青の旅旗
「さてとどうしたもんかねぇ」
クロスはそのままクエストを受けるべくギルド本部へと足を運んでいた。
「……くぅ」
クロスは昨日の夜のゼグとリターナの情事を思い出して顔を手で覆って赤面していた。
二人が裸となって愛を重ね合う姿はクロスにとっては刺激が強すぎた。
「……オレもああいう事すんのかな?」
クロスはぼんやりと考えると一人の白い髪に青い瞳の少女を思い浮かべた。
その少女がクロスの名前を叫びながらクロスを抱きしめながら愛を叫ぶ所を想像するとクロスはとても恥ずかしくなってその場にしゃがんで死にたくなった。
「な、なんでこんな思いしてんだ………オレ」
人に見られないよう路地裏で軽く頭を何度かぶつけて意識を切り替えてクロスは本部に向かった。
「あっ、クロス待ってた」
「……え?」
するとギルド本部前で何故かレクラニアが立っており、クロスは固まった。
「よかった。 ここで待ってたらクロスに会えると思って! あっ、甘い物大丈夫? 立ち話もなんだし喫茶店に入ろう?」
「えっ? いいよ?」
クロスは内容が頭に入っていないにも関わらずレクラニアの話に頷いてしまった。
「よかった。 あ、後お金は私が払うから大丈夫だよ?」
「うん。 分かった」
クロスは条件反射で答えながらそのままレクラニアに手を引っ張られながら喫茶店の中に入って行った。
「いきなりだけどクロス。 私達のクランギルド青の旅旗に来ない?」
「…………え?」
いきなり何を言われたか全く分からなかった。
「か、勧誘か? それ」
「そう勧誘よ」
クロスは困惑しながらレクラニアを見た。
表情にブレがなく瞳は真剣そのものだった。
「ほ、本当にオレ青の旅旗に加入していいのか?」
「私から推薦すれば多分クロスはクランギルドに入れる」
「えっ? 本当に? マジで?」
クロスは目をぱちぱちさせた。
「……でもオレ、レクラニアの推薦での入団はやめるよ」
「ど、どうして!?」
クロスの発言にレクラニアが驚いて席を立った。
「オレはそういうの自分で掴みにいきたいから」
クロスはそう言ってからそのまま席を立ち喫茶店を出て青の旅旗の本拠地まで歩く。
「ま、待って! わ、私も行く! き、君の戦い見てみたい!」
「……いいのかよ? 勘定は終わったのか?」
「食べてお金払ってきた!」
「そうかよ」
クロスは歩いて十五分の所にある大きな青の旅旗の拠点に乗り込んだ。
「頼もう」
「「「あっ?」」」
すると様々な冒険者達から睨まれた。
「オレをこのクランギルド青の旅旗に入団させてくれ」
クロスは青の旅旗の団員に喧嘩を売った。