「真相」
「犯人はエレン、あなたですね。」
アランはエレンを指し、皆の注目はエレンに向けられた。
「ちょっと待って、アラン、なんでエレンが犯人なのよ!」
「それにはいくつかの理由があります。まず、エレンはこの事件の犯人ではありますが、首謀者ではありません。そして、エレンが犯人であるかの理由ですが、ビクトリアが精神干渉をして、エレンの記憶を見ました。」
「え!?精神干渉魔術を使ったの!?」
「はい。エレンさんがころんだときに手を握ったので、その時に使いました。」
「他にもあります。ではご登場を。」
すると、部屋の扉が開くと、昨日の夜ビクトリアが助けた男女二人がいた。
「お父さん!お母さん!」
エレンはその二人を見た瞬間走り出し、二人に飛びついた。
「すまなかったなエレン。ひどい目に合わせてしまったな。」
「ええ。あなたは十分頑張ったわよ。」
三人は涙を流しながら抱き合い、その後エレンはレベッカに向けて土下座をした。
「すみませんでした!私が全てやりました!」
「ど、どういうこと?」
「私は両親を人質に取られて、ただこの魔導具を発動させれば良いと言われたんです...」
「はあ!?誰がそんなことやらせたの!エレンをこんなにさせたなんてありえない!」
「黒幕はもうそろそろ到着しますよ。」
すると、扉が開き、アリシアと一人の男が入ってきた。
「ドバルグ!あんたがエレンを!」
「な、なんですか?私はなにかしましたか?」
「とぼけないでください。あなたがエレンの両親を人質に取り、レベッカを殺そうとしたのでしょう?」
「はて、何を言っているのかさっぱりなのだが、状況を説明してくれるかい?」
すると、ビクトリアが一枚の紙をドバルグに見せた。
「この顔に見覚えは?」
「!い、いや、そんなやつは知らん!」
ビクトリアが持っていたのは写真であった。
「それは、写真?そんな高価なものをどこで...」
「倉庫にあったので拝借しました。」
「うちの倉庫から盗んだの!?」
「いえ、お借りしただけです。ちゃんともとに戻しておきました。それより、ドバルグ、あなたが黒幕ですね?あなたが雇った賊は全て処理しました。もう証拠も上がっています。」
「そ、そんな写真だけで決めつけるなんて、いささかどうかと思いますね。」
「では、これは?」
ビクトリアがもう一枚の紙を出してきた。
「こ、これは...」
それはドバルグと、昨日の夜捕まえた賊との契約書であった。
「これを見ても言い逃れをしますか?」
「っち、そうです、私がやりました...」
「な、なんでよ!あんたはターナー商会のために頑張っていたじゃない!」
「だからです!私は次期商会長候補でした。あなたが生まれるまでは。あなたが生まれてから、私は商会長になれず、おまけに、ヘンリー様はまだ、20の娘に自分の仕事をやらせるなど、ターナー商会が潰れます!だから、私が商会長になり、この窮地を救おうとしたのです。そうすれば、あの方の援助ももらい、ターナー商会はますます発展します!」
「あの方?それは誰のことだ。」
「そんなの、君みたいな部外者に言うわけ無いだろう!」
「へぇ、君は僕みたいな人にも言えないほど身分の低いレベルの人を頼ってるんだ。」
「はあ!?貴様!あの方を侮辱したな!」
「でも、言えないんでしょ?」
「ぐぬぬ...」
「じゃあ、僕が言ってることは正しいよね。」
「わかった!言う!だから、その言葉を撤回しろ!」
「わかった。ほら、早く言って。」
「あの方の名前は!あの方の名前は。あの方の名前は...」
「どうしたんだ?」
「あの方の名前が思い出せない...あの方の顔も思い出せない...さっきまで覚えていたのに!何故だ!何故だ何故だ何故だ!」
「アラン様、これは精神干渉を受けております。」
「そうだね。さて、黒幕はまだいるのか。困ったな。」
「アラン、どういうこと?」
「ドバルグは精神干渉を受けて、自分が頼っていたあの方という人についての記憶を消されたんだ。つまり、トカゲの尻尾切りだね。」
「黒幕は、ドバルグのような者など他にいるってこと?」
「そういうことだね。つまり、かなり権力が高い人ってことだね。」
「わかったわ。とりあえず、ドバルグの処理はしとくから、アランは今日は休んでいいわよ。私のためにありがとうね!」
「そりゃ護衛だからね。」
「お嬢様!私も罰を受けます!」
「エレン、あなたは被害者よ。あなたが罰を受けるのはおかしいわ。」
「それでもです!私は、お嬢様のメイドとして、友人として、自分が許せません!」
「そう。なら、あなたの罰は一生私に仕えることね。良いわね?」
「そ、それでは、罰になって...」
「良いわね?」
「は、はい...ありがとうございます!」
「私達両親からもお礼を言わせてください。私達を救っていただき、そしてわたしたちの娘に寛大な処置を与えてくださり、誠にありがとうございます。」
「私は次期商会長として当たり前のことをしただけです。人質になり、辛かったでしょう。今日は我が屋敷で休んでいってください。」
「ありがとうございます...」
「これで一件落着じゃな。」
「まだだよ。まだ、後ろに巨大な黒幕がいる。それを見つけるまでは解決にはならない。だけど、今はみんな頑張ったから、休憩しよう!」
「そうですね。私はお茶を入れてきます。」
「わ、私も入れてきます!」
「エレンさん、泣いていたら、お茶がしょっぱくなりますよ。」
「は、はい!」
こうして、レベッカを狙った事件はエドウィン・ドバルグが犯人ということで収まった。
だが、その後ろにいる真の黒幕はまだわかっていなかった。
あの事件から一週間がたった。
「そういえば、レベッカっていつもは何をしてるの?レベッカはいつもは暇そうにしてるから。」
「あれ?言ってなかったけ。私は魔術師学校マギアに通っているのよ。普段はその寮で過ごしているんだけど、今は休学しているの。魔王軍との抗争が収まるまで私は国の重要人物として、あまり自由に出歩けないの。」
「そ、そうだったんだ...」
(どうしよう!マギアってあのマギアだよね。もし、学園長とかが来たら...)
「どうしたの?アランなんか顔色悪いよ?」
「だ、大丈夫だよ。待って、それってもうすぐ大学三年生だよね。」
「そうよ。後一年でマギアを卒業するのよ。時の流れって残酷よね。」
「そうだね。」
すると、屋敷の玄関が開き、誰かがこちらに向かって来た。
「誰だろう。お父様かな。」
すると、扉が開くとそこには...




