表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1話 日本の至宝

涼しげな風が吹く10月の東京・国立競技場、斜め1列にきれいに並んでいる色とりどりのユニフォームたちの中に斎藤力也はいた。


「オンユアマークス」斎藤は息を整える、荒ぶるのも無理はない。


「セット」ここは、世界の頂点を決める戦いなのだから。


「パン!!」


けたたましい号砲の音とともに選手たちが1列になって走り出す。先頭を行くジャマイカの選手、2番手につけるアメリカ・イギリス、そして3番手に、日本の至宝の「斎藤力也」ゆっくりとギアを上げる、バックストレートから3コーナーにかけて足のピッチを上げていく。


《先頭ジャマイカのジャンベ!その差はなかなか縮まらない!3レーン日本の斎藤が来た!斎藤来た!世界の栄光に向けてやってきた!!》


前のジャマイカの選手との差が縮まっていく、このまま直線に向いたら.....根性のみの戦いだ。


どちらが先に、倒れるか。


4コーナーをカーブする。競技場内の興奮が最高潮に達する。


「行け!!」 「GO!!」 「GUH!!」


直線を向いて、光が見えた。


《3レーン斎藤!斎藤!ジャンベに並んだ!》


行ける


そう思ったのもつかの間だった。


眼の前が急にひっくり返った。そこからは俺の記憶はなかった。気づいたら病院のベッドの上、お見舞いの品々。


ふと横の時計に目をやると2019年10月23日 22:52分斎藤は一応自分の状況を理解した。


テレビのリモコンを手に取り、電源をつける。適当にチャンネルを回し行き着いた先でやってたのはニュース番組だった。


《次のニュースです、国立競技場で行われています世界陸上での出来事でした。》


テレビに映し出されたのは、その日に行われた男子400Mの決勝戦。そこには無論斎藤の姿も写っていた。直線コースでいきなり倒れた選手がいた、その選手は3レーンの「斎藤力也」だった。「そういうことか....................」その時、自分はレース中に倒れたのだと再認識した。


「斎藤さん!」と言いながら部屋に入ってきたのは看護師だった。


「安静にしといてください!動かないで!」


「そんなに俺の怪我はひどいんですか?」斎藤は看護師に聞く。


「また明日、医師から聞くと思います........取り敢えず今日は安静にしてください」


斎藤は看護師の顔と、口調で察した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ