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再会と洞窟

「んっ?」


 クロスが起きるとそこは宿であった。


「あっそうかオレ食べて……眠くなって」


 クロスは昨日の事を思い出した。

 初めての祝杯でどんちゃん騒ぎを起こした後、ゼグもリターナも騒ぎ疲れてそのまま宿泊で使っている宿に戻ってそのまま眠ったのを思い出した。


「……オレベット使ってよかったのかな?」


 クロスがベットから出ると逆さ立ちで足をブイの字に開く寝相の悪いゼグがいた。


「よし!」


 クロスは白いパジャマを脱いでそのまま冒険者の服に着替えるとそのまま食堂に繋がる一階へと降りていった。


「ふぁ。 おはようクロス」


 すると寝癖でボサホザでパジャマ姿のリターナがテーブルに座っていた。


「……リターナ。 髪がボサボサだぞ?」


「……えっ!? あ、あれ! ご、ごめん! す、少し待ってて! 髪整えて来るから!」


 クロスが寝癖を指摘するとすぐさまテーブルを立ってそのままドタバタと二階へ戻り、三分もせずに魔法使いの衣装となってテーブルに戻って来た。


「ふ、ふふん。 どんなもんよ!」


「……オレはどんな反応をすればいいんだ?」


「う、指摘してくれてありがとうね。 どうしても宿とか家だとズボラになっちゃうのよね」


 そう言ってリターナは頬に手を当てて、ため息を吐いた。


「……しっかりしているからこそ、家ではついついだらけちゃうって。 もしかしてリターナって内弁慶?」


「うっ、クロスもそう思う? ごめんなさいね。 アタシちゃんとズボラを治そうと思っているんだけどね。 はぁ」


 するとまたリターナが肩を落としてため息を吐いた。


「おはようみんな! 今日も仲良く冒険に出かけようぜ!」


 するとゼグの呑気な声が出て来てクロスとリターナは驚いたがそのままクロス達は朝のパンとスープとサラダのセットを食べてクエストを受け取るべく出かけた。


「しっかしアタシ達の家が欲しいわよね」


「くぅ! 拠点かぁ夢があるぜ!」


「でもそれには三級にならないといけないんじゃなかったか?」


「うっ、そ、それはそうね」


「だなぁ」


 クロスの指摘にリターナとゼグが肩を落とした。

 冒険者が拠点を持つにはパーティのランクがB以上である事、そして個人階級三級の人物がいる事が条件とされている。

 なのでまだ四級と五級のクロス達では自身の拠点を持つ事は難しいのだ。


「まぁこれからぼちぼち考えよ……うぜ?」


 するとクロスは一人の女性と目が合った。

 灰色の髪に父と同じく茶色の瞳をした女性だった。


「クロス! 私だよ! お姉ちゃんだよ! 元気!?」


「う、うぐ! い、イテェ! や、やめろや! て言うか誰だお前!」


 すると女性がクロスの首を絞めるように抱きしめてクロスは苦痛の声を上げた。


「ダメだよお姉ちゃん。 そんな事したらクロスが死んじゃうよ」


 すると茶髪に同じく茶色の瞳をした男が現れて女性の肩を叩く。


「ちょっと待ちなさい! クロスをいじめるならアタシ達が相手よ!」


「そうだ! クロスをいじめるな!」


 するとリターナが女性を引き剥がして杖を構え、それに倣いゼグも剣を構えた。


「何よ! 失礼しちゃうわね! 私はクロスの姉のリニスと兄のライドよ! そして姉は弟を抱きしめる権利があると思うの!」


「えっ? リニス!? リニスなのか!?」


 クロスは目の前にいる女性を見て驚きのあまり体を固まらせた。


「そうだよお二人さんせっかくの兄弟の再会なんだから邪魔しないでくれるかな?」


「き、兄弟だからって何よ! 今クロスはアタシ達の赤黒の狼のメンバーなんだから!」


 するとクロスの姉達とゼグとリターナの喧嘩が始まろうとしていた。


「いいからオレの話を聞けぇぇぇぇ!!」


 状況においてけぼりにされているクロスは絶叫を上げてその喧嘩を止めた。



「ふーんクロスは冒険者になったのね。 お姉ちゃん嬉しいわ」


「僕も誇らしいよ! クロス良かったね!兄弟揃って冒険者だ!」


「や、やめろ! 頭撫でるな! 腕に絡みつくな!」


「「家の猫かよ」」


 クロスが姉であるリニスと兄のライドにおもちゃにされている光景をリターナとゼグはそうつっこんだ。



「……それで? リニスとライドはなんでここに居んだよ!」


「えー? 学院を卒業して所属したいパーティを探してたからに決まっているじゃない!」


 するとリニスは笑って答えた。


「僕も同じでね。 お姉ちゃんと僕は別々にしたいと思っていたんだけどクロスがいるなら話は別だね。 ねぇクロス。 僕達クロスのパーティに入っていいかい?」


「「「えっ?」」」


 クロスとリターナそしてゼグは声を揃えて驚いた。


「えっとり、リニスさん? そ、それほ、本気で言っています?」


 するとリターナがリニスに向かって確認を取る。


「ええ本気よ! 私! クロスと一緒に冒険者になるのが夢だったの!」


 するとリニスは満面の笑みを浮かべながらクロスを抱きしめる。


「いてて! 痛い! 馬鹿力やばいって自覚しろよ! この圧力剣士!」


「あらまぁ? 私とじゃれるの楽しい? 嬉しい!」


 満面の笑みでクロスを見つめるリニス。

 本当にクロスは関わられるのを嫌がっているのだが浮かれているリニスに声が聞こえる訳もなく、さらに力を込めてリニスはクロスの体を抱きしめた。


「うっがぁぁぁぁいってぇぇぇぇ! ぜ、全身の骨折れるぅ!?」


 クロスはそんな情けない声を喫茶店で上げた。



「はぁぜぇはぁ」


「……クロス大丈夫?」


「だ、大丈夫だ。 リターナそれよりもオレの姉と兄をパーティに入れるつもりはあるのか? ゼグ?」


「お、俺!?」


「ゼェ……はぁ……お前がこのパーティのリーダーじゃねぇか。 はぁ」


「お前が肩で息をしている惨状の中決めろってどんな罰ゲームだよっては思うけど、俺は二人がパーティに入ってくれるならいいと思ってる五名でいた方が様々なリスクを回避できるだろうし」


「よっしゃ! これで私達も赤黒の狼の一員ね!」


「僕達の実力見せてあげるよ」



 こうして赤黒の狼は、クロスの姉リニスとその兄ライドをパーティメンバーにして今度こそ新しいクエストへ向かった。



「……全くよ。 三級が二人が入った事によってAクラスて言うか二級のクエストを受けられるなんてなぁ」


 クロスはそんな事を思いながら歩いていた。

 ちなみに二級クエストやAクラスというのは言う冒険者によっていうのは違うらしいがEが五級と四級であり、四級が受けられるのがCクラスであり、昨日のクエストはBに相当して三級が受けるべきのクエストであり、二級以上はAとSを受けられる。


「……で、オレ達はなんだかんだで迷宮攻略に来た……と」


 そう言いながらクロスは洞窟の入り口を見た。


「……はぁ。 緊張すんな」


「まぁ私達なら楽勝でしょ!」


「ちょ、ちょっと! なんであなたがリーダーズラしてるのよ!」


「あら別にいいじゃない! さぁ行くわよ! 赤黒の狼!」


「だからあなたが仕切るなっての!」


 そんなリターナの絶叫が木霊しながら一行は洞窟へと足を踏み入れた。

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