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結成赤黒の狼

「うっ」


 クロスが目を覚ますとそこはテントの中だった。


「いって」


 すると蹴りが飛んできて目が完全に覚めてしまった。


「イッテテなんだよ。 ん?」


 見てみると隣にはあのオレンジ色の髪に赤いバンダナをした少年が寝ていた。


「やれやれオレは疲れて眠っちまってたのか」


 クロスは頭に手を当ててため息を吐く。

 そしてそのままテントから出るとあの金髪でツリ目の赤い瞳を持つ魔法使いの少女がスープを作っていた。


「あらおはよう起きたのね。 朝ごはんを作ったから良かったら食べて」


 穏やかな声で少女はクロスに向かって笑みを浮かべた。


「戦闘中と随分雰囲気が違うな」


「あ、あら? あ、アタシ達の戦いをみ、見ていたの? は、恥ずかしいわね」


 そう言うと少女は顔を真っ赤にして手で顔を仰ぎながら目を泳がせていた。


「自己紹介がまだだったな。 オレはクロス。 魔法剣士だ」


「ま、魔法剣士!? えっとこ、コホン。 アタシはリカーナそしてあっちのテントで眠っているのはアタシの幼なじみのゼグよよろしくね?」


「ああよろしく」


 そう言ってリカーナはクロスは握手を交わした。


「昨日はありがとうねクロスお陰で助かったわ」


「別に? ただ敵を排除しただけだ」


 そう言いながらクロスはリカーナの作ったスープを飲んでいく。


「ねぇ。 あなたどこかのパーティに所属しているの?」


「いやオレは冒険者になる為にセントラルに向かおうとしてたんだよ」


「へーそうなのって! 冒険者じゃないのにあんな数の魔獣を全部倒したの!? あなた何歳!?」


「えっ? 十三歳だが?」


 クロスはおかわりのスープを注ぎながら淡々と答えた。


「じ、十三!? あ、アタシ達より二歳年下じゃない!」


 するとリターナが立ち上がってクロスの頬を挟んできた。


「にゃする!」


「えっ? 本当に十三歳!? こんなかっこいい見た目で? アタシ達と同じく十五歳かと思ったわよ!」


「はにゃせ!」


「わ、悪かったわね。 ど、動揺して!」


 そう言いながらリターナはクロスの頬から手を離してそのままスープを食べ始めた。


「ね、ねぇ、もしも良かったらなんだけど冒険者登録をしたらアタシ達と一緒に冒険しない?」


「……それは勧誘か?」


「え、ええ! 勧誘! 勧誘よ!」


 クロスは言われた言葉を飲み込んでリターナの顔を覗き込むとどうやら緊張しているようであった。

 どうやら本当にクロスと冒険者したいように見えた。

 嘘をついていない事を信じてクロスは質問をした。


「……なぁリターナ。 お前は何が出来る?」


「な、何って魔法よ。 ひ、一通りの魔法を全て使う事が出来るわ」


 たどたどしくながらもリターナはクロスの質問に答えてくれた。


「質問二個目。 リターナ達の等級は?」


「えっ? 四級だけど?」


「……四級かぁ。 まぁ十五歳だからしょうがないよな」


「そ、そんな事ないわよ? 十三歳で二級の子もいるし」


「えっ? 誰それ」


「青の旅旗のレクラニアよ」


「えっ? レクラニア? ま、マジで!?」


 クロスは驚いて立ち上がった。

 まさか八年前に共闘した女の子がセントラルにいる冒険者だったとは思ってもみなかった。


「えっ、クロスもしかしてレクラニアと友達なの?」


「ああ村攫いを討伐した仲なんだ」


「へー。 すごいわね」


「おうおう何話してんだよリターナ!」


「あらゼグおはよう」


 するとゼグがテンションを上げて起きて来た。


「なになに? 俺を抜いて話し合いとかマジでやめて欲しいんだけどな! あっ、スープ作ってくれたんだなリターナありがとう!」


 そう言ってゼグがパクパクと自身のスープを飲む。

 そのせいかさっきまでの会話の雰囲気とは違いとても明るい食卓を囲んでいる風になった。


「はぁ全くあんたって奴は」


 そう言ってリターナは無邪気に朝ごはんを食べるゼグの顔を見て優しい笑みを浮かべた。


「……二人は幼なじみなんだよな?」


「ええ」


「おうそうだぜ!」


「二人は付き合っているのか?」


「「んごっ!?」」


 クロスが質問をすると二人は同時に咽せて咳をした。


「は、はぁぁぁぁぁ!? あ、アタシがな、なんでこんな単細胞をす、好きだなんてお、思うのよ!」


「そ、そうだぞ! お、お前! い、いきなり過ぎんだろうがー!!」


「ふっ」


 あっ、これは両片思いの奴だとクロスはクロオだった時に田舎で見た番長と陸上クラブに所属していた女子生徒の喧嘩を思い出して笑った。



「へーお、お前クロスっていうのか! よろしくな!」


「よろしく頼むゼグ」


「ふふ、二人とも楽しそうね」


「何笑ってんだよリターナ! せっかく仲間が増えたんだぞ! これを喜ぶなって言う方が間違いだろ!」


 さっきまでの雰囲気とは変わってとても賑やかな雰囲気が出ていた。

 どうやらゼグはムードメーカーな所があるらしく、ゼグがいるだけで周りが明るくなっているようにクロスは感じた。


「なぁクロス。 パーティ名お前考えてくれねーか?」


「……おいおいオレまだ冒険者じゃないのにいいのか?」


「いいんだよ! 俺達の冒険はこっからだろ!?」


「えー? どうしよう。 なんか案はあるか?」


「えー? かっこいいの!」


「アタシはなんでもいいわ」


「……パーティ名かぁ」


 どんな名前がいいだろうか。

 するとゼグの赤いバンダナが目を引いた。

 そして師匠であるマクロウを思い出してそれを組み合わせると赤い狼がクロスの中で出来上がった。


「決めた」


「おうなんだよ! クロス!」


「赤黒の狼」


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