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0001.朝のBus stop

白い息を吐きながら 今朝もいつものところでバスが来るのを待っている

今年初めての雪が 灰色の低い空から音もなく降りてくる

静かな水墨画のような冬の朝


左手には きみが貸してくれた折りたたみの傘

ずっと返しそびれてる 返さなくていいときみは言ってたけど


必要なのはわずかな勇気だけ

借りたものを返すだけだから なにも不自然なことはないはず


きみがバス停にやってくるのが見える のはいいんだけど

別の男の子と一緒に楽しそうに喋っている

ちょっと割り込めない雰囲気

下手に話しかけたらもうひとりの子に えっ誰?とか思われるよね

仕方がないので 今日のところはあきらめる


白とオレンジのバスがわたしたちを乗せて 初雪の街を通り抜けていく

舞い降りる雪を何となく眺めながら 何となくため息が出る

冬の始まりの街はどことなく 気分も灰色に沈んだ感じ 


それから度々 きみをバス停で見かけるけど

いつも友達とおしゃべりしてる

あの輪の中に気兼ねなく 入ることができればいいのに



今日はとてもいい天気

高く透き通る冬の空を 朝の光が貫いていて

冷え切った地表は 真っ白な霜に覆われている


きみがひとりだけでバス停にいる 

ようやくめぐってきたチャンス

借りた傘を返すだけで 何日こんなことやっていたんだろ

左手にはきみの傘 右手にはちょっとの勇気

握りしめてさあ行こう


おはよう と言おうとした瞬間 別の声にかぶせされる

いつもの男の子が 元気いっぱいに声をかけている

きみも明るくそれに応じてる

わたしはその場で回れ右 バス待ちの列の最後尾に退散する


白とオレンジのバスがわたしたちを乗せて 朝日が照らす街を通り抜けていく

空はきれいに晴れているけれど わたしは朝からもやもやした気分

今日こそはと思ったのに

青すぎるほど青い空に 寂しさを感じてしまうのはなぜなんだろう



今日はどんより曇り空 今にも雪が降り出しそう

バス停にいつもより早めに着いた きみはまだ来ていない

白い息を吐きながら待っていると 白い雪が舞い始める

今年の何度目の雪だろう 春になるまでにこの傘を返せるだろうか


うつむきながらバスを待っていると後ろから

おはよう と気聞き覚えのある声がする

ふりむくときみがいた


えっあっおっはようっ わかりやすく動揺するわたしは 

きみの傘を両手で握りしめたまま 返すことも忘れてる

それにきみは気がついて お礼を言いながらわたしの手から受け取った


別に返さなくてもよかったんだけどね

でも借りたものだから


しどろもどろで話していると 横から別の声がする

いつもの男の子がおはようと 言って寄ってきて 

わたしに気づくと微妙に笑いながら きみに向かってこんなことを言う


なんだやっと話しかけることができたのか


それを聞いたきみはなぜか猛烈に 照れた顔をしていて

わたしは状況をよくつかめずにいた


白とオレンジのバスがわたしたちを乗せて 何度目かの雪の街を通り抜けていく

舞い降りる雪を眺めながら あの時は雪じゃなくてまだ秋の雨だったね

なんてことをきみは わたしの隣に座って話してた


雲の切れ間から朝日がさして 舞い散る雪が光って見える

今なら青い空にも寂しさを 感じないかもしれない


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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