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冒険へ

「ねぇクロス大丈夫?」


 母であるサリシャがクロスを心配して手を重ねた。


「わ、悪いね母さんお、オレ友達だった人が死んじゃってさちょっと気が滅入ってしまって」


「それってマクロウさん?」


「えっ?」


 急な母の発言にクロスは驚いた。


「あのねクロス実はお母さんマクロウさんに一回会った事があるの」


「えっ?」


「少し散歩をしていたらマクロウさんに会ってね。 少しお話をしたの。 そしたらもしも自分の身に何かあった時の為にこれを渡して欲しいって」


 するとサリシャが一本の剣を渡して来た。


「えっ!? こ、これ先生の剣!? で、でも剣は騎士団に没収されたはずじゃ!?」


 クロスが混乱しながら剣を見るとサリシャは笑った。


「実はマクロウさん二刀流の剣士さんなんですって。 一本は昔に折れてしまったらしくてね。 騎士団に没収されたのは折れた方。 そして無事なのはクロスにあげたいって言っててね。 それがこの剣」


「……オレ貰う資格あるのかな?」


「マクロウさんの気持ちを受け取ってあげて」


「うん。 分かった」


 そう言ってクロスは頷いた。


「ああそれと」


「……それと?」


「クロス。 あなた冒険に出たいんじゃないの?」


「な、なんでそれを!」


 クロスはサリシャの発言に驚いて思わずベットから立ち上がった。


「ごめんなさいね。 家が裕福じゃないからあなたを冒険者学院に入れる事が出来なくて」


「……あ、謝らないでよ母さん! が、学校に行かなかったおかげでオレは先生に会えたんだから!」


 そう言って泣くサリシャをクロスを慰めた。


「クロス。 あなたすごい冒険者になってね。 後、辛かったらいつも家に帰って来ていいから」


「……いいのか? この家出て行っても」


「うん大丈夫よ。 ねっ、あなた」


 サリシャがそう言うとドアから父のラードが出て来た。


「そうだぞクロス。 お前は俺達の息子だ。 わがままぐらい言え」


「……ありがとう! お父さん! お母さん!」


 そう言ってクロスは旅に出る準備をした。


「……だいぶ少ないな」


 クロスは腰に身につけた剣と軽い食糧が入った袋を身につけて玄関に立っていた。


「……そ、それだけでいいの? も、もっと必要じゃない?」


「お金も貰ったしいいよ。 これ以上迷惑かけられないよ」


 そう言ってクロスは笑った。



「じゃあ行ってくる」


「ええ、いってらっしいクロス」


「元気でな!」


「うん。 ありがとう!」


 そう言ってクロス十三歳はミーカシュ地区にある小さな村を出て冒険者達の総本山セントラル中央区へと旅を始めた。



「……しかし遠いなぁ」


 そう言いながらクロスは剣を振るって魔獣を倒しまくっていた。

 村から出て北へ北へと進んでいるものの、人に全く出会わない。


「……本当にオレ冒険者になれんのかね?」


 そう言いながらクロスは魔獣の毛皮やら爪や眼球を解体してバックに入れる。

 もう五十体以上の魔獣を倒しているのでそろそろ売るか、他の冒険者に売りたいくらいなのだ。

 主に狼型の魔獣か恐竜のような鋭い爪と牙を持った魔獣を交互に倒しているのでそろそろ飽きて来た所である。


「……これ以上狩りたくないな」


 生きる上で狩りをするのは重要だがそろそろ持っているバックがパンパンになるのでこれ以上魔獣には出て来て欲しくない。


「だ、だれかー! た、助けてくれ!」


「んっ? なんだ?」


 すると少年の声が聞こえて来てクロスはそのまま助太刀に向かった。



「う、うわぁぁぁ!? こ、これ以上は無理だ!」


「ちょ、ゼグ! お、落ち着きなさいよ!」


「ミカーナだって魔法を!」


「すばしっこいし、多いから無駄撃ち出来ないわよ!?」


 クロスが現場に到着して物陰から見てみるとオレンジ髪に赤いバンダナをした剣士の少年と金髪に赤い瞳をした吊り目が特徴な魔法使いの少女がカマキリのような魔獣と狼型の魔獣に囲まれていた。

 その数百近く。


「くっ、これが四級のクエストか!? これ三級が妥当だろ!」


「ごちゃごちゃ言ってないで倒すわよ! フレイム! ビュム! コオイス!」


 ミカーナと言われた魔法使いの少女が炎、風、氷の順番で魔法を放ち、魔獣の軍勢を倒すがそれでも更に魔獣達が湧き上がって来る。


「はぁはぁもう二人じゃ無理だ!」


 既にゼグと言われた少年は片膝をついて息を荒げていた。

 体力の限界が来たらしい。


「ゼグ! 危ない!」


「えっ?」


「はぁしょうがねぇ」


 するとカマキリ型の魔獣達が今にもゼグの命を奪おうとした瞬間にクロスは物陰から飛び出てカマキリ型の魔獣を一刀両断した。


「はっ? えっ!?」


 ゼグは目の前の出来事に困惑しているようだった。


「ゼグ! 良かった!」


「あぶねぇ!」


 クロスはミカーナに迫る魔獣の軍勢を斬り捨てた。


「あ、ありが」


「ぼさっとすんな! 死ぬぞ!」


 クロスはそのまま放心しているゼグとミカーナを放って魔獣の軍勢を淡々と切り捨ていった。


「はぁはぁ魔法使うまでもねぇ」


 全ての魔獣の軍勢を斬り終えてそんな独り言を言いながらクロスの全身から汗を流してその場に倒れた。


「ちょ! 待って!」


「だ、大丈夫か! あ、あんた!」


「疲れた」


 そう言ってクロスは疲労感を感じながら眠った。

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