「三人とも、掃除は誰がやるのですか?」
「ブライトクレギン!」
「グレイシスアルクス!」
ブライトクレギンは、光の上級魔術であり、光の矢を放つ魔術だ。
グレイシスアルクスは氷の魔術であり、氷の矢を作りだす。これはクラークが独自に作り上げた魔術だ。威力は上級魔術と古代魔法の間に位置する。
二つの矢は混ざり合い、一つの矢になり、アランに向けて勢いよく放たれた。
だが、アランは動じることなく、詠唱を始めた。
「黒陰恒陽、陰。」
アランが右手を矢に向けると、そこから術式が現れ、黒い球体が現れた。
ラファエルとクラークが放った矢がその黒い球体に吸い込まれていった。
「何が起きたんだ?」
「わからない。多分あれも、アランくんの神の力でしょう。」
すると、アランがもう一度詠唱をした。
「黒陰恒陽、陽。」
すると、二人の矢を吸い込んだ黒い球体が形を変え、光の球体と代わり、ラファエルとクラークのもとへ放たれた。
二人は反応はできたが、防御結界を張るほどの余裕はなく、避けることで精一杯だった。
光の球体が着弾したところは、屋敷の近くの森であった。
森は消し炭になり、地形そのものが破壊されていた。
「嘘だろ。森が跡形もなく消し飛んでる。」
「あれはどういう原理なんでしょうね。」
そんな話をしていると、アランが光の槍を使って攻撃してきた、
だが、それは一つの炎の壁によって遮られた。
「そこまでです。」
そこにはビクトリアがいた。
「ビクトリアは少し黙ってろ。今、良いところなんだから。」
「三人とも、誰が掃除すると思ってるんですか?」
ビクトリアが言うと、3人の周りは穴だらけで、おまけに森は消し炭になっていた。
「あ、えーと...」
「まさか、私に押し付けるわけ無いでしょうね?」
ビクトリアの後ろには、火の球が3つほど飛んでいた。
「お、おいビクトリアくん、そ、その危ない火の球はしまえたまえ。」
ビクトリアの後ろに飛んでいた火の球は、古代魔法のメテオスマッシュであった。
「では、3人とも”きれい”に掃除をお願いしますね?」
「はい...」
(すごい...あの師匠が言いくるめられてる。やっぱ、ビクトリアに逆らっちゃだめだ。)
こうして、決闘の幕は閉じた。
勝敗:なし
その後、三人は掃除をした。
「なんで、僕までやらないといけないんですか?」
「お前が一番破壊しただろう。あの森を見てみろ。」
アランは見渡したが何もなかった。
「森なんてないですけど。」
「お前が壊したんだよ。どうしてくれるんだよ。森を作るのに大量のポーションが必要なんだぞ。」
「そうですよ。私の持っているポーションでも全然足りないぞ。これは、ポーション作りに協力してもらわないとね。」
「わかりました...」
その夜。
「セシル、どうやって術式を治すの?」
「術式は俺様が考えたから、後はお前が術式を組み込め。」
「え?術式の組み込め方なんて知らないよ?てか、そんな技術あるの?」
「ん?もしかして、物に術式を組みこむ方法を知らないのか?」
「うん。」
現代社会では、セシルのいた時代のように、物に術式を組み込む技術は失われていた。
「そうか。それは困ったな。じゃあ、今からやり方を教えるから、やってみろ。」
「わかった。」
数時間後。
「まだか?」
「待って、後もう少しだから。」
「もうすぐ日付が変わるぞ。」
「え!?早くしないと。」
それから、アランはロロローブの修復を終えた。
* * *
ここは、キファンディア大陸の東部、魔王軍領アルクス城。
「魔王様、レシムが死にました。」
「そうか。」
そこには、ピンクの髪で角が2本生えている少女と、髪が紫でかなり大柄な男がいた。
「レシムはかなり慎重なやつです。油断したとは思えないです。」
「使い魔で様子は見たか?」
「はい。一部始終を見ていましたが、一人の魔術師によって殺されたようです。」
「一人...上位魔族を一人でか。」
「その魔術師は圧倒的でした。レシムは3秒でやられました。」
少女は少し驚いていた。
「3秒...その魔術師の名は?」
「彗星の魔術師と名乗っていました。ですが、私の部下に調べさせましたがそのような名前の者は知らないと。」
「偽名かなにかか。まあよい。少し時間をおいて、次は軍を動かす。良いな?」
「軍をですか?それは、幹部に反対されるのでは?」
「それが先代魔王復活のためでもか?」
男は少し驚いていた。
「もしかして、そういうことですか?」
「ああ。楽しみにしておけ。では引き続き頼むぞ。」
「はい、魔王様。」
男は去っていった。
「待っていてください、お姉様。」
* * *
あの日から二年の月日がたった。
「師匠!古代魔法、すべてできましたよ!」
アランは、精神世界も使い、古代魔法を全て習得した。
「そうか。残りの3年はどうするかな。」
「冒険者ギルドに行くのはどうでしょう。」
ビクトリアが提案してきた。
「冒険者ギルドか。確かに、最近ギルドマスターが変わったらしいから挨拶がてら、行ってみるか。」
「冒険者ギルドですか?僕、冒険者になるんですか?」
「まあ、そんなもんだ。そしたら、今日はロロローブを着て行け。お前の顔を冒険者に見られたら、俺もお前も困るからな。」
「そうなんですか?わかりました。とりあえず、支度してきます。ビクトリア行くの?」
「はい。私も挨拶をしないといけないので。」
アランたち三人は支度を整え、冒険者ギルドに向かった。
「師匠、これバレないですか?」
「大丈夫だろう。ビクトリアの幻影魔術で隠しているから大丈夫だ。」
アランたち三人は飛行魔術を使っていた。
「そうなんですか?じゃあ、もう少しスピードを上げても...」
「駄目です。スピードを上げるとソニックブームが起きるではないですか。流石に防音結界はめんどくさいのでやめてください。」
「めんどくさいってことは、できないことはないんだ。」
「そうですけど、だめです。」
三人が話していると、ギルドについた。
「ほら、話している間に着いたぞ。」
アランたちが着地し、ギルドに入るとたくさんの冒険者がいた。
アランは顔を隠し、ラファエルについて行った。
「こんにちは、ラファエル様。今日はどのようなご要件で?」
受付嬢はラファエルのことを知っているようだった。
「今日は新しいギルドマスターに挨拶と、こいつにギルドカードを。」
「承知いたしました。では、奥の部屋にご案内いたします。」
三人は奥の部屋に案内された。
「もうフードを取って良いぞ。」
「わかりました。ギルドカードってなんですか?」
「ギルドカードは身分証明書みたいなもんだ。必要な時は、ギルドの依頼を受けるときと、国境を通るときだ。ギルドカードは、行商人や戦士、魔術師も持っている。この国の宮廷魔術師でも持っているだろう。」
「そんなにギルドカードは普及しているんですね。」
「ああ。冒険者ギルドはどの国にもあるからな。」
そう言っていると、一つの部屋に案内された。
「ギルドマスター、ラファエル様が来られました。」
「そうか。通してくれ。」
アランたちは部屋の中に入った。
そこには一人の男が立っていた。
アランがその男と目を合わせた瞬間、男の持っていた紅茶のカップが落ち割れてしまった。
「エドワード様!」




