「決闘」
「ほう、それはなぜだ。」
「アラン様は本気を出していません。」
「ん?」
アランとラファエルの勝負は互角に見えた。だが、ビクトリアは知っていた。
「アラン様の本気はあんなものじゃありません。そもそも、なぜ至高のスタッフを左手で持っているんですか?」
「あ、確かに。まさか、あいつ、とんでもない舐めプをしてるじゃないか。」
アランはかなり手を抜いていた。わざわざどちらが勝つかわからないように。
「ですが、アラン様も追い詰められたら本気を出すでしょう。」
「そうか。」
アランの古代魔法はラファエルに防がれてしまった。
「今度はこっちの番だ。」
そう言うと、巨大な火の球を作った。
「メテオスマッシュ!」
火の球はアランのもとへ勢いよく向かってきた。
「黒陰恒陽、陰。」
黒陰はメテオスマッシュを飲み込んだ。
「黒陰恒陽、陽。」
黒陰が恒陽に変わり、ラファエルに飛んでいった。
「まあ、そうだよな。じゃあ、こっちも使うか。」
そう言うと、ラファエルは巨大な術式を作り、光線を放った。
「黄道閃火!」
その威力は凄まじく、恒陽を跳ね返しアランを吹き飛ばした。
「なんだ、あの威力...これはちょっと真面目にやらないとまずいな。」
アランがそう言うと、黒い火の矢を作った。
「破滅の黒炎。」
黒炎をまとった矢はラファエルの横をかすめた。
「やっべ、油断してた。一気に方をつけるか。」
すると、弓を構える動きをした。
「貫け、光明の矢!」
ラファエルは光の矢を放った。
光の矢がアランに着弾する瞬間、アランは神術を発動させた。
「鏡返し。」
だが、それは通用しなかった。
「あれ?」
アランは光の矢をもろにくらい、床にたたきつけられてしまった
「ビクトリア、どちらが勝つと思う?」
「そうですね、今の状況を見ると一見ラファエル様ですが、アラン様のほうが優勢です。アラン様はラファエル様の魔力の二倍はあります。まだ、アラン様には秘策がありますから。」
すると、アランが立ち上がると、背中から核心を作った。
「あれは、見たことないですね。」
アランは詠唱を始めた。
「核心の貫き。」
8つに分かれていた光線が、一つに集まり、大きな光線になりラファエルに向かっていった。
「なんでピンピンしてんだよ、おかしいだろ。」
ラファエルは攻撃を防ぐため、詠唱を始めた。
「厳守の光芒!」
アランの攻撃とラファエルの防御は互角であった。互角であったが...
「あれは...」
ラファエルの頭上には無数の隕石があった。
「彗星の雨。」
ラファエルは詠唱を聞くと頭上を見るが、時すでに遅く、ラファエルが防御するには手遅れであった。
「まじか、神術の同時発動、そんなんできるやつ世界でお前だけだよ。」
ラファエルは防御できずに、彗星の餌食になった。
「こりゃ、ラファエルの完敗だな。」
「さすがアラン様ですね。」
だが、ラファエルはまだ立っていた。
「まさか、全部避けたんですか!?」
そう、ラファエルは彗星の雨を防御するのではなく、全てかわしていた。
「まだまだ行くぞ!」
するとアランの頭上に巨大な魔術式が現れた。
「神の裁き。」
ラファエルが詠唱すると、ラファエルの体内魔力、そして体外魔力を集め、ビームを放った。
「マジですか...」
アランは途方に暮れていたが、なにか一つを思い出したように、詠唱をした。
「破滅の波動!」
すると、アランの目の前にラファエルの作った魔術式をはるかに超える大きさの魔術式が何段にも重ねて現れ、神の裁きを打ち破り、ラファエルと決闘結界ごと吹き飛ばした。
「これは、とんでもない威力ですね。」
「アラン君は正真正銘の化け物だよ。」
決闘はアランの勝利で終わった。
その夜。
「おいガキ、最初本気を出してなかっただろ。」
「え?な、なんのことですか?」
「ずっと、本気を出していなかったですよね。」
「ずっと?どういうことだ?」
ラファエルは気づいていなかった。
アランは最初から最後まで、魔力に制限をつけていた。
「えっと、な、なんのことですか?」
「そうだね、ラファエルは舐められていたね。あれは、見ていて面白かったよ。」
「まったく、最後まで困った弟子だな。」
ラファエルは呆れていた。
「すみません...」
「まあ、明日は大変だからちゃんと寝とけよ。」
「え?大変ってどういうことですか?」
「そうだね。明日は魔王討伐だからね。」
「ん?」
アランの思考は停止した。
「もしかして、言ってなかったのか?」
「あ、言い忘れてた。」
「お前、やったな。」
「やっちゃった。」
「魔王討伐?どういうことですか?」
「実は、魔王を討伐したってのは嘘だ。俺らは魔王を殺しそびれたんだ。だから、封印をしたんだ。だが、それも明日で解けてしまう。だから、今度こそ魔王を討伐するために弟子をとったんだ。」
「なんで、十年も黙ってきたんですか!」
「てっきり、伝えていたと思っていたんだが、忘れてたわ。ごめん、ごめん。」
「ラファエル様?なぜ忘れていたのですが?」
ビクトリアはかなり怒っていた。
「す、すまん...まあ、それでだな、明日は魔王討伐をするから早く寝るんだな。」
「わかりました。」
次の日。
「なんで、遺跡に来るんですか?魔王を殺すんじゃなかったんですか?」
「ああ、だから来たんだ。もう聞いてるんだろう?クソ野郎。」
ラファエルがそう言うと物陰から一人の少女が出てきた。
「なんだクソジジイ。命日に敵の顔を見に来るとはなんとも皮肉じゃのう。」
「アリシア!」
そこにはピンクの髪の少女、アリシアがいた。
「え、待って、魔王ってもしかして...」
「妾じゃな。」
「おいクソ野郎、なんで俺の弟子を知っているんだ?」
「なんでって、妾はアランの先生であり友人だが。」
「おいガキ、このクソ野郎に何を吹き込まれた!」
ラファエルはかなり怒っていた。
「吹き込まれた?魔力の操作と魔術を教わっただけですけど。」
「今日は妾を倒しに来たのだろう?ならもし妾に勝利したら、妾はアランの使い魔になろう。だが、もし妾が勝ったら、妾はアランを好きにして良い、後は、妾とアランの一騎打ちであることだ。良いな?」
「そんなの良いわけ...」
「わかった。良いよ。」
「はぁ?なに、勝手に引き受けてんだよ!」
「ラファエル、アラン君はこれまでたくさんの努力をしてきた。だから、託そう、私達の未来を。」
「私も同感です。まず、アラン様は負けないでしょう。」
「そうだな。」
「そうか。じゃあ、行くぞ。」
アランとアリシアは遺跡の決闘場に着いた。
「ではこれから、魔王アリシア対彗星の魔法使いアランとの決闘を始める。用意、はじめ!」
合図がした瞬間、アランは一瞬で距離を詰め、アリシアを吹き飛ばした。
「さすがは妾が見込んだ逸材だ。」
だがアリシアはすぐに立ち上がり、黒炎を放った。
「なにこれ!?威力が桁違いなんだけど!?」
アランの言う通り、黒炎の威力は桁違いであった。
「それは妾が闇の子だからじゃ。ほら、さっさとしないと焼かれてしまうぞ。」
だが、アランは動じずに詠唱を始めた。
「空間破滅。」
すると、黒炎は一瞬で姿を消した。
「空間ごと消したのか。面白いが、なぜ妾に使わない。もしや、射程が短いのだろう?」
「げっ、気づくのが早いな。まあ良いや。隙は作れたし。」
すると、アリシアは螺旋で動きが封じられた。
「あれは、まさか...」
「あいつ、なんで魔王の魔術が使えるんだよ。」
だが、アリシアは黒炎で螺旋を焼き切った。
「そんなもので妾は止められないぞ。」
すると、アリシアは黒炎を矢にして飛ばしてきた。
「魔力操作はクソ野郎のほうが上だな。だが、アランには神術があるからな。」
アランが詠唱を始めると、至るところに核心ができた。
「核心の貫き。」
決闘場の至るところから核心が伸び、アリシアの攻撃を防御した。
「さすがにそれをやられると、何をしても守られるな。」
アランは攻撃を防御すると、そのままアリシアに攻撃した。
「攻撃もできるのか、面白いな。妾も神術を使おうか。」
すると、床が黒い水たまりのようになった。
「深淵の黒水。」
アリシアが詠唱すると、アランの攻撃は黒水から出てきたかべによって 全て防がれてしまった。
だが、アランは攻撃をやめず、打ち続けた。
すると、黒水がさばききれずに少しずつであるが、アリシアに攻撃が通った。
「まずいな、妾でもこの量はさばききれないか。だったら、あれを使うか。」
すると、黒水がなくなったが、同時にアランの攻撃も止んだ。
「あれは、対魔力の結界!」
クラークはアリシアの作った結界を一瞬で見抜いた。
「つまり肉弾戦ってことか。」
アランがそう言うと手にはセシルを持ち、アリシアに突撃した。
アリシアは結界を維持するのにも意識を割いているので少し反応が遅れた。
「その結界の維持にはかなり大変でしょ?」
アランが笑顔で言うと、アリシアは舌打ちした。
「お前、この結界を知っているな?」
「当たり前でしょ。そりゃ僕だから。」
そう言うと、アランはアリシアを吹き飛ばした。
アリシアが立ち上がると弓を構える動作をした。
アランも弓を構える動作もした。
「深海の黒炎。」
「破滅の黒炎。」
二つの矢はぶつかり合い、衝撃波を生み出した。
「あれは、アラン君が競り勝ちますね。」
クラークの言う通り、アランが競り勝ち、アリシアを吹き飛ばした。
「最終手段を使うか。」
すると、アリシアは詠唱を始めた。
「漆黒の竜。」
すると、黒炎が竜の形になり、アランに向かって行った。
だが、アランはかなり余裕そうだった。
「鏡返し。」
アランの鏡返しは見事に決まり、アリシアの作った漆黒の竜はアリシアを吹き飛ばした。
「これは、アラン君の完封ですね。」
「そうですね。でも、やはりアラン様は本気を出さない。」
「どういうことだ?」
「ネックレスを見てください。魔力に制限をかけています。今まで、最低限魔王に勝てるようにしか魔力を使っていませんでした。」
「まじか...」
「妾の負けじゃ。アランの使い魔になろう。」
「使い魔になるって行っても、どうするの?」
「それは私が教えましょう。」
クラークが近づいてきた。
「まず、使い魔の契約には特殊な魔術を使います。これは古代魔法の一種です。これは、アラン君と魔王の命をつなげるものなので、かなり危険です。それでもやりますか?」
「はい、やります。アリシアはたしかに魔王だけど、優しいし、旅をするのに必要だから。」
「旅をしたいのか?」
「うん、一緒に行こうよ、旅に!」
「良いぞ、妾も人間の街を見てみたいのう。」
すると、後ろから、とんでもない怒りのオーラが出ていた。
「アラン様?私も連れていきますよね?」
「え!?ビクトリアは屋敷に居るんじゃないの?」
「私は、アラン様についていきますよ。」
「そうだったんだ。まあ、良いよ。」
「おい、ガキ、さっさと契約を終わらせろ。話がある。」
ラファエルも怒っていた。
「わ、わかりました...」
「そしたら、始めるよ。契約の儀式を。」
クラークが魔術式を作り出すと、アランとアリシアは光りだした。
「めっちゃ魔力を吸われるんだけど。」
「そうですね、もう少し耐えてください。」
アランとアリシアは更に光りました。
その時、光が爆発し、皆は吹き飛ばされてしまった。
「何が起きた!?」
そこにはアランがいた。
「大丈夫だな。契約は成功じゃ。」
「本当!?じゃあ、屋敷に戻ろう!」




