「アランが2人」
「私だ。やあラファエルの弟子よ。私の名前はアラン。よろしくね。」
そこに立っていたのは、ラファエルと同じぐらいの身長で髪色が銀髪。すごく柔らかい声質の持ち主だった。
「アラン?僕と同じ名前?」
アラン(子供)が不思議そうにしていると、アラン(大人)が答えた。
「大賢者アラン・クラークといえばわかるかな?」
「だ、大賢者!?僕の偽名の元ネタの人?」
「そうだ。てか、人を元ネタ呼ばわりするなこのガキ。こいつは俺の友達であり、仲間だ。アランが2人か、じゃあガキはガキで、アランはクラークな。」
「仲間?そっか!大賢者は英雄ラファエルと一緒に魔王を倒したんだっけ。でもこれが、英雄ラファエルね...はは...」
アランが苦笑いするとラファエルが光の槍を作った。
「なんだ、ガキの分際で。」
「す、すみません...」
「まあまあ、ラファエル。子供にそんなことをするんじゃない。それより、この子が弟子で良いよね?この子は神の子だし。」
「え?もしかしてクラークさんもエルフなんですか?」
「そうだよ。ここに来たのは、君について調べてほしいとラファエルに頼まれたからね。」
「クラーク様。立ち話では疲れると思うので、どうぞお座りください。」
ビクトリアが、お茶を乗せたカートを運んできた。
「久しぶりだね、ビクトリア。そうだね。まずはアラン君のことを詳しく聞きたいな。」
* * *
「なるほど。神の力を解放すると、人が変わったようになると。」
「そういうことだ。しかも、こいつの力はやばい。魔王が百体いても勝てないだろう。」
「あ、あの魔王ってそんなに弱いんですか?」
「いや、お前がおかしいんだよ。このクソ弟子が。」
「とりあえず、実際に神の力を見てみたい。カーチャーを外せるか?」
クラークが聞くと、ラファエルが横に首を振った。
「カーチャーを外すとこの世界が滅びるぞ。それでも良いなら外すけど。」
「それは困ったな。まだ、やることはたくさん残ってるし、死にたくはないね。そうだ。時間を決めて、カーチャーを外したら?できるだろう。」
「確かに。それなら、滅びずにすむかもな。じゃあ、10秒な。」
「いや流石に短いよ。5分は欲しい。」
「2分だ。それが限界だ。あとは、場所だが...」
ラフェルとクラークが場所について決めようとしていると、ビクトリアが一つの場所を提案してきた。
「地下の遺跡はどうでしょう。あそこなら、絶対に壊れませんし、天井も高くないので、隕石が来ることもないでしょう。」
「隕石?まあそれは良いとして、この屋敷の地下に迷遺跡なんてあるんですか?」
「お前には言ってなかったな。この地下には、旧古代のクリシオル帝国の遺跡があるんだ。そこには、クリシオル帝国が作った、神器がたくさんあるから、ここに屋敷を建てたんだ。」
クリシオル帝国。古代、ベルム帝国より前の時代にあった、伝説の帝国。この世界にある神器はすべて旧古代の時代に作られたものだ。
その中でも、クリシオル帝国で作られた神器は、各国の王族などが受け継ぐ物ともされるほど貴重だ。
「クリシオル帝国の遺跡!?クリシオル帝国の神器って、まだ1割ぐらいしか見つかってないんですよ!?そんな神器がここにあるなんて、すごいじゃないですか!」
「ラファエルは、まだ見つかっていない、9割以上の神器を全て持っているからね。それだけで、一国と同じ財力を持つことになるから、君も言いふらしちゃダメだよ。」
クリシオル帝国の神器は、一つの武器だけで、城が買えるほどの値段がする。
更に、クリシオル帝国の王族の紋章が入った物は、一つで、国が買えるほどの値段だ。それほど、クリシオル帝国の神器は強力なのだ。神器一つで、宮廷魔術師100人分と言われ、他国への抑止力にもなる。
「すべて!?ここって博物館かなにかですか?」
「ラファエルは神器を、魔族や神器を悪用しようとする人間から守るために、ここにいるんだ。君がつけているカーチャーもその一つだ。王族の紋章はないが、それでもかなり強力だ。」
「え!?これも神器なんですか?丁寧に使わないと...」
「ほら、お前ら無駄口を叩いてないでさっさと地下に行くぞ。危険なことは速く終わらせた方が良い。」
「では皆様、こちらに。」
ビクトリアに案内され、屋敷の地下にある遺跡に来た。
「すごいですね。数千年も前なのに、新築の家みたい。どうしてこんなにきれいなんですか?」
遺跡は、王城と同じほど豪華で数千年前に作られたとは思えないほどきれいだった。いたるところに彫刻が彫られ、床には赤いカーペットがひかれていた。まるで、王城にいるようだった。
(まるで王宮じゃん。すごくきれい。てか、さっきから誰かが呼んでるような気がするんだけど、気のせいかな?)
「遺跡全体が魔道具なんだ。体外魔力で、この遺跡をきれいに保っているんだ。あとここは、選ばれた者しか入れないんだ。」
「選ばれた者?」
アランは不思議に思った。
「選ばれた者って、どう選ばれてるんですか?」
「神器の8割は選ばれた者しか使えないんだ。特に、クリシオル帝国の神器なんかは、神器の力は強いが、選ばれた者じゃないとその力が使えないんだ。しかも、一人に対して使える神器は一つしかない。だから、王族などが持っているんだよ。」
「なるほど!王族は、血統があまり変わりませんもんね。だから、神器を使い続けることができるんですね。クラークさんは物知りですね!流石大賢者と呼ばれているだけあります。それに比べて僕の師匠は、僕のことを名前ですら呼んでくれない人ですからね。」
「あ?なんか言ったか?このバカ弟子。」
アランは横に首を振って、やれやれという風な素振りをし、クラークはそれを見て笑った。
「ははっ、ラファエル、君も少しは弟子のことを可愛がってあげたらどうだ。」
クラークがそう言うと、ラファエルは呆れたように言った。
「あれを見ても、同じことが言えるんだったら、少しはお前に見習うよ。」
そう言っていると、開けた場所についた。
「皆様、つきました。ここでよろしいですね?」
「ありがとう。師匠、どうやってこの神器をいじるんですか?」
アランが聞くと、ラファエルが答えた。
「まず、そのネックレスのペンダントのリングを触れ。そうすると、目の前に映像が映し出されるはずだ。」
アランがリングを触ると、リングから映像が映し出された。
「すごい!さすが神器ですね!この、時間制限をいじれば良いんですか?」
「そうだ。時間制限のところを2分にしろ。変更を保存を押した瞬間始まるから、まだ押すなよ。」
「これですね。もう押して良いんでしたっけ。押しますよ。」
「おい待...」
ラファエルの静止を聞かず、アランが保存を押してしまった。
「まずい。ビクトリアとアラン(クラーク)は準備しろ。もうすぐくるぞ。」
ラファエルがそう言うと、ビクトリアは持っていた剣を抜き、クラークは持っていた杖を出した。
「またお前か。われの掃除を邪魔しやがって。ほう、今回は仲間も連れてきたのか。われを少しは楽しませてくれるか?」
アランの神の力が解放された。アランはまた人が変わったようになった。
「ラファエル。お前の言ったことが少しわかる気がするよ。あれは、可愛げがないな。」
「アラン、あのガキと話し合いはできるか?」
クラークは少し考え、答えた。
「わかった。やってみよう。アラン君、少し話をしないか?」
クラークがアランに話しかけるとアランは面白そうに答えた。
「ほう、われと話し合いか。礼儀はわきまえているようだな。それに免じて話してやっても良いぞ。」
「じゃあ、質問させてもらうね。君の人格はどうして変わるのかい?」
「われがもう一人のアランだからだ。まだあるか?」
「じゃあ、これは私の仮説だけど、少し話させてもらうよ。君は神の子ではなく、神そのものじゃないかな。そしたら、人格いや、人が変わるのに説明がつく。」
クラークが仮説を語るとアランが拍手をした。
「流石は大賢者だな。満点だ。そうだ、われは破壊神ディンスターである。今はアランいない。まあ、アランが頑張れわれの力を使うこともできるだろう。まあ、それは良いとして、質問には答えた。こっからは、掃除の時間だ。」
ディンスターがそう言うと、無数の黒く青い光を放った剣が現れた。
「アラン、ビクトリア、残り1分だ。それまで耐えるぞ。」
「了解。」
「承知しました。」
二人が返事をすると、ディンスターの作った剣が三人の前に飛んできた。
「ビクトリア、防御結界を。」
ラファエルが指示すると、ビクトリアは防御結界をはり、飛んできた剣を防いだ。
「アラン、ガキの意識をそらして、隙を作れ。」
「わかってるよ。」
クラークがそう言うと、氷と風を合わせた複合魔術を使い、氷の剣をアランに向けて放った。だが、アランは氷の剣を素手で掴み、破壊した。
「結構魔力を込めたんだけど、簡単に弾かれたか。まあ、隙は作れたから良しとしよう。あとは、任せたよラファエル。」
ディンスターがその言葉を聞いて振り返ったときには、ラファエルは巨大な炎の球を作っていた。
「よおバカ弟子。古代魔法をお見舞いしてやるよ!メテオスマッシュ!」
その瞬間、炎の球がディンスターに向かって放たれた。
「古代魔法か。じゃあ、お前らに良いものを見せてやる。」
そう言って、ディンスターは炎の球に向かって、手を広げた。すると、魔法陣が現れた。
「何だ?こんな魔術式、見たことないぞ。ラファエル!気をつけろ!」
炎の球がディンスターの作った魔法陣に触れた瞬間、ディンスターが唱えた。
「鏡返し。」
今回出た古代魔法ですが、古代は魔術と魔法の区別が現代より明確ではなかったので、魔術も魔法と言われ古代魔法と呼ばれています。
なので、古代魔法は古代の魔術と思ってもらって大丈夫です。




