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15バンジー

 やっとの思いで町の中へ入ることに成功する。

 これで何とかモンスターの脅威からは抜け出したな。メリアなんてモンスターにビビりまくってたもんな。かくいう俺も自分の能力がどこまで通じるかどうかわからないこの状況で戦闘をするのは正直避けたかったからな。ほんと、無事に町までたどり着けて本当によかった。


「さっきの無礼な人間は私が女神だって知ったら自害するでしょうね。私に大して、馬鹿にするような態度を取ってただで済むとは思わないでほしいわ。ダイゴロウも、私に不細工不細工言いすぎよ」


「しょうがないだろ。俺だってどうやってあの状況を切り抜ければいいか考えてたんだよ。メリアに気を使ってやるような余裕はなかったんだ。それも結果的にこうして町の中へ入れてるんだから文句はないだろう?」


「結果的にはね。でも最初は私に顔を絶対に上げるなとか言っておいて、途中でそれを撤回するなんてどういうつもりよ。私の柔軟な対応がなかったらどうなっていたことやら……私の手柄と言っても過言ではないわ」


 全然柔軟な対応なんてしてなかったけどな。

 メリアは俺が何度も言うまでずっと下を向いたままだっただろうが。こいつはどうしても自分の手柄にしたいみたいんだな。まったく困ったもんだよ。そこまでして俺の評価を上げておかないと不安なのか? 


「そういうことにしておいてやるよ。これからも何かあったらよろしく頼むぞ。とりあえず、全部メリアに頼むことにするからな」


「ちょっと待ってよ。それは話が違うわ。私は何の力もないのよ。できることにも限界があるわ。その点、ダイゴロウは私が授けた能力があるんだし、少しはマシでしょ? だから、問題に対処するのはダイゴロウであるべきよ」


「さっきまで自分は役に立ちますってアピールしてたのはどこのどいつだよ。どんな状況でも役に立つってことを見せてくれよ」


「今の私にはできないこともあるのよ。全知全能なのは力を持ってる時だけなんだから。そうじゃなかったらこんなところにおとなしくとどまってたりしないんだから」


 まあ、メリアも初めて力を失って自分が何ができるかなんてわからないってのが正直なところなんだろうな。

 これ以上いろいろ言ったところでメリアが役に立つようになるわけでもないし、ここらで勘弁しておいてやるか。


「それにしてもこの町は賑わってるな。といっても、メリアは下を向いてるから何も見えてないか」


 この町へ入ってから少し歩いたところで俺たちは大通へと出た。

 そこは、森で誰にも遭遇しなかったのが嘘のように大勢の人で溢れかえっていた。


「ちょうどよかったわ。たくさんの人間何て酔うだけよ。う、想像しただけでも気持ち悪くなってきたわ……」


「おいおい、その言い草はないだろ。町が賑わってるのはいいことじゃないか。それだけこの町が安全でいろいろなものがそろっているって言うことだろ。当面の拠点としてはピッタリじゃないか」


 これだけ人が居るって言うことは、モンスターが町の中まで襲ってくる何てありえないだろうしな。

 これもあの外壁がモンスターの侵入を妨げているおかげなんだろうな。


「そうね。私も早く横になりたいわ。ずっと痛みを我慢して歩くのも大変なのよ」


「悪かったな。それじゃあ、宿を探さないといけないな。そう言えば、金は持ってるのか? まあ、ショッピングに行くつもりだったんなら金くらい持ってるか」


「持ってないわよ。どうして私がこの世界のお金なんて持ってショッピングに行くのよ。それに最初に何も持ってきてないって言ったわよね? 私に期待しても無駄よ……まずいわ。お金がないと宿に止まるなんて不可能よ」


 自分で言ってて今更気が付いたのかよ。でも、俺も今の時点まで何も考えてなかったから似たようなもんかな。


 でもメリアの言う通りまずい状況なのは間違いない。

 金がないと宿どころか飯さえ食えない。このままでは俺たちは道端で寝泊まりして、物乞いをしないと生きていけないという残念な未来が待っているということだ。


 もちろん、そうなる前にバイトでもしようかと思うんだが、少し前まで、親のすねをかじって生きてきた俺に労働なんてできるのか? 考えただけでも体が拒否反応を起こしている、鳥肌が凄い。


「よし、俺はメリアの安全を保証するからその代わりにメリアが出稼ぎに行ってくれ。頑張って働いて金を稼ぐんだぞ」


「嫌よ。なんで私が働かないといけないの? ありえないわ。私は女神よ。労働なんてものとはかけ離れた生活を送ってきたのに今更働けなんて絶対に無理だわ」


「なんでだよ。この状況で働かないとかいう選択肢はメリアには存在しないからな。俺は嫌だから働かないが、メリアに拒否権はない」


「横暴よ。そんなのおかしいわ」


 これぞ、上に立っているものの特権だ。


メリアには何としても働いてもらわないといけない。俺は働く訳にはいかないからな。どうしても働くしかないという状況に陥るまでは絶対に働かないとついさっき決めたんだ。悪いな、メリア。ちょっと理不尽かもしれないが、そのぱんぱんに腫れあがった顔なら同情で雇って貰えるだろう。頑張ってくれ。


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