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家族

自身は死んだのだとクロオは悟った。

 だが新たに光が見えて目を開く。


「……うぱ?」


「おはようクロス元気ねぇ」


 するとクロオはその体を抱き上げられて驚いた。


「うばう!?」


 人から抱き上げて貰うなど二歳の頃に女子高生の加奈子ちゃん以来でクロオはびっくりした。


「う! うばぁ!?」


 降ろせと声に出したいが声に出ない。

 当たり前だ生前クロオは猫であり、人間の発音なんて分かる訳なかった。


「サリシャどうしたんだい?」


「あなた。 クロスが起きたのよ」


「えっ? クロスが起きたの!?」


「やった!」


 すると旦那らしき人物と小さな男の子と女の子がやってきた。


「クロス見てあなたの家族よ。 お父さんがラード。 お姉ちゃんがリニス。 お兄ちゃんがライドよ。 そして私がお母さんのサリシャ」


 灰色の髪に青い瞳がクロオを否クロスを見てくる。


「うばぁ」


 クロスは手を伸ばしてサリシャの手を掴んだ。


「あら? 握手してくれるの? 嬉しいわ」


 サリシャの笑みがとても優しくしてクロスは泣いた。


 それから五年の月日が経ってクロスは五歳になった。

 家はしがない農村であり、父のラードは農夫として働き、母のサリシャは家で家事を送る生活をしていた。

 この世界は貴族と王族しか姓を持たないらしくクロス達農民や平民や奴隷などは姓を持たないらしい。


「ほらクロス遊びに行くわよ!」


「い、痛い。 痛いよ」


 姉のリニスに首根っこを掴まれてクロスは泣いた。


「ダメだよリニス。 クロスが泣いているじゃないか」


 リニスを弟のライドが嗜める。


「ふん。 軟弱なライドを私は強くするのよ。 いつか私は冒険者になるんだから!」


「けれどクロスがそうなりたいって言ったのかい?」


「うっ、でもクロスも男の子だから冒険者になりたいわよね!?」


 リニスが鼻息を荒くしながらクロスを見てくる。


「……べ、別にオレは夢とかないし」


 クロスは曖昧な顔を浮かべてリニスを見ると顔がとてもしかめっ面になっている事に気づいた。


「ふん! 軟弱のクロス! いい? 私は有名な冒険者になって色んな奴らをギャンフンって言わせてやるんだから!」


「……リニスには難しいと思う」


「はぁ!? 弟のくせに生意気よ!」


 クロスが率直な感想を言うとリニスは怒ってクロスの髪をぐしゃぐしゃにしてきた。


「いーい? 私が絶対にすごいんだから見ておきなさいよ!」


 するとリニスはクロスを指差して笑った。


「はいはい分かったよ」


 クロスはただ興味なさそうに返事を返した。


「まぁ弟達に威張るのも飽きたから遊んでくるわ! ばいばいーい!」


 するとリニスはそのまま駆け足でその場を走って行った。


「大丈夫? クロス。 リニスの相手をするのが大変だったら僕に言ってくれよ?」


「大丈夫だよライド」


 クロスは兄のライドの言葉に頷いた。


「……実際に遊びでチャンバラと魔法やってもオレはリニスとライドに勝てないから冒険者は無理だよ」


「まだ二週間前の冒険者ごっこを引きずっているのか?」


「……当たり前だろ? すぐさま切り替えるなんて出来るかよ」


 クロスは二週間前に生まれて初めて魔法と言うものを知り試しに魔法を放ってみたが全くと言っていいほど魔法が発動しなかったのだ。

 なのにリニスは「あらクロスも冒険者ごっこするのね!」と喜んでクロスを木刀でボコボコにしたのは言うまでもない。

 五歳のクロスが七歳のリニスに勝てる訳がなかった。

 二年後リニスはラードとサリシャにわがままを言って冒険者育成機関に入る事が決まっている。

 そして七歳になった今自身の強さに天狗になってこっそり魔獣狩りをした事もあるのだ。


「じゃあクロス。 僕はお姉ちゃんの所に行くから」


「分かったよ」


 そう言ってライドはリニスの後をつけていった。


「さてオレはどうしようかなぁ」


「クロスどうしたの?」


「……母さん」


 草むらで大の字になって寝転がると洗濯物を干すサリシャがクロスの顔の反対から覗き込むように現れた。


「お昼寝? クロスはお昼寝が好きね」


「……好きで寝てるんじゃないよ。 不貞腐れてただけ」


「……リニスとライドに劣等感を感じているの?」


「うっ」


 サリシャの指摘にクロスはびくんと肩を跳ねた。


「あらあらそんなに怖がらなくていいのよ? クロスにはクロスのやり方があるんだから」


 そう言ってサリシャがニコリと笑う。


「……母さんはただの村人だろ? 冒険者なんて危険な事リニスとライドにやらせていいのかよ?」


「うーんお母さんはあなた達がのびのびと自分の人生生きてくれたら幸せだから」


「……そうか」


「大変だ! サリシャ!」


 すると父のラードがサリシャに向かって駆け足で来た。


「ど、どうしたのあなた! 何があったの!?」


 ラードの体はボロボロで頭からは血が出ていた。


「リニスとライド。 そして村の子供達が攫われたんだ!」


「えっ!?」


「えっ?」


 ラードの言葉にサリシャとクロスは声を失った。


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