェルネスさんって、崇高の魔術師様?」

「そうよ。そういえば、その人は確か、彗星の魔法使いって言ってた気がするわ。ほら、5年前に私達を助けてくれた人よ。覚えてる?」

「あ、ああ、あの人ね...」

(覚えているわよ!だって、私の護衛であんたの弟じゃない!)

「だからね、今ギルド長に会いたいってお願いしてるんだけど、なかなか取りあってくれないんだよね...」

「そ、それは大変だね...」

それから、数時間、マリアとレベッカは色々なことについて話し、二人は充実した一日を送った。

そして、マリアが帰る頃には夕方になっていた。

「そろそろ私は帰るわね。周りには気をつけてね。意外と近くに嘘をついてる人がいるかも知れないからね。」

「わかったわ。気をつけておく。」

「見送りは大丈夫よ。それこそ、そこで狙われたら大変だわ。」

「たしかに...じゃあ、またね。」

「ええ。」

レベッカはその場でマリアを見送った。

その頃、アランも屋敷の玄関に来ていた。

「もう帰ったかな。」

アランがレベッカのもとに向かうと、途中で帰るマリアに遭遇した。

アランが軽く会釈をすると、いきなりマリアはアランを連れて、近くの部屋に入った。

「え!?ど、どうしたんですか!?」

すると、マリアはアランに抱きついた。

「おかえり、エディ...」

「やっぱり気づいてた。やっぱだめか...でも、まずは、ただいま。お姉ちゃん。」

アランとマリアは二人で抱き合い、どちらも号泣していた。

それから数十分が経ち、レベッカが自分の部屋に入ろうとしたところ、異様な光景が広がっていた。

「あっ...そっか。まあ、良かったね、マリア。」

アランとマリアは泣きつかれ、その場で寝ていた。

それから、数時間が経ち、アランとマリアの二人の説教が始まった。

「感動の再開は良いんだけど、なんで私の部屋でするの!」

「そ、それは...」

「どうせ、マリアがアランのことを見つけて連れ込んだんでしょう?」

「うっ、全部お見通しじゃん...」

「そりゃ、親友だからね。それで、今までの話はしたの?」

「えっと、それは...」

「てかやめてくれない?いい加減二人とも離れてくれない?見ててイライラする。」

アランはマリアの膝の上に座っていた。

「だ、だって、十年ぶりの再会だよ?これぐらいは許してよ!」

「それでもだめ!少なくても私の前でやらないで。」

アランはマリアの上から降りた。

「それで、アランていうのは偽名?」

「そうだよ。今はアランって名前で生活してるんだ。」

「そう。じゃあ、私もエディのことはアランって言った方が良いわよね。」

「うん、そうして。てか、なんでレベッカは僕のことについて知ってるの?」

「そりゃ、一度会ってるからよ。あんたのメイドが私と会った記憶を消したからね。アランが覚えてなくても、私は覚えているわよ。」

「ビクトリアが僕に精神干渉魔術を使ったの?後で詳しく聞かないと。」

「精神干渉魔術!?それって禁術よ!アラン、そのメイドを今すぐ連れてきなさい!」

「連れてきたらどうするの?」

「殺す。」

「だめ。殺すならなおさら。とりあえず、僕が家出してからの話をするね。」

「お願い。お姉ちゃんもそれは聞きたい。」

「まず、家出してすぐに、ビクトリアに拾われて、底からドルディンクにある山奥の屋敷で十年間育てられたの。」

「それで?」

「それだけ。」

「アラン?嘘つかないで。マリアにはまだ話すことがあるでしょう。」

「話すこと?まさか、アラン、なにかひどいことでもされたの!?」

「ち、違うよ。部分的に。」

「なんて言った?」

「いや、なんでもない。それでね、これを見てほしいの。」

そう言って、アランは手から光を出した。

「これって...」

マリアの動きが止まった。

「魔術だよ。魔術が使えるようになったの。あと、魔法も。それだけだよ。」

「アランが魔術、エディが魔術、待って、もう一度言って?」

「だから、魔術が使えるようになったの。」

「アランが魔術?ん???????」

「僕はなにかの呪いにかかってて、魔力と魔術が使えなかったらしいの。だから、ビクトリア達がそれを解呪してくれて、魔術を使えるようにしてくれたの。」

「つまり、アランは魔術が使えるの?」

「だから、使えるって!さっきから言ってたんだけど。」

マリアは涙を流しながら抱きついた。

「良かった...エディはこれで嫌な思いをしなくて済む...」

「泣かないでお姉ちゃん。僕なら大丈夫だから。」

「でも、私のせいで、私が魔術を使うから、アランが家出して...」

「え?違うよ。僕は父上に呆れて、生き残るために家出したんだよ。僕は別にお姉ちゃんがどうとかはないよ。」

「どういうこと?」

「父上は、僕が魔術ができないから殺そうとしたんだ。だから、家から抜け出したの。」

すると、マリアの怒りは爆発した。

「あんのクソ野郎、ぶっ殺してやる!」

「お、お姉ちゃん、落ち着いて!僕はもう怒ってないから!てか最初から怒ってないから!」

「でも、でもでも!」

「確かにエドワード・フォン・ウォードはしんだ。でも、新しくアランという人間が生まれた。それで良いじゃん。」

「そうよ。マリア、一度頭を冷やしなさい。もし、アランがバーナード殿にバレたらそれこそ、アランが殺されるわよ。」

「確かに...」

「だから良い?これは私達だけの秘密よ?」

「わかったわ。」

「そうだ!アラン、明日は空いている?」

「空いてるけど、どうしたの?」

「良かった!アラン、明日はお姉ちゃんとデートよ!」

「デート!?だめよ!アランは私の護衛よ!」

「良いじゃない。その、メイドとか言う人に任せておけば。」

「たしかに、ビクトリアなら大丈夫か。レベッカ、お願い!久しぶりにお姉ちゃんと一緒に過ごさせて!」

レベッカは考えに考え抜き、答えた。

「しょうがないわね。一日だけよ?良いわね?」

「うん!」

「今日はもう遅いから、マリアもうちに泊まっていって。」

「本当!?ありがとう!部屋はいらないから!」

「へ?」

「私はアランの部屋で寝るから!じゃあ、行くよ!」

「ちょちょ!」

レベッカの静止も聞かず、マリアは連れて行った。

「行っちゃった...エレン!」

「はい、お呼びですか、お嬢様。」

「計画に、大きな邪魔が入ったわ。マリアがアランのことを知ってしまったわ。」

「そうですか...それは大きな障害ですね。マリア様は十年間アラン様と会わず、ブラコン化がさらに進んでしまいましたからね。」

「ええ...マリアなら『アランはもう弟じゃないから結婚する!』とか平気で言いそうよね...」

「そうですね。私達も早急に手を打たなければ。」

「そうね。明日は作戦会議よ。」

「わかりました。」

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