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16バンジー

「諦めろ。俺がメリアよりも力関係が上なんだからしょうがないだろう? それは、もうしょうがないだろ? メリアだって、立場が逆だったら俺に働けって命令してただろ? そういうことだよ」


「ずるいわよ。私だって働きたくないし、大体この顔で働くなんてハードルが高すぎるわ」


 顔については時間が解決してくれるだろう。二日、三日立てば誰も気にしないようになっているに違いない。俺なんてもう見慣れてしまったからこのぱんぱんの顔をがメリアっていう認識になってしまってるからな。元の顔何てまったく思い出せない始末だ。


「道の真ん中で騒ぐのはやめとけって。しかも下を向いたままってのが怪しさを倍増させてるぞ。少しは考えて行動してくれよ」


「うぅ、なんで私がこんな扱いを受けないといけないのよぉ……」


「まあ、なんだ。とりあえずは何とか金を手に入れる方法を考えないといけないよな。身分証さえ発行してもらえれば、俺たちは不審者じゃなくなるからな。すぐに雇って貰えるようになるはずだ」


 ちょっと待てよ。門番のお兄さんに身分証を発行して持っていくって約束したけど、肝心の身分証をどこで発行するか教えてもらってなかった。致命的すぎるだろ。これじゃあ、身分証の発行すらままならないじゃないか。


「一応聞いておいてもいいか?」


「え? 急にどうしたのよ。私にわかることなら構わないわよ」


「ほんとにわかったらでいいんだけどさ、身分証ってどこで発行してもらえるんだ? 門番のお兄さんに場所までは聞いてなかったなってふと思ったんだよ」


「知らないわね。それは、ダイゴロウの落ち度よ。私は悪く無いわ。だから、ダイゴロウが責任を持って探しなさい」


「それはちょっとつめたくないか? 俺だってあの場を切り抜けるのに必死でそこまで頭が回らなかったんだよ。お兄さんもこの世界の住人だったら誰でも知ってることだって説明を省いたんだろうし、俺たちのおかれてる状況が特殊すぎるんだって」


「そこらへんに腐るほど人間がいるんだから聞いてみなさいよ。それですぐに解決じゃない。何をそんなにうろたえてるのよ」


 道を歩いている人に聞けばわかることくらい俺にもわかってるんだよ。でもさ、知らない人に話しかけるのって勇気がいるじゃないか。門番のお兄さんみたいに話しかけないとどうしようもない場合はしょうがないけどさ。今は、場所を聞かなくても最悪自分たちで探せるって思ったらなかなか聞こうと思えないだよな。これがコミュニケーション能力の低さか。我ながら少し情けなくなってくるな。


 メリアに聞かせるわけにもいかないし、俺が聞いてみるしかないのか。はあ、せめて話しかけやすそうな人を探してからいこう。

 それに心の準備は大切だしな。ここで、挙動不審で怪しまれても面倒だ。


「何を固まってるのよ。もしかして、人と話すのが苦手なの? それならそうと早く言いなさいよ。ここは、私が聞いてあげようじゃない。どう? 私は役に立つでしょ?」


 自分が役に立つというアピールをするのには余念がないな。

 申し出はものすごくありがたいんだが、メリアが誰かに聞くとなると必然的に顔を上げないといけなくなるからそっちのほうが面倒そうだな。


「しょうがないから俺が聞く。メリアは顔を上げられないんだからどう考えても無理だろ。メリアの顔を見られて騒がれでもしてみろよ。大変な殊になっちまうだろ」


「それもそうね。でも、まるで私が悪いみたいな言い方はやめてもらえるかしら。私は好きで顔を腫らせてるわけじゃないのよ。これは、ダイゴロウに殴られたからこうなってるの」


「別にそういうつもりで言ったわけじゃないから。もう殴ったのに関してはやりすぎたって謝っただろう? これ以上言わないでくれよ」


 とりあえず、話しかけやすそうな人を探す。

 俺の個人的な感覚だが、こう言うことを聞くときは同年代よりも少し年上の人のほうが喋りやすい気がするんだよな。たとえるなら、学校の同級生よりも先生の方が喋りやすい感覚だな。


 あそこを歩いているおじさんに行こうか。でもちょっと顔が怖そうだな、やめておこう。無駄に絡まれて面倒な感じになる予感がする。お、あっちには、優しそうな顔のおじさんが歩いてるぞ。いや、やめておこう。ああいう顔に限って性格が最悪だったりするんだよな。あそこのおばさんに話しかけようか。無理か、おばさんに何て言って話しかけていいかわからない。ああ、なんでいつも俺はこうなんだよ。


「ほんとにいつまで固まってるつもりよ。これじゃあ、いつまで立っても場所がわからないじゃない。さっさと聞いてきなさいよ。ほら、誰でも構わないでしょ」


「いや、そう簡単にいけるんなら俺は苦労してないんだよ。話しかける人はとても重要なことだぞ。もし嫌な思いをさせられたらどうするつもりなんだよ。そんなことになったら俺はこの世界の人間を誰も信用できなくなるぞ」


「大げさよ。そこまで気にすることじゃないじゃない。もういつまでもそうしてるつもりなら私が行くわよ」


「だからダメだって。メリアが行くくらいなら俺が行くって言ってるだろ。もうちょっと待っといてくれ」


 俺はメリアを引き止め、何とかいけそうな人を探し続けた。

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