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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第1章 家出
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「アランの誕生」

「おい小僧、有り金全部おいていけ。」

「おいそこのガキ金なんてどうでも良いから俺の弟子になれ。」

(どうしてこうなった...)

* * *

さかのぼること5年前...

僕、エドワードは優秀な魔術師を多く輩出している大貴族の家、ウォード家の一人として生まれた。

そして、僕には5歳離れた姉がいる。

マリア・フォン・ウォード、その名前を聞いてこのラファエル王国で知らない者はいないだろう。

マリアはウォード家の後継である証の赤髪であり、100年に一度の美少女と言われている。

そして、この国で一番の魔力量を持っている。

この世界の人の魔力量の平均が約3000と言われている。それに対し、マリアは47421。平均の10倍以上である。

さらに、マリアは得意属性を2つ持っている。普通は、得意属性が1つしかないが稀に2つ持つ者がいる。

マリアは魔術師になるために生まれたと言っても、過言ではなかった。

マリアが天性の才能を持っている理由の一つは、両親の存在だ。

父、バーナードはこの国の魔術師の位で二番目に高い宮廷魔術師だ。バーナードはこの国で一番の魔術師育成機関、王立魔術師学校マギアを首席で卒業し、多くの魔術式を生み出してきた。

そして母、ローラはウォード公爵家3代目当主であり、神童と呼ばれた人だ。

ローラは三番目に多い魔力量を持ち、この国に多大なる貢献をしてきた。彼女は魔族と戦争で多くの功績を残してきた。そのため、国王に認められ貴族として一番高い爵位、公爵をもらい王立魔術師学校マギアの管理を任されていた。

この国はこの世界で珍しく、王家も貴族の家も当主は性別に関係なく継げる事になっている。この国は実力主義である。

そんな中、僕は生まれたがそこで一度目の悲劇が起きた。僕を出産をするとき母は、大量に出血をしてしまい、亡くなってしまった。

当然その代償は重く、当時魔族と戦争状態だったので大きな戦力を失ってしまった。

そのため、ローラに代わる者として大きな期待を背負っていた。

だがそんな、期待を大きく裏切るような二度目の悲劇が起きた。

僕の魔力量は0だった。普通、魔力量を測る魔道具が0を表すことはほぼないのだが、

1000万人に一人ぐらいで現れるらしい。みんなは最初、魔道具の故障か魔道具の最大値を超えたのかと思っていた。普段使われている魔道具は5万まで測れるのだが、

二回目に測ったときは、10万まで測れる特注の魔道具を使った。

だが、それでも魔力量の数値は0だった。

それからというもの、周りの態度は一変した。

「あれがローラ様の息子?あんなの顔だけじゃない。しかも、当主の証である赤髪ではなく、黒髪。本当に、マリア様とは対極的だわ。」

他の貴族は冷ややかな目で見ながら笑いものにしていた。

父は、妻が亡くなった八つ当たりに僕に暴力を振るっていた。

「お前のせいで、ローラは死に、ウォード家の権威は地の底だぞ。この恥さらしが。」

そう怒鳴りながら僕のことを殴ってきた。ご飯はよく抜かれ、自分の部屋はなく物置に住まわされていた。物置は、ほこりが舞っていて大きな木箱が乱雑に置かれていた。窓は一つしかなく、光は木箱に遮られてほぼ入ってこない。かろうじて布団が敷けるぐらいの広さはあったが、椅子や机を置くスペースはなかった。メイドのほうがよっぽど良い暮らしをしていた。

唯一の味方だったのは姉のマリアだった。ご飯がない日はこっそり自分のご飯わけてくれた。勉強だって教えてくれた。

「はいこれ、今日はパンとヨーグルトしか持ってこれなかった。ごめんね...」

「全然大丈夫だよお姉ちゃん。僕はなんとかなるからさ。」

「エディはもっと自分のことを大切に思わないと、ダメよ。」

そうやって、笑い合って話すときだけが楽しいひとときだった

しかし、ある時マリアが僕にご飯を持ってきたり、勉強を教えていることが父にバレてしまった。

「おいマリア、あんな恥さらしにご飯を分け与えているなんてどういうことだ。お前はあいつとは違うんだ。才能あるものには使命がある。あんな奴と関わっている暇があったら、魔術の勉強をしなさい。」

「お父様、そのお言葉ですが私は出されている課題はすべて終わらせ、そのうえ自分で更に目標を立ててその目標に向けて努力をしています。私は自分の意志でエディと一緒にいるのです。」

マリアがバーナードにそう反論すると、バーナードは座っていた椅子を蹴飛ばすように立ち、持っていた紅茶のカップをマリアに投げつけた。

(まずい、僕のせいでお姉ちゃんを怪我させちゃう...)

エディはマリアの前に出て、投げられた紅茶のカップは頭に当たった。

「エディ!!頭から血が出てる、誰か医者を呼んできて!速く!」

「この恥晒しが。マリア、そんな奴に構う必要はない。おい、メイド速くこの恥さらしを連れて行け!」

そうバーナードがそう言うと、メイドは怯えながらエディを連れて行こうとした。

「待ってくださいお父様、家族ですよエディは、いくらお父様でもこれは許されません。」

「大丈夫だよお姉ちゃん、少し血が出ちゃっただけだから。だから、もう大丈夫だから...」

そう笑って場をおさめた。

「速く連れて行けメイド!さっさとしないとお前も同じ目に合わせるぞ。」

そうバーナードが怒鳴ると、メイドは涙目にながらエドワードを連れて行った。

* * *

その1ヶ月後、珍しくこの家でパーティーが開かれた。

その日は、マリアの9歳の誕生日パーティーであり、他の貴族たちも来ていた。

僕はというと、物置をいつも監視している衛兵が今日はパーティーの護衛に行っているので今日は自由に家を歩き回れる。普段は、物置からあまり出られずお姉ちゃんが毎日来て、勉強を教えてくれている。だから、この家の中はあまりわからないのだ。

(今日はみんな家の大広間でパーティーだから全然人いないな。今日は家の中を探索していた。)

30分後...

(迷った...どうしよう。)

「ねえそこの君、トイレどこにあるかわかる?」

そこにはエドワードと同じぐらいの歳の女の子がいた。

(この子、貴族かな?お姉ちゃんのパーティーに来た子かな。でも僕もわからないんだよな。)

「えーと、僕もわからないから他の人に聞いたほうが良いと思うよ。」

「じゃあ私と一緒に探してくれる?私の名前はレベッカ。あなたの名前は?」

「えーと...」

(どうしよう、僕がウォード家の人間とわかったらお姉ちゃんに迷惑かかっちゃう。)

とっさにでた名前だった。

「アラン。」

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