「山脈」
その瞬間、ラファエルの作った炎の球が跳ね返され、ラファエルのもとに戻っていった。
「なんでこっちに来るんだ?まさか術者に返す魔術か!?」
炎の球はラファエルに向かって行き、ラファエルを吹き飛ばした。
ラファエルは壁にめり込んだが、なんとか立ち上がった。
「このバカ弟子。やっと目が覚めたか。」
ラファエルが聞くと、アランから魔力のオーラは出ていなかった。
「2分間経ちました?なんか聞けましたか?」
アランが聞くと、クラークは苦笑いをした。
「本当に君は何も覚えてないんだね。僕の仮説は正しかったようだね。」
「なにかわかったんですか?教えてください!」
アランがそう言うと、ビクトリアが止めた。
「アラン様。少し、待っていてください。お二人とも、こちらに。」
ビクトリアが二人を集めると、三人で話しだした。
「アラン様にこのことを伝えるのは危険だと思います。アラン様は自分で思ってるより、ポンコツです。そのうち、口が滑って他者にもらしてしまうかもしれません。」
「そうだな。あのガキには教えないほうが良いかもしれないな。」
「そうですね。これは前代未聞なので、私の方で、もう少し古い文献を調べてみたいと思います。」
三人が話していると、アランが寄ってきた。
「三人とも何話してるんですか?僕にも教えてくださいよ!三人だけずるい!」
アランが少し怒った口調で話すと、クラークは笑顔で答えた。
「実はあまり情報がわからなかったんだ。だから、もう少し私の方で調べてみるから、また今度わかったら、教えるよ。」
「約束ですよ!僕のことなんですから、一番自分が知りたいんです。」
アランたちが話していると、物陰からかすかに聞こえた。
「今日は良いものが見れた。今度、妾も戦ってみたいのう。」
「師匠、なんか聞こえませんでした?」
「気のせいだろ。どうせ神の力を使った副作用だろ。」
「では皆様。屋敷に戻りましょう。」
4人は遺跡から屋敷に戻った。
「では、私はやることができたのでこれで失礼するよ。アランくんは神の力に耐えれるように修行を頑張ってね。また来るから、今度は魔術戦をしようね。楽しみにしてるよ。」
「はい!アランさんに追いつけるよう頑張ります!」
クラークは、その日のうちに帰っていった。
「あいつも帰ったことだし、今日は休んで良いぞ。」
「良いんですか!?じゃあ、ビクトリアと一緒に掃除してきますね!」
「え?私もですか!?アラン様ちょっと待ってくださいよー!」
「え?だめ?」
アランがビクトリアに涙目で言った。
「はぁ。わかりました。それは反則じゃないですか。なんで、いつでも涙目になれるんですか。」
「そりゃ練習したからね!じゃあ行こう!」
二人はこのあと、二時間掃除をした。
* * *
1ヶ月後...
「少しは、魔術が使えるようになってきたな。まずは、初級魔術を完璧にしろ。基礎を固めれば、上級魔術や古代魔法も簡単に覚えられる。魔法も、魔力操作を上達させれば良い。あとは、基礎体力をひたすら上げるぞ。今までのは、入門みたいなものだからな。これから気合を入れていくぞ。」
「うそ、でしょ、あれが入門?近衛騎士団よりきつかったのに、これよりきつくなるんですか!?」
「当たり前だ。こっから、残り10年厳しく行くぞ。」
「10年?どういうことですか?」
「あと10年で何が起こるかわかるか?」
「あ!魔王討伐千年じゃないですか。でも、それがどうしたんですか?」
アランが聞くと、ラファエルの顔が少し暗くなった。
「魔王を倒したときに、寿命が決まったって言ったよな。魔王を倒して寿命が残り千年になっちまたんだ。だから、残りの十年はお前をきっちりしばくから覚悟しとけよ。」
「わかりました!師匠が後悔のないよう頑張ります!」
「ほう、言ったな。じゃあ、これからやるつもりの修行を改善しないとな。」
「え?」
すると、ラファエルは邪悪な顔をした。
「これからは死ぬ気でやれよ。」
「が、がんばります...」
ここから地獄が始まった。
「今日は何するんですか?」
「ここは山脈だろう。この山脈を一周してこい。制限時間は日没までだ。」
「は?」
「簡単だろ?たった一周だ。ビクトリアがついてくから魔物に遭遇しても大丈夫だ。」
「はい。私がお供するので、大丈夫ですよ。」
こうして、山脈一周が始まった。
1時間後...
「はぁ、はぁ、なんでビクトリアは余裕なの?」
「私も、ラファエル様にしごかれましたから。」
「あはは...そうだ、今山脈のどのくらいですか?」
「今は、10分の1ぐらいですね。この調子なら日没に間に合いますね。」
「そうですか...」
あれから2時間後...
「もう無理、動けない...」
「まだ、10分の3ぐらいですよ。頑張ってください!」
「なんで、そんな余裕なの。いくらなんでもおかしいでしょ...」
「体力には自信がありますから!」
そう言って、ビクトリアは胸を張った。
「そうすか...残りの距離が半分になったら教えて。そこで休憩しよう。」
「わかりました。」
そのまた2時間後...
「アラン様。ちょうどここが半分です。休憩しますか?」
「うん、休憩しよう。ビクトリア、ご飯ある?」
「はい。ちゃんと持ってきてますよ。」
ビクトリアは、手を広げると弁当箱が出てきた。
「え?どっから出てきたの?」
「これは収納魔術です。魔力が多い人ほど、たくさん物を入れれますよ。」
「へー、じゃあ僕にも教えて!」
そうして、収納魔術の練習が始まった。
「まずは、魔術式ですが、こんな感じです。防御結界と同じで、属性魔術とは少し違います。」
「なるほど。これを、こうして、こうすれば!」
そうすると、アランの持っていた弁当箱が空間に消えた。
「お!できた。これ、すごい便利だね。でも、具体的にどのくらい入るの?」
「最初から、詠唱無しってすごいですね。本当に、理解力が異常ですね。それで、私だと物置一つぐらいですかね。アラン様だと、家一個分ぐらいじゃないですか?」
「そんなに!?あ、でもカーチャーがあるから、そんなに入らないんじゃ...」
「私の立てた仮説ですと、収納量は、自分の魔力量そのものに比例するので、制限がかけられていても、大丈夫だと思います。」
「そうなの?ビクトリアはすごいね。魔術もすごいし。体力もすごいし。家事全般できるから、一家に一台ビクトリアがほしいね。」
「それほどでも。では、お弁当を食べましょう。じゃないと、日没までに間に合わないですよ。」
「そうだった!早く食べて、行こう。」
「はい。」
弁当を食べ終わり、2時間がたった。
「あともう少しです。それにしても、魔物が現れませんね。普段なら、うじゃうじゃいるんですけど。」
「そうなの?それも怖いけど、一体もいないのも怖いね。なにか起きるかもしれないから、気をつけよう。」
すると、前を走っていたビクトリアが止まった。
「なにかいます。気をつけてください。」
「わかった。」
ビクトリアとアランが気配を消して近づくと、角の生えた一人の男が立っていた。
「ここらへんの魔物は意外と強かったな。まあ、でも私にかかれば簡単に使役できるがな。それにしても、魔王様はこんなところに何があるのだろうか。魔王様は、先代の魔王様復活のためとはいえ、こんな辺境に行けなんて。左遷じゃないか。」
角の生えた男は、髪は少し青く、体は褐色で、身長がかなり高かった。
「あれは、魔族!アラン様は下がっていてください。見たところ、上位魔族です。すこし、待っていてください。」
すると、ビクトリアは茂みから出ていき魔族の前に出ていった。
「そこの魔族よ、今すぐ降伏するならば見逃してやる。」
「は?なんだお前。俺が誰だか知っているのか?俺はな、魔王様の勅命で来てるんだよ。お前こそ、立場をわきまえるんだな。さあ、皆のものこいつを殺せ。」
魔族が指示すると、周りから魔物がたくさん出てきた。
「なるほど。魔物使役か。でも、そんなもので私を倒せると?」
その瞬間、ビクトリアは収納魔術で剣を出し、一瞬で魔物を真っ二つにした。
「それは、神器か。なかなかやるじゃないか。俺が直々に相手して...」
魔族が言い終わる前にビクトリアは目の前に現れ、手足を切断した。
「あぁ!痛い!痛い!痛い!」
「あなたの目的は何?」
ビクトリアは魔族の首に剣を当てていた。
「わ、わかったから、言うから、その剣をどけてくれ!頼むから!」
「お前が言ってからだ。早く言え。」
「お、俺は、魔王様に頼まれたんだ。先代の魔王様復活のために、ここを調査しろって言われたんだ。それ以外は知らない!ほら、言ったから解放してくれ!」
その瞬間、魔族の首がとんだ。
「ビクトリア、終わった?」
「はい。それにしても、冷静ですね。この惨状を見ても、震え一つないとは。」
「別に、怖くないです。魔族は、人間の敵。話し合いは通じない。だから、ビクトリアは殺しんでしょ?」
ビクトリアは驚いていた。
「すごいです。私のことをお見通しですね。では、もうすぐ日没なので、急ぎましょう。」
「うん!」
(上位魔族を、簡単に殺すなんて、ビクトリアの言う事、ちゃんと聞こう...)
日没前。
「やっと、ついた...」
「頑張りましたね!今日は、たくさん夜ご飯を作りますよ!」
すると、ラファエルが屋敷から出てきた。
「まあ、ボチボチだな。今日は休んで良いぞ。明日は、魔術と魔法の練習だ。」
そう言うと、三人は屋敷に戻っていった。
アランは風呂に入り、夕食を待っていた。
「今日は、少し時間があるから、この前行った遺跡にでも行くか。」
アランは、この前行ったクリシオル帝国の遺跡に入っていった。
「ここに来るのは2度目だけど、すごく広いな。本当に、地下なのかな?」
アランが、遺跡を探索していると、一人の少女が現れた。
「ん?君は誰?ここで何してるの?」
「ほう、おぬしか。妾はここの管理者のようなものだ。おぬしの名は?」
「僕の名前はアラン。君は?」
「アランか、妾の名前はアリシアじゃ。」




