「至高のスタッフは意外とすごい」
アランはセシルを手に入れ、ラファエルに剣術を教わっていた。
「まず、お前は剣術に流派があるのは知っているな。」
「はい。僕が家出するときに教わったのは名前はわかりませんが、近衛騎士団で使っているものです。」
「そうか。じゃあ、見せてみろ。」
アランは、セシルを持つとデイビットに教わったように素振りをした。
「それは、攻王流だ。それは、主に騎士などが使うものだ。他に使われている流派だと、守君流や反打流、あと盗賊や暗殺に向いてるのは、静水流とかだろう。」
守君流は、主に護衛をしている者が使う流派だ。これは、護衛対象を守るために特化している流派で、攻王流などの攻撃型のように攻撃に向いている流派ではない。
反打流は、相手の攻撃を源にして自分の攻撃にする。いわばカウンターアタックみたいなものだ。
静水流は、相手と剣を交えても音が出ないように剣を受け流すようにする流派だ。
一般的には、攻王流が使われているが、王族を守る親衛隊などは守君流を使う。
反打流は、まず扱いが難しく、極めた者でも相手の攻撃が強すぎると反撃が難しくなる。だから、一般的には広がっていない。一部の曲者たちが使う流派だ。
静水流は、盗賊ギルドが持っている育成機関などで教えられており、影で暗躍する者たちからは重宝されている。
「まあ、俺はどの流派とも違う。俺は、自分で編み出したからな。名づけるなら”覇流”だな。覇流は、無駄な動きを全て無くし、使えるものはすべて使う。そんな流派だ。一度手合わせをしたほうが、イメージしやすいだろう。」
「手合わせですか?でも、僕はセシルを使うんですよね。大丈夫ですか?」
「使用者が未熟だから、やられたりするわけないだろう。剣が折れたら意味がないから、神器を使うが寸止めするから大丈夫だ。だから、さっさとかかってこいよ。」
「わかりました。では行きます!」
アランは、セシルを持ってラファエルの目の前に飛び込んだ。
「身体能力は高いが、考えが単純だな。」
そう言って、アランを軽々とかわし、アランに一発蹴りを入れた。
「そんなんで、僕は倒せませんよ!」
アランはスタッフでラファエルを吹き飛ばそうとしたが、ラファエルはそれを剣で受け流し、逆に反撃を入れられた。
(とっさにセシルで防いだが、今のは結構痛かったな。本当に無駄がない。まるで、攻撃が川のように流れてるみたいにつながってる。)
「そんなもんか?なら、こっちから行くぞ!」
ラファエルはアランの目の前に現れ剣を横から切るようにした。
(来る!)
アランがセシルで剣を防ごうとすると、アランが後ろに吹き飛ばされた。
(なに!?剣はダミーで、セシルで防ごうとした瞬間蹴りを入れた?デイビットさんのとはまるで違う。デイビットさんのは強く気品がある。でも師匠の剣は、人を殺すのに特化した剣だ。無駄がなく合理的だ。)
「おいおい。期待外れじゃないか。もう少しは戦えるだろう。」
「もちろんです。ここでやられたら、意味がありませんからね!」
アランはもう一度飛び込んだ。
(単純すぎる。このガキは、わかりやすすぎる。もう少し厳しくしないといけ...)
アランがセシルを右から振る素振りをした瞬間、攻撃は左から来た。
(なに!?身長が小さいから、屈んでセシルを回しただと!?俺の攻撃から学んでいるのか?)
「少しはやるじゃないか。でも、まだ甘い!」
ラファエルは、アランに特攻を仕掛けると思わせ、剣から手を離した。
「え?」
アランが一瞬驚き、隙を見せた瞬間、ラファエルは剣の下を滑り込みながらアランの懐に入り、両足で腹を蹴り上げ、そのまま立ち上がりながら離した剣を手に取った。
「今日はこれで終了だ。まあ、30点といったとこか。相手の攻撃から学び、体全体で攻撃を作ったのは評価してやろう。だが、まだ甘すぎる。攻撃は一つの流れのようなものだ。一回だけの攻撃ではなく、連続して相手に致命傷を入れないといけない。まあ、お前はいずれ棒術を修行することになるから、俺の覇流はその途中にあるものとして使うんだな。」
「はい!頑張ります!」
「まあ、小僧にしては頑張ったんじゃねえか?今回、俺様は口を出してないが、俺様のことをちゃんと使えていたしな。もっと使えこなせるようなると、俺様は本領を発揮できるぜ。」
1ヶ月後。
「遅い!一回の攻撃ではなく、連続の攻撃だ。お前は二撃目までつながっていない。剣術は、次の次の一手まで考えないといけない。わかったか!」
「は、はい!」
「お二人とも、お茶が入りましたよ。少し休憩してください。」
「良いぞ。少し休憩といこう。」
二人は、庭にある椅子に座り、ビクトリアの入れた紅茶を飲んだ。
「アラン様、至高のスタッフには慣れましたか?」
「うーん、なんというか少し軽すぎるというか、なんというか。」
「まあ、軽すぎても良くないからな。おい、セシルよ、どうにかできないのか?」
「ん?なんだ、俺様に命令か。小僧ではなく、貴様に言われるとはな。まあでも良い。これで材料は揃った。」
「材料って?」
「小僧が1ヶ月間俺様を使っている時、小僧の体を調べた。今から、小僧に合うように重量を調整する。長さは、小僧の体に合わせるために少し短くするぞ。」
すると、セシルは少し短くなった。
「小僧、持ってみろ。」
アランがセシルを手にすると、少し重くなっていた。
「すごい!これなら、使いやすい!」
アランが一振すると、ラファエルが少し驚いた口調で言った。
「今までの修行より、遥かに振りが早い。セシルは使用者に合わせることができるのか?」
「当たり前だ。俺様を誰だと思ってる。俺様は世界最強だぞ。これぐらいできて当たり前だ。」
「では、修行の続きといこう。もう一度言うが、攻撃を一つの流れのようにするのだ。わかったな?」
「はい!」
それから、アランは魔術と魔法と並行して剣術の修行をした。
半年後。
アランが至高のスタッフを手に入れてから約半年が経った。
「魔法も上達してきたな。次の段階に移るぞ。次は、魔法を攻撃にするんだ。こんな感じで。」
ラファエルが水の球を作ると、水は矢のように飛んでいき、おいてあった的が粉々になった。
「今までは、イメージしたものを作り出すだけだったが、こっからはそれを動かす練習だ。今の感じでやってみろ。」
「はい!」
(イメージしたものを動かす!)
アランは水の球を作り出すことには成功したが、動かすことはできずに、その場に水は落ちてしまった。
「あれ?ちゃんとイメージしたんだけどな。」
「もう一度やってみろ。」
アランがもう一度水の球を作るが、またしても飛んでいかない。
「なんで?」
「お前は水を飛ばすときにどんなイメージをしてる?」
「えっと、水が的を貫くように飛んでいく感じです。」
「お前は、水が矢の変わるになると思っているのか?」
「え?」
「水は所詮、水。水が人を貫くイメージはしにくい。だから考え方を変えるんだ。これは水だが水と思わない。そうすれば、飛んでいくはずだ。」
「そういうことか!」
(水の球を、矢と考えれば良いんだ。魔法はイメージ。水を矢とイメージするんだ。これなら...)
アランが水の球を作ると、水の球は的に飛んでいった。
「できた!」
「そうだ。魔法はイメージの連続だ。まずは水をイメージし、その水を矢にイメージする。そうすれば、水は飛んでいく。わかったな?」
「はい!」
その夜...
「やあ、アリシア。」
「今日もちゃんと来たか。さっそく始めるぞ。」
「うん!」
アランはそう言うと、指先から糸を出した。
「糸はだいぶ長くなったな。これ以上長くするなら、魔力を流し込んで強くするんだが、今のお前では魔力を暴走させて、糸が切れるだろう。もっと、魔力操作を上達させないぞ。」
「そしたら、どうすれば良い?」
「そうだな、そしたら糸で服を作れ。」
「え?」
「服を作るのには、繊細な作業が必要だ。少しでも間違えると、魔力が暴走して糸が切れる。じゃあ、頑張れよ。」
「え?アリシアはどこに行くの?」
「妾は、お前が持ってきた酒でも飲んで待っておる。ほら、さっさと始めないと夜明けまで終わらないぞ。」
そこから、アランはひたすら魔力の糸で服を作ろうとした。
「あれ?また失敗した!なんでだろう?」
「おぬしは、少し雑じゃ。もう少し丁寧にやれ。」
「わかった。」
アランが服を作り始めて5時間後...
「や、やっとできた!」
「まあ、30点ぐらいか。これを毎日やるぞ。」
「ま、毎日!?」
「当たり前だ。おぬしは、強くなりたくないのか?」
「うーん、いきなり修行をさせられてる節もあるから、ちょっとね。」
「じゃあ、一つ聞く。お前の夢は何だ?」




