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幕間ゼグとミカーナ

今回はゼグ視点です。

 ゼグとミカーナは同じ村で育った幼なじみだ。

 二人でいつか冒険者になろうと話し合い十三歳の時に旅を出て一年後に冒険者の街セントラルに着き、五級冒険者となり、二年掛けて四級に昇格した。

 そんなある日だ。


「リカーナ! 魔獣を討伐する四級のクエストがあったから行こうぜ!」


「……ゼグ。 あんまり調子に乗るんじゃないわよ? それよりもフリーの冒険者を捕まえて一緒にクエストに同行してもらうのがいいんじゃないかしら?」


「大丈夫。 大丈夫! 四級の俺らに不可能はねぇって!」


 リカーナは喧嘩っぱやく怒りっぽいが面倒見が良くてしっかり者そして何より賢かった。

 だがゼグは今回はリカーナの話をよくも聞かずにたった二人でクエストに出かけた。

 結果は地獄だった。

 二人だけでは捌けない数の魔獣が二人を囲んでおり、ゼグは自身の慢心を思い知らされた。


「くっ、これが四級のクエストか!? これ三級が妥当だろ!」


「ごちゃごちゃ言ってないで倒すわよ! フレイム! ビュム! コオイス!」


 ミカーナが炎、風、氷の順番で魔法を放ち、魔獣の軍勢を倒すがそれでも更に魔獣達が湧き上がって来る。


「はぁはぁもう二人じゃ無理だ!」


 そう言ってゼグは声を上げた。


「ゼグ! 危ない!」


 ミカーナの声に驚いて背後を振り返るとカマキリ型の魔獣が命を刈り取るべく襲いかかって来た。

 今から反撃しようにも剣を振るう事が出来ずゼグはただ死を待ったが死は全く訪れなかった。


「えっ?」


「はぁしょうがねぇ」


 ゼグが気づいた時には目の前に灰色の髪に青い瞳が特徴の少年がいて、驚き過ぎて声が出なかった。


「はっ? えっ!?」


 ゼグは目の前の出来事に困惑した。


「ゼグ! 良かった!」


「あぶねぇ!」


 ミカーナの声でハッと意識を取り戻したがすぐ目の前にいた灰色の髪の少年は既におらず淡々と魔獣の軍勢を斬り捨てていった。


「あ、ありが」


「ぼさっとすんな! 死ぬぞ!」


 少年はミカーナの礼も聞かずに目の前の魔獣達をひたすら機械作業のように斬り捨ていく。

 その光景にゼグは目を奪われた。


「……すげぇ天才だ」


 そんなゼグの小さな呟きは風と少年の剣戟によって消え去った。


「はぁはぁ魔法使うまでもねぇ」


 全ての魔獣を少年が斬り終えると肩で息をしながら大量の汗を掻いていた。

 すると急に膝から崩れ落ちて地面に転がった。


「ちょ! 待って!」


 リカーナが心配の声を上げて少年に駆け寄る。


「だ、大丈夫か! あ、あんた!」


 ゼグも思わず声を掛けた。


「疲れた」


 少年はそう言った後に寝息を立てていた。



「……すげーこいつ何者なんだよ?」


 ゼグは目をまばきして驚いた。


「……ねぇアタシ達すごいもの見たわね」


「あぁ。 英雄譚でも見てんのかってぐらいの光景だぜこれ」


 ゼグとリターナが目にしたのは魔獣達の死体の山である。

 ゼグリターナが倒したのが合計で十匹ぐらいだが少年は残りの九十匹を全て倒してしまったのだ。


「……なぁリターナ。 一つ提案があるんだけど」


「何? ゼグ?」


「こいつがもしもフリーの冒険者ならさ。 俺こいつと冒険してみたい」


「うん。 ちょうど私もそう思った」


 そう言ってリターナとゼグは魔獣の解体をして、そのままテントを作り野宿をした。


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