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赤黒の狼解散

「ラクレニアどうしてここに?」


「賞金組と手を組んで手を汚す騎士団を殺しに来た」


「そ、そりゃあ見れば分かるけど」


 クロスは淡々とナイフを拭き取るラクレニアを見ながら驚くまず背が大きくなり、幼さがあった顔はとても綺麗になっており美人と言うべき顔になっておりクロスは見惚れてしまった。


「そ、そうだ! お、オレの仲間達は大丈夫か!?」


 クロスはゼグとリターナの心配をしてラクレニアに確認をした。


「それなら……ほら」


 ラクレニアが指を指すと赤い髪にオレンジの瞳が目立つ少女がゼグとリターナを背負ってやってきた。


「えーとラクレニア。 彼女は?」


「彼女はミーテ・ドラノス。 竜を操る一族の子」


「……ドラノス」


 聞いた事があった。

 マクロウ曰く竜と共に生きる一族らしく、五歳になったら卵を貰い、一緒に成長していく一族なんだとか。

 そんな事は今はどうでもよかった。

 とりあえずゼグとリターナの安否が今は大切である。


「ゼグ! リターナ! 大丈夫か!」


「うっ」


「ひっ!」


「ゼグ、リターナ」


 するとゼグとリターナはクロスが近づいたせいで恐怖を顔に出したがクロスと分かり安堵の表情を浮かべた。


「く、クロスなのねよかった」


「あ、なんだクロスか」


「よかった。 二人とも無事で」


 クロスは仲間の無事を確認出来て涙を流した。


「……クロス」


「な、なんだよレクラニア?」


「よかったね。 仲間が無事で」


 レクラニアがそう優しげに笑うがクロスには何故笑ったのか全く分からなかった。

 その後クロス達はセントラルに無事到着し、そのまま宿に泊まり眠った。


「……クロス話がある」


「分かった」


 朝目を覚まして次の冒険への準備をしているとゼグとリターナがクロスに声をかけた。



「……俺たち冒険者辞めようと思うんだ」


「えっ?」


 ゼグの急な話についていけずクロスは固まってしまった。


「……ゼグ冗談だよな?」


「冗談じゃない。 俺達は今日限りで赤黒の狼と冒険者を辞める」


「……ど、どうしてだ? お、オレが悪い事したのか?」


「……別にお前は悪くねぇ。 俺達はもう戦えねぇ。 一度死んで奇跡的に生きているだけだ。 死ぬ恐怖に俺は耐えきれねぇ」


 するとゼグが涙を流しながら手で顔を覆った。


「……リターナもか?」


「うん。 アタシも恐怖で動揺してとは言えあなたに酷い事言ったわごめんなさい」


「べ、別にいいよ! お、オレが弱かったのが悪いんだし!」


「……ありがとうクロス。 本当にごめんなさい。 あの時助けを求めていただけのアタシを許して」


 するとリターナは膝から崩れ落ちて涙を留めなく溢れさせて目を真っ赤にしている。


「あーもう! さっさとクエストの報告行こうぜ! な、なんか金とか素材とか貰えるかも知れねぇしな!」


 とりあえずクロスはわざと大きな声を出してリターナとゼグの涙を無理矢理に止めてギルド本部に向かった。


「……く、クロスさん。 そ、そして赤黒の狼のみ、皆さんい、一体どうしてこうなったんですか!? さ、さっきラクレニアさんがやってきて五万ベルカをあなた達に渡してと言われたんですけど何があったんですか!?」


 すると受付嬢さんが全身を震わせて驚きの声を上げていた。

 クロスは淡々と自分達の身に起きた事を話しそれと同時にゼグとリターナが冒険者を辞めて赤黒の狼は解散する事を告げた。


「……そ、そうですか。 精神的なトラウマですか。 それは仕方ありません分かりました。 ゼグ四級冒険者とリターナ四級冒険者のセントラル引退を受理しますね。 また冒険がしたくなったら言って下さい」


「「ありがとうございます」」


 すると受付嬢さんはゼグとリターナの冒険者引退を受理してゼグとリターナは頭を下げた。


「それではいい人生を」


 こうして赤黒の狼は解散し、今日からゼグとリターナは冒険者でなくなった。



「……これからどうすんだよお前ら」


「実はね二人で定食屋をしようと思っているの」


 するとリターナが笑いながら今後の話をし始めた。


「アタシの家、定食屋なの」


「へーそうなのか」


「冒険者になりたかったのは冒険者の人達の話を聞いていたからなんだけどアタシは合わなかったんだなぁ」


 そう言いながらリターナが苦笑いを浮かべた。


「そんな事ないよリターナは十分やってくれたよ」


「ありがとうクロス」


 そう言ってリターナは笑った。


「ゼグは?」


「俺もリターナの定食屋で働いて二人で店を出す予定だぜ! このセントラルでな!」


「ちょ! ゼグ! 勝手に計画バラさないでよ!」


 ゼグの発言にリターナは赤面しあたふたと手を振り始めた。


「ふっ、俺は冒険者をしながらリターナと結婚して冒険者引退後に定食屋を運営したかったんだぜ!」


 そう言いながらゼグは親指を立てて笑った。


「ちょ、ゼグ何言ってんの!? ば、馬鹿じゃない!?」


「リターナ! 俺と付き合ってくれ! そして一緒に定食屋で働こうぜ!」


「こ、こんな所で! こ、こんな場所でプロポーズする馬鹿がどこにいんのよ!?」


 するとリターナの顔が赤面してあたふたしている。

 これはゼグの告白勝ちだとクロスは思った。


「……なぁ二人ともせっかくだから付き合った記念にこの金で色々と遊ぼうぜ」


 クロスはこの流れをうやむやにするべく遊ぶ提案をした。


「い、いいわねクロスそうしましょう!」


「ちょ、リターナ! お、俺の告白の返事は!?」


「……本当お前ら面白い奴らだぜ」


 クロスはそんなゼグとリターナを見て笑った。

 その後クロス達は解散パーティをした。

 そしてそのまま宿に帰るとゼグとリターナがクロスに対してプレゼントを買っており、開けてみたら白色の短い杖が入っていた。

 リターナ曰く魔剣士なんだから杖持っててもいいじゃないとの事でどうやらゼグとリターナの互いの貯金から出してくれたらしい。

 クロスは申し訳なくて今回のクエストの報酬の五万ベルカを渡した。

 ゼグとリターナは驚いてそのお金を返却しようとしていたが引退金という事で納得して貰いクロスはそのまま眠ったがふと起きて隣を見てみたらゼグがいなかったので探してみるとリターナの部屋でリターナと情事をしており、二人のイチャイチャにクロスは赤面しながらそのまま部屋に戻って眠りについた。



「クロスじゃあね」


「クロスありがとな!」


「ああ、元気で」


 そう言ってリターナとゼグは馬車に乗ってセントラルを出て行った。

 セントラルから遠ざかる馬車を見てクロスは一人仲間達との別れに涙を流した。

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