安倍晴明の末裔
今回から主の挿絵が入る可能性があります。
※下手
※アナログ
※画質悪
※ムラがある
※背景なんて知らない
今後からは、色が無い場合もございます。ご理解よろしくお願いします。
これは驚いた!
この2人には、我が視えるというのか?!
「やい。そこの2人!」
我が声を上げると、片方は酷く縮こまって、もう一人の後ろに隠れるような体勢を取った。
………此奴、中々のビビリじゃな………
「………率直に言う。お主ら、我のことが視えるのか?」
「…まぁ。僕達は他の人とは少し違うから…」
片目が隠れた奴が、驚いた表情を直しながら我に口を開く。
「少し違う…?どういうことじゃ?」
我は首を傾げ、奴に問いかける。
「………一つは妖怪や神様を視ることができる「見鬼之才」があること。もう一つは、僕達は陰陽師だってこと。」
………陰陽師か………
陰陽師なぞ、力が物を言う世界に揉まれ、自然消滅したものだとばかり思っていたが………
人間は、嘘をつくこともあるじゃろうし、一応視てみるか………
………可笑しいな。我は「他心通」を使って、奴らの心を読もうとしておるのに………
何故読めぬのじゃ?
いや、正確には読めている。
ただ、六神通を駆使しても尚、我が奴らの情報で判るのは、一つだけ。それは………
「あやつらが安倍晴明の末裔だ」ってこと────
「………お主ら、どこの高校生じゃ?」
我は奴らに向かって口を開く。
こういう不思議な奴らは、他にも不思議な力を持つ奴らを惹きつける力があるからじゃ。
「…高天ヶ原高等学校」
………ずっと前にいる方の奴が喋っておる………
なんじゃ…?後ろの奴は喋れない病かなんなのか…?!
「そこの後ろの奴は?」
我は後ろの…前髪で目が隠れている奴を見やった。
すると、奴はビクッと震えて、更に後ろに身を隠した。
「…大丈夫だよ。僕の双子の兄なんだけど、昔っからこうなんだ」
………え?双子???兄…?
兄って、怖かったら弟の後ろに隠れる立場にいるか???
「………して、お主ら、名はなんという?」
「…僕は「安倍 明」。で、こっちが…」
明は後ろの奴を見やる。すると、少しだけ前に出て言う。
「ぼ…僕は「安倍 晴」…だよ…よ、宜しくね………」
………1000年経っても苗字が同じとは………
「………我は輝夜丸じゃ!そうじゃな………迦具夜比売命といえば、判るか?」
「…うん。たしか神様だよね。僕ら、日本昔話好きで、そこから知ったけど………」
………明めっちゃハキハキ喋るのぉ………
なんで晴は………
………まぁ、でも我は………
「………我は、お主らに興味を示したのじゃ!」
「我をお主らと共に連れてゆけ!」
その言葉に、2人は更に驚いたような顔をする。
「…まぁ………僕はいいけど………晴は?」
「ぼ…僕も………明がいいなら………」
………凄く仲の良い兄弟のようじゃな。
なんじゃっけ………たしか晴明には兄弟子かなんかが居たような………
それにしても、やはり不思議な力を持つ者は瞳の色も髪の色も特殊じゃな。
白い髪に紫の目など………南蛮の者でもおらぬぞ。
ふむ………やはり、記憶に残るなかで一番特徴的な髪と目は、やはりあやつじゃな………
晴明の好敵手………名前は───
「…ねぇ、輝夜丸!…聞いてるの…?」
明の声で、我はハッと我に返った。
我ながら珍しいな………我が考え事の世界にのめり込み、外の世界の声を聞き逃すとは………
「…とりあえず、僕らの部屋に………あ、僕らの学校全寮制だから…正確には寮か………」
明が我に対して話を続ける中、晴はやはり喋らない。
………慣れたら、喋ってくれるだろうか………
「…じゃあ、行こうか。輝夜丸。」
「………あぁ!」
我はその時、久しぶりに楽しそうな、好奇心に満ちた子供のような目をしていたと思う。