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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第3章 護衛
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「敵襲」

「みんな伏せて!」

その瞬間、外から巨大な火の球が飛んできた。

レベッカたちが取引を行っていた部屋は吹き飛んだ。

幸い、アランが発動させた防御結界により、レベッカとバジラは事なきを得た。

「な、何が起きたの?」

「わ、私の店が...」

「どこからか魔術が打たれた。この取引を知っている者は?」

「えっと、お父様と、商会の幹部だけよ。」

「私たち本店にいる者は皆知っています。」

「容疑者候補が多いですね。」

「そうだね。とりあえずビクトリアは探査魔術を使って犯人を探して。」

「了解いたしました。」

ビクトリアは探査魔術と飛行魔術を使い、犯人を探し始めた。

「犯人として除外できるのは、レベッカとバジラさんだね。」

「アランとビクトリアとアリシアもよ。あなた達なら私のことをいつでも殺せるもの。」

「たしかにそうだね。そうすると、商会の誰かが怪しいんじゃない?」

「そうわね。バジラ魔導具店の人達がわざわざ商会の怒りを買うことはしないわよね。」

「疑いが晴れてよかったです。でも、私達も内部調査を行います。私達の守りが手薄であったのもこの事件が起きた一つの原因です。」

「いえ、これは商会が巻き込んでしまった事件です。あらかた、商会の人間が私を次期商会長の座から引きずり下ろそうとしたのでしょう。」

「確かに、それなら辻褄が合うね。」

「今日は忙しいでしょう。取引はまた今度の機会にしましょう。」

「ありがとうございます。アラン、屋敷に戻るわよ。犯人を見つけてくれる?」

「当たり前だよ。僕は君の護衛だからね。」

アランたちが屋敷に戻ると、すでに屋敷にはビクトリアがいた。

「犯人を探しましたが、見つかりませんでした。」

「そうか。なら、手がかりは?」

「あります。これを。」

ビクトリアの手には壊れた魔導具のようなものがあった。

「これは、遠隔で操作する魔導具ね。これで私を狙ったのかしら。」

「これはめんどくさいことになったね。」

「そうですね。」

「どういうこと?」

レベッカはアラン達の言っている意味がわからなかった。

「あの場所は、他の場所からはほぼ見えません。そして魔導具が遠隔操作ということは、魔導具店にいた誰かが操作したということになります。」

「つまり、あそこにいた全員が犯人になりうるってこと!?」

「そうなります。わたしたちはアラン様、レベッカ様、アリシア様、エレンさん、私の5人が容疑者候補となります。」

「でも、この5人は容疑者にはなり得ないわ。アランたちは私を簡単に殺せるし、エレンは私が生まれたときからずっと一緒だったのよ。」

「そうですね。私とレベッカ様は同い年です。」

「そうすると、魔導具店の誰かが、商会の人間に操られてるってことだね。」

「魔王軍が操っているとの可能性もあります。」

「どっちにしろ、あの魔導具店に犯人が居るってことじゃな。全員締め上げるか。」

「だめだよアリシア!それだと、ターナー商会がヤクザの商会みたいなっちゃうでしょ!」

「そうか、だめか...良い案じゃと思ったのじゃがな。」

「とりあえず、私はお茶を入れてきます。」

「私も入れてきます。お嬢様はいつものでよろしいですね。」

「ええ、頼んだわ。」

ビクトリアとエレンはお茶を入れに行った。

「レベッカ様のいつものとはなんですか?」

「お嬢様はターナー商会独自のブレンドティーがお好きなんです。」

エレンは話しているのに夢中で、壁にぶつかってしまった。

「大丈夫ですか!?」

ビクトリアはエレンの手を握り、エレンを引き上げた。

「すみません...」

「レベッカ様のことがお好きなのですね。話に夢中になって、壁が見えないほど。」

「ええ、私はお嬢様のことが大好きです。私とお嬢様は同い年で、一緒に育ってきました。」

「そうなんですね。」

その後、二人はお茶を入れ、部屋に戻ってきた。

すると、そこにはバジラがいた。

「バジラ様も来ていたのですね。すみません、お茶をもう一つ入れてきます。」

「大丈夫だよエレン、私はすぐに帰るからね。」

「それで、魔導具店の店員は?」

「それが、全員店内におり、接客やレジを担当していて、手が空いている者がいなかったと。」

「そうですか...」

「もしかしたら盗聴器などが仕掛けられていたかもしれませんね。」

「そうですね。私もすぐに戻り、もう一度確認してきます。何か進展がありましたらすぐに伝えに来ます。」

「ええ、お願いします。」

その後、バジラからは進展がないと連絡があり、今日は一度引き上げることにした。

その夜。

「ビクトリア、頼んだよ。」

「はい。」

ビクトリアは夜に何処かに出かけていった。

 * * *

ビクトリアは王都郊外のターナー商会所有の倉庫に来ていた。

「ここですね。」

ビクトリアは倉庫の鍵を破壊し、扉を開けると、二人の男女の声がした。

大体、60代ぐらいの声だろう。

「誰?誰か居るの?」

「奴らか?」

ビクトリアが近づくと、そこには縄で縛られた男女がいた。

「メイド?どうしてここにメイドが?」

「あなた達ですね。***さんたちですね。」

「なんで俺達の名前を知ってるんだ!まさかあいつらの手下か!}

「いえ、あなた達を助けに来ました。」

ビクトリアは男女を縛っていた縄を切った。

「助けに来た?誰がそんなことを?」

「あなた達が慕っている人ですよ。喋ってないで行きますよ。長居しているとバレますので。」

「お、おう。とりあえず、助けてくれてありがとうな。」

「ありがとうございます。」

「礼は速いですよ。まずあなた達を監禁した犯人の名前はわかりますか?」

「いや、それが寝てる間にここに連れてこられたんだ。」

「そうですか。では、少しここで待っていてください。敵をおびき出します。」

「敵をおびき出す?まさか、俺達を囮にすんのか!?」

「ええ、もちろんです。監禁していた人が逃げ出したら、必ず捕まえに来ます。そこを狙います。」

「わかりました。協力いたします。」

「だめだ!俺らは囮にされるんだぞ!」

「それでも、私達を監禁した犯人は知っておきたいでしょ。それに、そこにいるメイドさんは強いわ。だから、大丈夫よ。」

「こんな奴が?」

「ええ。足音がしなかったわ。他にも、目線がどこに行くか相手に読ませないようにしていたわ。かなり強いわね。」

「よくそんなことがおわかりで。」

「数十年メイドをやっているのでそれぐらいはわかります。」

「そうですか。ではお願いします。」

二人は囮になりわざと声を出した。

「誰かー!助けてくれー!」

「私達はここに居るわよー!誰かいないの!」

すると、声に反応し、数人の男がやってきた。

「おいおい、何抜け出してんだ!お前ら!そいつらを捕らえろ!じゃないと、俺らの首が飛ぶぞ!」

「はい!」

男たちは二人を囲み、捕らえようとした。

だが、それは一人のメイドにより防がれた。

「まんまと引っかかりましたね。」

ビクトリアはファイアートルネードを使い、二人の周りを囲んでいた男たちを一掃した。

「な、なんだお前!」

「それはこちらのセリフです。あなたの親玉は誰ですか?」

「親玉?言うわけねえだろ!ファイアーボール!」

男たちをまとめていたリーダーはファイアーボールを使いビクトリアに攻撃したが、防御結界で簡単に防がれてしまった。

「詠唱をするとは、かなりレベルの低い賊のようですね。」

「貴様!」

「ファイアーボールとはこうやって使うのですよ。」

男の頭上にとてつもない火の球ができた。

「な、なんだあれ...」

「ファイアボール。」

ビクトリアが詠唱すると、ファイアーボールは男にめがけて一直線に飛んできた。

「や、やめろー!」

男はファイアーボールに直撃し、意識を失っていた。

「少しやりすぎましたかね。」

「お前、そんなに強かったのか。」

「私も予想外ですね。こんな魔術を使えるとは、あなたは本当にメイドですか?」

「ええ。魔法使いのメイドですから。とりあえず、そこに倒れているたちを縛るので手伝ってください。」

ビクトリア達が賊を縛り上げ、少し待っていると、最初に賊のリーダーらしき男が目を覚ました。

「ん、は!そうだ!俺は巨大な火の球に押しつぶされて...」

「目を覚ましたか。早く黒幕を吐いてください。」

「はあ?誰がお前なんかに言うか!」

「立場がわかっていないようですね。」

すると、ビクトリアは剣に火をまとわせて、男の首に近づけた。

「私はあなたのことなど簡単に殺せます。ですが、私は情報が欲しいのです。そして、あなた達も命は大切でしょう?私が命を与える代わりに、あなた達は情報を与えなさい。そしたらwin&winではないですか。」

「わ、わかったよ...俺らはターナー商会の幹部のやつに指示されてやったんだ。だから、そいつらの名前もなんのためにやらされてるのかも知らねえ。ただ、報酬は弾むと言われたんだ。」

「そうですか。それで、依頼主の名前は?」

「エドウィン・ドバルグだ。そいつに命令されただけだ。」

「そうですか。ご協力感謝します。では。」

「え?俺達のことはどうすんだよ!」

「放置です。誰かが来るまで待っていてください。運が良ければ捕まらずに済むかもしれませんね。」

「はあ?俺達を解放しろ!俺は必要な情報を話したぞ!」

「私は命を与えると言っただけで、あなた達を解放するとは言ってません。***さん。行きますよ。」

「ど、どこにだよ!」

「着いてきてください。後で説明します。」

「わかりました。あなた、ついていきましょう。」

「で、でも...」

「大丈夫ですよ。あの人は悪い人では無さそうですし。」

「わかったよ...」

ビクトリアは二人を連れて去っていった。

その次の朝。

「皆さんにお話したいことがあります。」

アランはレベッカやバジラなど、昨日の事件の時にその場にいた者を集めた。

「犯人がわかりました。」

「え!?もうわかったの!?」

「はい。レベッカを狙った犯人は...」

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