「夜まで服選び。そして、再会」
「じゃあ行こうか!」
アランとビクトリアは服屋に来た。
「あらビクトリアちゃん!いらっしゃい!」
そこにいたのはスキンヘッドで筋肉質な男だった。ラファエルやビクトリアよりも身長が高いだろう。
「こんにちは、フランシスさん。」
「あら、そちらはラファエルちゃんのお弟子さんかしら。良い顔をしているわね。」
アランは驚いていた。
「あ、アランと申します。あ、あのぶしつけながら、性別を聞いても?」
「そうよね。そりゃ、そうなるわよね。一様私、女なの。よく見間違える人いるのよ。何ならあれがないか触ってみる?」
「フランシスさん?子供の教育によろしくないことはお控えください。」
ビクトリアの手には炎の剣が握られていた。
「そ、そうよね。今日はその子の服を?」
「はい。アラン様の外出用の服を。」
すると、フランシスは嬉しそうに服を探し出した。
「アランちゃんはあんまり服に興味なさそうだから、私とビクトリアちゃんで選んでも良いかしら?」
「はい!お願いします!」
1時間後。
「うーん、これも良いけどこっちも良いわね。ビクトリアちゃんはどう思う?」
「そうですね。アラン様はかなりの美貌の持ち主ですが、イケメン顔というより、可愛い顔ですよね。」
「そうよね。アランちゃんは末っ子顔だから、それをどう活かすかよね。」
フランシスとビクトリアは早口になっていた。
「あ、あの、まだ決まりませんか?」
「もうちょっとまっててね。もう少し待っててね。」
5時間後...
「よし!これで決まりね。」
「はい!これは最高傑作ですね!」
「お、終わりましたか?」
すると、フランシスが鏡を持ってきた。
「どう?私達が考えた最高傑作よ!」
「すごい!なんかすごい!」
アランの語彙力はかなり終わっていた。
「ではこの服でお願いします。お代はこれで。」
「はい、ありがとうね!また、来てね!」
アランとビクトリアが外に出ると、すっかり夜になっていた。
「もうこんな時間ですか。少し服選びに時間がかかってしまいましたね。」
「あはは...そうですね...」
(今日の八割が服選びで終わっちゃったな...)
「アラン様、楽しみはこれからですよ。今日は夜まで楽しみましょう!」
「え、良いの!?やったー!」
すると、アランのお腹がなった。
「お腹がすきましたね。屋台でなにか買ってきます。少し待っていてください。」
ビクトリアは屋台に食べ物を買いに行った。
「ここに来てよかったな。すごく楽しいし。」
「そうなの?」
そこには、金髪の少女がいた。
「君、アランでしょ。」
「え?」
(なんで、僕の名前を?てか、どこかであったような...)
「私はレベッカよ。ほら、三年前にマリアの屋敷で会ったじゃない。」
(あの子か!でも、ここで見つかったらお姉ちゃんにバレることになる。それだけはどうにかしてさけないと。)
「君はレベッカって言うの?僕はアラン、はじめまして。」
「あれ?人違いだったかな。まあ良いや。君はここで何してるの?」
レベッカの目はなにか遠くの方を見ているようだった。
「今日は久しぶりの休みだから、街に来たんだよ。」
「そう。それにしてはこの街に初めて来ましたって感じだけど?」
(なんでこんなに勘が良いんだよ。僕そんなにわかりやすい顔してるかな?)
「え、えっと、いつもは家に引きこもってるから、あんまり街に出ないんだ。」
「そうなんだ。」
レベッカと話していると、ビクトリアがご飯を持ってこちらに向かって来ていた。
「メイドと一緒に来ているのね。じゃあ、私はこれで。じゃあね、エドワード。」
その時、アランはレベッカの手を掴んだ。
「もう少し話そう。」
そこにビクトリアがやってきた。
「アラン様、そちらの方は?」
アランの目つきはビクトリアの知っている目だった。
(アラン様!その目は!その目は子供がしてはいけない目です!それは...)
「迷子になったんだって。少し待ってて。すぐに終わらせるから。」
「アラン様!」
「大丈夫。安心して。」
アランとレベッカは歩き始めた。
「どうして僕がウォード家の人間だと?」
「あなたの顔はマリアに散々見せられたから。」
(あんのお姉ちゃんは!何勝手に僕の顔を晒してるの!)
「そう。それで、僕をどうするつもり?」
「そうね。このままだと、お父様やマリアに報告するわ。でも、もし私になにかしてくれるんだったら少し考えても良いわよ。」
「ターナー家の人間か。」
「そうよ。私は、ドルディンク公爵令嬢、レベッカ・フォン・ターナーよ。」
ドルディンク公爵はウォード家と同じ公爵である。ドルディンク公爵はこの国で一番財力がある。ドルディンク公爵はターナー商会を運営しており、この国の店の9割以上はターナー商会と取引している。
「そうですね。ターナー商会の次期商会長としてふさわしいほどの才能を持っているようで。」
「そんなに堅苦しくならないで。あなたも才能があるでしょう?」
レベッカが少し煽るとアランの顔が怖くなった。
「それは皮肉かい?僕はウォード家から逃げ出した弱者だ。そんな奴に何をしてもらいたいんだ?」
「そうね。空でも飛べたら言わないでおいてあげるわ。」
(これで、マリアも一安心かしら。やっと、マリアの悲しい顔を見ないで済む。)
「わかった。」
アランレベッカを人気のないところに連れて行った。
「ちょ、ちょっとどこ行くの?」
「ここで良いか。ほら行くよ。」
そう言うと、レベッカを抱きしめた。
「え、ちょ、いきなり何して、」
その瞬間アランはレベッカを抱きながら空を飛んだ。
「ちょ、ちょっとアランまだ心の準備がって、空飛んでる!あなたって、魔術の才能がなかったんじゃないの!?」
「それはエドワード・フォン・ウォードだ。僕の名前はアラン、魔法使いだ。」
アランは今出せる最高質力で飛行した。そのため、ソニックブームが起きてしまった。
「なにこれ!?なんの音!?」
「これはソニックブームって言って、音速を超えると起きるんだ。」
「音速を超える!?嘘でしょ...あなた何者?」
レベッカが聞くとアランは答えた。
「彗星の魔法使い。」
「な、なにそれ。カッコつけたつもり?」
「さあね。ほら、屋敷についたよ。じゃあ約束は守ってもらうよ。もし、守らなかったらどうなるかわかるよね?」
「わ、わかったわ。約束は守る。絶対に言わない。じゃあまたいつか。」
そう言ってレベッカは屋敷に戻っていった。
「よし。じゃあ戻るか。」
アランはまた爆音を立てながら街に戻っていった。
「アランね。待ってなさい。将来、絶対に見つけてやる。待ってなさい、私の初恋!」
レベッカの顔は少し赤くなっていた。
すると、ソニックブームを聞いて屋敷から衛兵たちが出てきた。
「レベッカお嬢様!何処に行かれていたのですか!ヘンリー様がお怒りですよ!」
(うげ、まじか。お父様にはなんと言い訳しようかしら。)
「そう。お父様には、少し散歩をしていたと伝えといて。」
「で、ですが...」
「これは命令よ。わかったらさっさと行きなさい。」
「何が命令だ?」
そこには一人の男が立っていた。レベッカと同じ金髪だ。
「げっ、お父様、どうかされましたか?」
「それはこっちのセリフだな。どこに行っていたんだ?マリアも探していたぞ。」
レベッカの父、ヘンリーはかなり怒っていた。
「さ、散歩よ。少し歩いてただけだから。」
「じゃあ今日の夜ご飯は抜きだな。」
すると、レベッカが泣きだした。
「そ、それだけはご勘弁を!少し、街に出ていただけなんです!それ以外は何も!」
「本当かね?他に隠していることは?」
(まずい。お父様にアランのことがバレたら、それこそまずい。私の初恋が!)
「いえ、ありません。」
「そうか、ではマリアも待っている。夕食を食べるぞ!」
ヘンリーは人が変わったように話しだした。
(良かった!お父様の機嫌が治った!これで一安心ね。)
* * *
その頃アランは、ビクトリアに叱られていた。
「あの爆音はアラン様ですよね。」
「はい...」
「アラン様はあの女の子を連れて空を飛び、音速を超える飛行をしたと。」
「はい...」
ビクトリアの声はアランの会ってきたどの人よりも怖かった。
「そうですか。これは少し、しつけが足りないようですね。」
「え!?嘘でしょ!?」
「明日から休暇の間は、自分でご飯を作ってください。良いですね?」
「そ、それだけは!」
「わかりましたか?」
ビクトリアの右手には炎の球体が作られていた。
「じゃ、じゃあ、ビクトリアも手伝って!最初から一人はできないから、徐々にね!徐々に!」
「わかりました。では、明日は朝5時に起きてください。良いですね?」
「終わった。修行がある日より早いって無理...」
ビクトリアは邪悪に笑った。
「大丈夫ですよ。起きなかったら、部屋ごと吹き飛ばすだけですから。」
(どうしよう。明日で僕の人生終わりじゃん。)
「じゃあ、今日は夜まで楽しみましょうね!さっき買った串焼きです。お一つどうぞ。」
「わぁ!美味しそう!ありがとう!」
それから、アランとビクトリアは夜中まで街を歩き回った。




